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2026.07.07

お金を失う人のNG行動とは? ファンドマネージャー・奥野一成が教える、失敗しないための投資の基本

 モノの値段がじわじわ上がり続け、銀行の預金は減っていないのに、買えるものは減っていく。

 なんとも釈然としない話ですが、「お金を貯めていれば安心」という時代は今、変わりつつあります。

 

 日本における長期厳選投資のパイオニアであり、バフェット流の投資を行う数少ないファンドマネージャーを務める奥野一成さんは言います。

「テレビやインターネットでは、『この株式が上がる』『短期間で大きく儲かった』といった話が目立ちます。SNSを見れば、毎日のように注目銘柄や売買のタイミングについての情報が流れてきます。そうした情報に触れていると、投資というものがどこか怪しく、リスクの高いもののように感じられてしまうのも無理はないでしょう。しかし実は、そこで語られているものの多くは、私が考える本来の『投資』とは少し違うものです」

 

 では、奥野さんがいう「本来の投資」とはどのようなものなのか? また、投資を正しく理解するにはどのような知識が必要なのか?

 知っておきたい投資の基本について、『サクッとわかるビジネス教養 投資の基本』(新星出版社)より一部抜粋・再編集して紹介します。

実は誰もが投資している――「そもそも投資ってなに?」

 投資とは、資産を使って(投入して)、より大きな資産を将来得るための営みのこと。資産の種類は様々ですが、個人差はあれど誰もが持つ資産が、3つあります。それは、時間・才能・お金です。

 これらの資産を活用して、別々のなにかを得る。それが投資なのです。

 

 私たちは時間・才能・お金という3つの資産をやりくりしながら、実は毎日の生活の中で投資を行っています。

 たとえば、スマート家電を買って家事の時間を短縮し、浮いた時間を勉強に充てる。これはお金を使って時間を買い、その時間で才能を育てる、まさに投資です。

 一方、同じスマート家電を買っても、浮いた時間をなんとなくスマホを眺めて過ごすなら、それは消費にすぎません。投資と消費の違いは、将来の自分に何かを残せるかどうかです。

 

 3つの資産を有効に使えば、資産が資産を生む好循環が生まれます。自己投資で才能を磨けば、稼ぐ力が高まる。増えた収入を金融投資に回せば、さらにお金は増える。その過程で得た経済や金融の知識も、収入アップのネタとなります。

 好循環を生むために、まずは普段の選択が投資か消費かを意識することから始めてみましょう。それが投資の考え方を身につける第一歩です。

投資と投機はまったくの別モノ――お金と引き換えに資産を売るか、育てるか

 投資は「危ない」「怖い」ものというイメージを持つ方も多いでしょう。

 しかしそれらのイメージは、実際には投資とは性質が異なる「投機」=ギャンブルに由来するもの。投資と投機の最大の違いは「投資対象が価値を生み出すかどうか」です。

「投資」にならない危ないパターン――お金を失うNG行動とは

■時間と手間をかけて投機の罠を避ける

 

 あなたの手元に金の卵を産む鶏がいるとします。投資とは、この鶏を大切に育て、金の卵という新たな価値を得る営みです。一方、投機は鶏そのものを転売すること。売買差額で利益を得ることはあっても、金の卵という新たな価値を得ることはありません。

 

 市場(取引が行われる場)全体で新たな価値が生まれる取引を、経済学の世界ではプラスサムゲームと表現します。一方、誰かが得すればその分誰かが必ず損する取引をゼロサムゲームといいます。投資は時間と手間をかける必要があるプラスサムゲームです。

 

 鶏が卵を産むまで時間が必要なように、投資も長い目で取り組む必要があります。「すぐ、必ず儲かる」をうたう儲け話は投機、あるいは詐欺を疑うべきでしょう。

 投資をいたずらに怖がる必要はありません。大切なのは、金の卵、つまり価値を生み続ける投資先を、労力をかけて見つけることです。

 

■ダメな「投機」の例

【情報の鵜呑み】

 SNSやメディアの煽り、「必ず儲かる」という甘い話などを鵜吞みにする。

 

【理解できていない商品に投資する】

 なぜ利益が出るか、仕組みが理解できない商品に手を出す。

 

【生活防衛資金を投資する】

 退職金や貯金全額など、失うと生活が立ち行かなくなる資金を投入する。

 

【値動きに左右された短期売買】

 日々の値動きに一喜一憂し、何度も売買を繰り返す。

大きく異なる投資商品ごとの特徴

 投資先には、多くの選択肢があります。たとえば「株式」「債券」「外貨預金」「不動産」「金」など。

 これらはお金を投じて利益を得るために設計された投資商品であり、利益が生まれる仕組みや、値動きの大きさ(リスク)といった性質は、それぞれ違います。

 そのため、資産を「増やしたい」「有事に備えて守りたい」など、目的に合った投資先を選ぶ必要があります。

 

【株式】

売買益や配当、優待といった利益が得られる。企業の成長に伴い大きな収益が期待できる一方、価格変動の幅も大きく、投資先の見極めと、長期的な視点での保有が重要。

 

【債権】

国や企業に資金を貸し出し、利息を得る。元本割れリスクが低い。株式とは異なる値動きをする傾向があり、組み合わせることで保有資産の価格変動リスクを和らげる効果がある。

 

【外貨預金】

日本円を米ドルなどの外国通貨に換えて預け入れる預金。日本円だけに資産が集中するリスクを避け、円安が進んだ際に資産価値の減少を防ぐ効果が期待できる。

 

【不動産】

住宅等に投資し、家賃収入や売却益を得る。毎月の家賃収入という安定したリターンが魅力だが、初期費用が高く、物件の維持管理や売買の手続きに手間やコストがかかる。

 

【商品(コモディティ)】

金や原油、穀物といった「モノ」を対象とする投資。インフレ耐性が強く、戦争や恐慌といった有事の際にも資産価値を維持しやすいため、資産の逃避先として活用しやすい。

資産選びでは、インフレに強いか? 価値を生む資産か? を考える

■価値を生み出す資産は株式が代表格

 投資商品の比較ポイントは、収益の種類(キャピタルゲインかインカムゲインか)や、インフレ(物価上昇)に強いかどうか、取引はしやすいかといった観点があります。最も大切な観点は、長期的な資産形成で価値を生む資産かどうかです。

 実はすべての投資商品が価値を生むわけではありません。たとえば実物資産である金(ゴールド)は、近年、稀に見る価格高騰で注目を集めましたが、金そのものは新たな価値を生みません。一般的にはインフレなどへの備えに活用されるものです。

 一方、債券や預金は決まった利息が得られます。これは金と異なる特徴です。しかしインフレが進むと金利で得られる利益以上に、お金の価値が目減りしてしまうリスクがあります。価値を生み出す資産の代表格は株式と不動産です。

 

■投資の「はじめの一歩」に最適! プロに運用を任せる投資信託とは

 投資商品の種類を選べてもなお、投資先は無数にあります。ベストな投資先を自分で一つひとつ探すのは大変です。

 そこで役立つのが投資信託。一言でいえば、プロに運用を任せる“投資商品の詰め合わせパック”です。

 運用の専門家が、投資家から集めたお金を一つの大きな資金にまとめ、プロならではの調査・分析・投資方針にもとづき、さまざまな株式や債券等などに分散投資(複数の商品に投資することでリスクを抑える投資)を行ってくれます。

 また、少額から始められ、本来まとまった資金が必要な商品にも手軽に投資できるメリットや、NISA等の税制優遇制度を活用しながら、自動で定額購入(積立)できるといった魅力があります。なお、運用を任せる分の手数料がかかる点には留意してください。

 

■長期積立・分散投資にうってつけ。全世界株式・S&P500が人気の理由

 投資信託を利用すれば投資先選びの負担は減りますが、今度は「どの投資信託を選ぶか」という問題につきあたります。

 数ある投資信託の中でも、今最も注目を集めているのが「全世界株式」と「S&P500」です。なぜ人気なのでしょう。

 理由の一つは、組入銘柄の質の高さ。S&P500には厳しい基準を満たした米国の優良企業500社が、全世界株式には世界中の優れた企業が含まれています。いわば、選び抜かれた“オールスターチーム”に投資できるのです。

 もう一つは、低コストで高い成績を残してきた実績にあります。特に近年は米国企業の成長に牽引され、高い利回りを推移。運用コストは年0.1%以下のものもあるなど非常に低い傾向にあり、初心者も始めやすい投資商品です。

 

■市場リスクとどう向き合うか? 安定した利益を得るには分散投資

「卵を一つのカゴに盛るな」という格言があります。転べば卵がすべて割れてしまうように、投資先を一つに集中するとリスクも集中します。これを避けるのが分散投資です。

 ある企業の株式だけに投資すれば、一社の不祥事や業績悪化がそのまま損失になりますが、複数の企業や別の資産などにも投資することで、資産全体への影響を抑えるのです。

 投資においては、リスクを2種類に分けます。

 一つは「個別リスク」。特定の資産だけに起こるリスクで、分散投資によって限りなくゼロに近づけられます。

 もう一つが「市場リスク」。これは為替変動、政治的混乱など、市場全体に影響するリスクで、どれだけ分散しても完全には消せません。

 それでも「時間の分散」と「資産の分散」を行うことでリスクは軽減できます。

軽視できない大きなコスト――投資の利益にかかる税金

 投資で得た利益には税金がかかります。

 このコストは意外と大きく、最低でも約2割、場合によっては5割に達することもあり、軽視できません。

 

 課税方式は主に2種類。 「申告分離課税」は、給与など他の所得と分けて一律の税率(約20%)で計算する方式。株式や投資信託の利益に適用されます。

 「総合課税」は、他の所得と合算して税率が決まる方式で、所得が多いほど税率が上がります。こちらは金(ゴールド)や暗号資産などの利益に適用されます。資産の種類によって適用される課税方式は異なるため、同じ利益でも手元に残る金額は変わるのです。

 

■税金の負担を大きく抑える制度――NISAとiDeCo

 投資の税制優遇制度として、ぜひ活用したいのがNISA(ニーサ・少額投資非課税制度)とiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)です。

 どちらも投資の利益が非課税になる仕組みですが、性質は大きく異なります。一言で表すなら、NISAは「非課税で柔軟な運用が可能な投資口座」、iDeCoは「自分で積み立て・運用する年金」です。

 NISAは専用の口座を開いて投資した運用益が非課税になる仕組みで、年間で数百万円単位、一生涯で最大1800万円のまとまった金額を投資に回せます。

 一方のiDeCoは、毎月数万円を積立、掛金と運用益を年金として受け取ります。運用益の非課税に加え、掛金が所得控除の対象になりますが、年金のため60歳まで原則引き出せません。老後資金を作りながら、現役時にかかる税金も減らしたい場合に利用したい制度といえます。

 投資はお金を増やす魔法ではありません。しかし正しく取り組めば大きな資産を築く力になるのも事実です。なにより、投資の考え方そのものが、人生を豊かにする“資産”になるのです。

出典『サクッとわかるビジネス教養 投資の基本』

投資の基本(サクッとわかる ビジネス教養)
奥野一成 監修(プロフィールは下記参照)
モノの価格が上がるインフレ時代が到来し、お金を持っているだけではその価値は減っていきます。
そうすると、今まで以上にお金を稼ぐ、増やすが必要です。
稼ぐ力に必要なのは自己投資であり、増やすために大きく役立つのは金融商品への投資です。
本書で主に扱うのは金融資産への投資。「何に投資すればいいのか?」と迷っている方に向け「長期投資」をベースとした資産を増やす方法を勧めています。

○長期投資こそ、利回りの極意
投資の神様ウオーレン・バフェットは長期投資で世界のナンバーワン投資家になりました。長期投資こそ、脅威の利回りを実現する術なのです。
本書のノウハウは、日本のバフェットと言われている監修者のノウハウが詰まっています。
長期投資する投資先の企業の選び方も具体的に書かれています。

○大きなフルカラーイラストだから、ひと目で理解
本書は、4ページ(2見開き)単位が基本デザイン。
最初の見開きに入っている、大きな1枚のフルカラーイラストとそのキャプションを見るだけで、その項目の概要がわかり、次の見開きで詳細がわかる作りになっています。
そのため見開きを見るだけで、その項目の内容を理解できます。
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奥野一成(オクノカズシゲ)
投資信託「おおぶね」ファンドマネ-ジャー。農林中金バリューインベストメンツ株式会社(NVIC)常務取締役兼最高投資責任者(CIO)。
京都大学法学部卒、ロンドンビジネススクール・ファイナンス学修士修了。1992年日本長期信用銀行入行。長銀証券、UBS証券を経て2003年に農林中央金庫入庫。2014年から現職。日本における長期厳選投資のパイオニアであり、バフェット流の投資を行う数少ないファンドマネージャー。個人向けにも「おおぶね」ファンドシリーズを展開。
著書に『ビジネスエリートになるための教養としての投資』『15歳から学ぶお金の教養 先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?』(ともにダイヤモンド社)、『武器としての投資 AI時代を生き抜く資産とキャリアの築き方』(KADOKAWA)などがある。
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