皆さんは手あらい・うがいがどのくらいウイルスや細菌をあらい流せるのか、その効果をご存知でしょうか。今回は、『子ども衛生学』から、手あらい・うがいの効果、正しいやり方について解説します。ぜひ覚えてくださいね。
くしゃみやせきを手でおさえたり、鼻をかんだり鼻をこすったり。これらはすべて、手を使うので、手にはウイルスや細菌などの微生物がいっぱいです。こまめに手をあらうことで、手のついたウイルスや細菌を、体に入る前になくすことができます。のどについた病原体も、すぐにうがいをすることで、あらい流すことができます。
手をあらうことでウイルスがへることは、さまざまな研究で明らかにされています。次の調査結果をみてもわかるように、水で15秒あらうだけでも、ウイルスの数は約100分の1までへっています。またハンドソープを使ってあらうことで、さらに100分の1までウイルスの数がへるのです。手あらいが病気や感染症の予防になるということがよくわかりますね。
◆手あらいナシ…約1,000,000こ
◆流水で15秒手あらい…10,000こ
◆ハンドソープで10秒または30秒もみあらいの後、流水で15秒すすぎ…数100こ
◆ハンドソープで60秒もみあらいの後、流水で15秒すすぎ…数十こ
◆「ハンドソープで10秒もみあらいの後、流水で15秒すすぎ」を2回くりかえす…数こ
(出典:森功次ほか:Norovirusの代替指標としてFelineCalicivirusを用いた手洗いによるウイルスの除去効果の検討・感染症学雑誌,80:496-500.2006)
①水で手をぬらしたら、石けんをつけて、手のひらをあらう
②手のこうをのばすようにこする
③指先・つめの間をこする
④指と指の間をあらう
⑤親指と手のひらをねじりあらいする
⑥手首もあらう
外から帰ってきたとき、せきやくしゃみの後、トイレの使用後、食事の前、血液やきたないものをさわった後には必ず手をあらいます。また水やお湯ですすいだだけでは、ウイルスのや細菌は取れません。正しい手のあらい方を身につけて石けんでしっかりとあらうようにしましょう。
アルコール消毒液の使い方には注意が必要です。手をあらって、ぬれたままアルコールで消毒すると、アルコールがうすくなり、効果が小さくなってしまいます。ペーパータオルやせいけつなハンカチなどできちんと手をふいてから、アルコールを使いましょう。また、消毒に効果的なアルコールの量は決まっています。消毒液のポンプはきちんと下までプッシュしましょう。そして、指先、手の表と裏、指の間にまんべんなく、アルコール液を広げてつけましょう。
①コップに水を入れる(水道水でも大丈夫)
②コップの半分くらいの水を口に入れる
③正面を向いて「ぶくぶく」して、はきだす
④もう一度口に水を入れる
⑤顔を上に向け「ガラガラ」「あー」などの声を出すようにしてはきだす。15秒くらいする
⑥「ガラガラ」うがいを2~3回行う
空気中にいるウイルスのや細菌を、私たちは気づかないうちにすいこんでいます。外から帰ってきたとき、人ごみから出た後、のどが乾燥したとき、空気が乾燥しているときは、正しいうがいをして、口の内側やのどの奥の粘膜についた病原体を流しましょう。
出典 『子ども衛生学』
本記事は、上記出典を再編集したものです。(新星出版社/向山)
そのこたえは、みんな「衛生」に関係があります。
「衛生」とは、いのちや生活をまもるという意味です。わたしたちのまわりには、健康に悪影響を及ぼすいろいろなリスクがあります。インフルエンザなどの感染症はもちろん、身近な水、空気、食べ物の中にも、健康に悪い影響を及ぼすかもしれない要因があります。
自分やまわりの人をまもるために、それらについて知り、リスクをへらしていくことが大切なのです。
「衛生学」はとても幅広いですが、この本では、感染症予防の考え方、食べ物の安全など、子どもたちにとって身近な話題を扱っています。さらに、災害が起こったときに使える衛生学も紹介しています。監修は、公衆衛生看護学の第一人者、千葉大学大学院看護学研究科教授の宮﨑美砂子先生。子どもはもちろん、大人にも役立つ、一生使える衛生学の基本が身につく一冊です。
主な著書には、『最新 公衆衛生看護学(全3巻)』(編著、日本看護協会出版会)、『効果的な面接技術と事業展開から学ぶ保健指導』(編著、中央法規)、『公衆衛生看護学概論』(共著、メヂカルフレンド社)、『災害看護』(共著、南江堂)などがある。