2021年10月、アメリカの地球科学者・眞鍋淑郎(まなべしゅくろう)さんが「地球温暖化」の予測によって、ノーベル物理学賞を受賞しました。今回は受賞を記念して『こども環境学』から、地球温暖化について特集してみました!
ニュースや学校でもよく耳にする「地球温暖化」について、もっと深く知ってみませんか?
本当です!
地球は今、温室効果ガスが増えすぎて、温暖化が進んでいます。
世界の平均気温は、100年前と比べて0.74℃※上がっています。また世界の平均海面水位は100年前と比べて17㎝※も上昇しています。この影響で、南極西部やグリーンランドの氷、氷河が少しずつ溶け出しています。また、北極で氷がとけると、ホッキョクグマが減少するといわれています。このように、地球温暖化は「気候変動」を引き起こすと考えられています。
※出典:『温暖化から地球を守る適応への挑戦』環境省(2009年)
地球温暖化はなぜ起こるのでしょうか?人間は生活をする中で、ゴミを燃やしたり、電機や車をつかったりして二酸化炭素や水蒸気などの温室効果ガスを出しています。この温室効果ガスがあるおかげで、地球は太陽の熱をとどめておけるので、生物が生きるのに適した気温が保たれます。
しかし、18~19世紀の産業革命(さんぎょうかくめい)以降、人間は大量の燃料を使い、活動を拡大してきました。その結果、大気中の二酸化炭素の量が急激に増え、温室効果がそれまでより強くなっているのです。
この図は、約200年前の地球をあらわしています。太陽光に含まれる赤外線は地表で跳ね返り、温室効果ガスが熱を閉じ込めます。豊かな森林が、二酸化炭素を吸収して、酸素を出していた約200年前は、二酸化炭素の濃度も今より低く、赤外線の一部は宇宙空間へと出ていき、一部は再び地表へと戻されていました。
いっぽうで、こちらが現在の地球です。都市化が進み、森林は切りくずされてビルや工場が建ち並んでいます。車の排気、燃料の使用、工場の排煙などにより、空気中の二酸化炭素濃度は上昇します。二酸化炭素を吸収する植物も少ないため、温室効果ガスが増えすぎてしまいます。赤外線は、地表から宇宙に出ることができず、大気へ戻ります。その結果、空気は温まりすぎ、平均気温の上昇へとつながります。
温暖化は野生動物にも様々な影響を与えています。北極の氷が溶けて少なくなると、海水の上で狩りをするホッキョクグマは、えさのアザラシがとりにくくなります。またアオウミガメは、卵が産み落とされた場所の砂の温度でメスかオスかが決まるいきものです。温度が低いと雄が、高い場所ではメスが生まれるので、気温が上がるとメスの数が増えすぎてしまうのです。
温室効果ガスが増えすぎてしまったことで地球の気温が上がり、地球環境や生態系に影響が出ているのですね。
次回のテーマは「地球温暖化と日本」。私たちのくらす日本が、地球温暖化によってどうなってしまうのかについて見ていきましょう!
出典『こども環境学』
本書は上記出典を再編集したものです。(新星出版社/大森)
イラスト イケウチリリー
アイキャッチ画像 FloridaStock/Shutterstock.com
いま、地球では何が起こっているのでしょうか。
私たちが住んでいるこの地球は、41億年という大昔から少しずつ変わり続けてきました。しかし、ここ数百年間の人間の活動によって、環境は急激に変化してきています。人間が地球の資源を使いすぎたり、自然を破壊したりして、生態系に大きな影響をもたらしているのです。このままでは、地球で生きていくことができなくなるかもしれません。
「環境学」とは、私たちをとりまく生命やモノのつながりを知り、どう行動するのか考えることです。
この本では、SDGs(持続可能な開発目標)の土台となる環境問題を、小学生向けにゼロから解説しています。スーパーのレジ袋や、給食の食べ残しなど身近な話題を取り上げているので、環境について考えるきっかけに最適です。監修は、環境教育のトップランナー、東京農工大学農学研究院教授の朝岡幸彦先生。自由研究にもおすすめの一冊です。
著書に、「知る・わかる・伝えるSDGs」シリーズ(Ⅰ巻執筆・Ⅳ巻編著、学文社)、『社会教育・生涯学習論』(編著、学文社)、「持続可能な社会のための環境教育」シリーズ(監修、筑摩書房)などがある。