
楽しかった夏休みもいよいよ後半戦。部活動や日々の外遊びなどで、一回り大きく成長した子どもたちの姿が見られる時期ですね。
スポーツをがんばる小学生や中学生の間で、密かに注目を集めているのが栄養補助食品「プロテイン」です。
「飲むだけで筋肉がつく魔法の粉だ」と思っている人もいるのではないでしょうか。しかし、本当にプロテインを飲むだけで理想の体が手に入るのでしょうか?
また、成長期に一番大切なたんぱく質は、どのようにすれば正しくとれるのでしょうか。
栄養学のスペシャリスト、中西明美さんが監修した『こども栄養学』(中西明美 監修/新星出版社)より一部抜粋・再編集し、お届けします。
私たちの体の約16%を占めるたんぱく質。その種類は、約10万種類にもなるといわれています。たんぱく質は、筋肉のついた健康的な体、透明感のある肌、血色のよい爪、つやのある髪、サラサラな血液など、理想の体をつくり出すためには、なくてはならない栄養素です。
それだけではなく、筋肉や臓器の働きに欠かせない酵素やホルモンも、たんぱく質からできています。成長期の子どもは、朝昼晩の毎食に、たんぱく質が豊富な肉や魚、大豆、卵を使った料理を食べることが大切です。
■たんぱく質の役割
(1)骨・筋肉・皮ふになる
体の骨格、筋肉、皮ふ、髪の毛、内臓などあらゆる組織をつくりだす源です。
(2)体の機能を整える
筋肉や細胞を動かす、体の成長や消化を助ける、酸素や二酸化炭素を体内に運ぶ、病気に負けない免疫機能を働かせるなど、これらに役立つ酵素やホルモンの正体もたんぱく質です。
(3)臨時のエネルギー供給源
体を動かすためのエネルギーは、本来、糖質や脂質が供給します。しかし、これらのエネルギーが不足しているとき=空腹で力が出ないとき、臨時のエネルギー源として働きます。
■たんぱく質が不足すると、体力不足になる
たんぱく質は、筋肉の重要な成分なので、不足すると体内の筋肉を分解して補おうとします。不足状態が続くと、筋力が低下し、体力不足となります。成長期の子どもは、成長障害を起こします。抜け毛や肌荒れの原因になったり、やる気がなくなったり、免疫機能が低下して、病気になりやすくなったりもします。
■たんぱく質をとりすぎると、臓器の働きが弱まる
たんぱく質は、体の中にためておく貯蔵庫がないため、とりすぎた分は尿として外に出すしかありません。そのため、尿をつくるための臓器、腎臓に大きな負担がかかり、腎臓障害を起こす危険があります。また、肝臓に負担をあたえたり、糖の代謝をするインスリンの働きが悪くなったりと、いろいろな臓器の働きが弱まるリスクも。さらに尿と一緒に体内のカルシウムが排出されてしまい、骨粗しょう症につながることもあります。
「プロテインを飲めば筋肉がつく」と思っている人もいるかもしれません。でも、プロテインはあくまで「補助」の役割です。それだけで筋肉がつくわけではありません。プロテインとは、英語で「たんぱく質」のこと。たんぱく質は、筋肉や内臓、血液、皮ふなど、体をつくる材料になる大切な栄養素です。ただし、バランスのとれた食事と運動、休養がそろってこそ、その力がきちんと発揮されて筋肉もつくのです。
たんぱく質は、肉や魚、卵、豆、乳製品など、ふだんの食事からもしっかりととることができます。だからまずは、毎日の食事を大切にすることが基本。プロテインは、食事で足りないときの補助であることを忘れずに!
たんぱく質も食べる方法によっては、体に吸収されず、ムダが多くなってしまいます。たんぱく質の特徴を知って、より効率的で賢く、おいしくとり入れましょう。
(1)3食に分けて食べる
早起きは苦手で、朝食はパンだけ。夕食でがっつり肉や魚を食べるという人、いませんか。体をつくるたんぱく質は、1日に分解と合成をくりかえしています。おなかがすくと、筋肉を分解してエネルギーを補充するために、食後にまた筋肉を合成する……このサイクルを上手に活用して、朝ならパンだけではなく、卵と野菜も食べるなど、3食それぞれのタイミングでたんぱく質をとることが大事です。
(2)動物性と植物性は1:1の割合がベスト
たんぱく質には肉や魚、卵、乳製品などの動物性たんぱく質と、大豆製品や穀類などの植物性たんぱく質があります。たとえば、豚肉のような動物性たんぱく質には筋肉づくりに欠かせない必須アミノ酸が多く含まれていますが、脂質も多く含まれています。植物性たんぱく質を多く含む食品は、体内への吸収率は低いものの、脂質が少なく、食物繊維が多く含まれます。それぞれの特徴を生かし、また、偏りを防ぐためにも、1:1の割合でバランスよくとりましょう。
(3)たんぱく質は、ビタミンB6と一緒に!
たんぱく質が体内で上手に働くためには、他の栄養素の助けが必要です。たとえば、筋肉が疲れたときの疲労回復や代謝に役立つのがビタミンB6。ビタミンB6が豊富な食材は、玄米やアボカド、赤パプリカ、バナナなど。疲れたときには、肉や魚などのたんぱく質のおかずと、玄米ごはんやアボカドサラダなどを組み合わせて食べるとよいでしょう。
■たんぱく質が多く含まれる食品
たんぱく質を構成する20種類のアミノ酸には、体内でつくり出すことができないものもあるため、いろいろな食品からバランスよく摂取する必要があります。
【動物性たんぱく質】
クロマグロ(赤身)、うなぎのかば焼き、牛サーロイン肉、牛もも肉、鶏ささみ、豚ロース肉、鶏卵、プロセスチーズ
【植物性たんぱく質】
納豆、ごはん、玄米めし、食パン、もめん豆腐
朝は時間がなかったり、食欲がなかったりと、食事をおろそかにしがち。朝、時間がなく、パンだけとか、ご飯にふりかけをかけて食べただけということはありませんか。これでは必要なたんぱく質をとることはできません。
しかし、朝こそ、たんぱく質をきちんととるべきタイミングです。たんぱく質は体内でアミノ酸に分解され、体をつくっています。寝ている間にも分解→合成は行われますが、その間はたんぱく質を摂取できないので、自分の筋肉を分解してアミノ酸をつくり出そうとします。
早く食事からたんぱく質を供給してあげないと、いつまでも筋肉の分解が続いてしまうのです。
1日あたりに必要なたんぱく質の量は小学校低学年では約40~90g、中学年で約50~110g、高学年で約60~125gです。
1日の総量で調節するのではなく、毎食とることが大切です。たとえば朝ごはんでは、食パン1枚(6枚切り)とハムエッグ、牛乳コップ1杯でたんぱく質が約20gになります。目安として覚えておくとよいでしょう。
出典『こども栄養学』

水を飲んでも太るって本当?
栄養ってナニ?
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