2021年の10月、アメリカの地球科学者・眞鍋淑郎(まなべしゅくろう)さんが「地球温暖化」の予測によって、ノーベル物理学賞を受賞しました。前回より、受賞を記念して『こども環境学』から、地球温暖化について特集しています。
今回は「地球温暖化」で日本の環境がどのようにかわるのか? を特集します!
本当です!
私たちがふだん食べているウナギは、日本近海でとったシラスウナギのち魚を養殖したものです。近年、このち魚が減っていて、一番とれていた時代の2割しかとれなくなっているのです。原因は、海水の温暖化、乱獲、エルニーニョ現象などと考えられていますが、はっきりとしたことはわかっていません。
2013年、環境省は、二ホンウナギを絶滅の恐れがある野生動物のリスト「レッドリスト」に追加しています。
他にも、サンマがとれなくなってきているともいわれています。サンマがとれなくなってきているのは、地球温暖化にも原因があります。サンマは冷たい水を求めて、快適な水温の場所に回遊していきます。しかし近年、地球温暖化によって海水温度が上昇し、今までのルートでは、水温が高くなってしまいました。サンマは暖かい水をさけて、日本の近海から遠ざかってしまうのです。
また、他の国がサンマを大量に漁獲していることも原因のひとつです。サンマが回遊ルートを変えたことにより、日本の排他的経済水域(EEZ)以外の場所では、外国の船が大量にサンマを取ることができてしまいます。冬になって水温が下がれば、サンマは再び日本近海に戻ってきますが、それより先にサンマを漁獲されてしまうのです。
ウナギやサンマのような水産物だけでなく、農作物の収穫にも影響が出てしまいます。
<みかん>
収穫前に気温が上がりすぎたり、豪雨が続いたりすると、皮と実の間が離れて、ぶかぶかになって味が悪くなったりくさりやすくなったりするんだ。強い日差しに当たると、色が変わって売れなくなったりもするんだよ~。
<米>
稲が実るタイミングで気温が高いと、お米が白くにごってしまうんだ。温暖化が進むと、関東より西の暖かい地域での収穫量が減るけれど、北海道や東北での収穫量は増えると予想されているよ。
出典『こども環境学』
本書は上記出典を再編集したものです。(新星出版社/大森)
イラスト イケウチリリー
アイキャッチ画像 JenJ_Payless/Shutterstock.com
いま、地球では何が起こっているのでしょうか。
私たちが住んでいるこの地球は、41億年という大昔から少しずつ変わり続けてきました。しかし、ここ数百年間の人間の活動によって、環境は急激に変化してきています。人間が地球の資源を使いすぎたり、自然を破壊したりして、生態系に大きな影響をもたらしているのです。このままでは、地球で生きていくことができなくなるかもしれません。
「環境学」とは、私たちをとりまく生命やモノのつながりを知り、どう行動するのか考えることです。
この本では、SDGs(持続可能な開発目標)の土台となる環境問題を、小学生向けにゼロから解説しています。スーパーのレジ袋や、給食の食べ残しなど身近な話題を取り上げているので、環境について考えるきっかけに最適です。監修は、環境教育のトップランナー、東京農工大学農学研究院教授の朝岡幸彦先生。自由研究にもおすすめの一冊です。
著書に、「知る・わかる・伝えるSDGs」シリーズ(Ⅰ巻執筆・Ⅳ巻編著、学文社)、『社会教育・生涯学習論』(編著、学文社)、「持続可能な社会のための環境教育」シリーズ(監修、筑摩書房)などがある。