前回は、『保育で取り組むSDGs』から、地球の限界とSDGsの基本について解説しました。今回は、本書で紹介している実例や実践案を挙げながら、今日からでもすぐに子どもと一緒に実践できるSDGsの取り組みを3つ紹介します。
私たち人間にとって「食事」は必要不可欠なものである一方、食事による環境負荷も大きな問題です。環境負荷とは、環境に与えるマイナスの影響を言います。例えば、食品の産地が遠いと輸送の際に燃料がかかり、その分CO²の排出が多くなります。それが地球温暖化や大気汚染へとつながります。食材の環境負荷は、野菜に比べて肉が高くなります。
保育の現場で給食のメニューを一緒に考えることで、日頃食べている食材の環境負荷に意識を向けることができます。メニューを考える時、食材は、輸送の燃料を抑えられるという点から産地が近いもの(地産地消)で、環境負荷の少ないものを意識して選ぶことがポイントです✨
保育の現場だけではなく、お家でも実践できる取り組みです。環境にやさしいメニューを子どもと一緒に作ってみましょう。
🔷食の大切さを知る
私たちは、様々な自然の恵みをもらって生きています。太陽や風、水などの自然のエネルギーもその一つです。自然の力を利用したグリーンカーテンは、室内や建物への日ざしを遮ってくれるので、冷房の使いすぎや建物の蓄熱を抑えることができ、エネルギー消費の削減にもつながります。また、建物の壁に熱を蓄積させないので、ヒートアイランド現象の緩和や地球温暖化防止にも役立ちます。
グリーンカーテンを作ることは、身近な自然が持つ不思議な力を感じ、自然の恵みに感謝する気持ちにつなげられる取り組みです。
グリーンカーテンを作る時は、なるべく葉が重ならず横に広がるよう、つるを軽くネットに絡ませます。また、乾燥しやすいので、朝夕にたっぷり水をあげましょう。
🔷自然の不思議を知る
このオリジナルビンゴは、鳥取県・かいけ心正こども園が実際に行っている取り組みです。
SDGsを達成するためにはどのような取り組みをしたらよいのか、それぞれの目標に合わせた具体的な行動を保育者が設定し、それをビンゴにして配布しているそうです。行動できたら家の人にも丸を付けてもらうことで、園だけでなく家庭でも意識して取り組めるように働きかけます。
ビンゴ完成を目指して、納得できるまで繰り返しチャレンジすることで、SDGsへの理解が深まり、自分たちができる行動・達成できたことが目に見える形でわかるので、楽しみながら、分かりやすく取り組めます。
🔷持続可能な社会のための保育
今回は、『保育で取り組むSDGs』から、今日からでもすぐに子どもと一緒に実践できるSDGsの取り組みを3つ紹介しました。
SDGs達成に向けて、「○○をする!」と決めて行動することも、もちろん大切ですが、子どもと一緒にSDGsについて考える時間を持ち、普段の生活の中で意識していくことが何よりも、SDGs達成に向けた大きな一歩だと思います。
持続可能な社会の達成と未来の幸せな地球のために、できることから少しずつ取り組み、その輪を広げていきたいものです。
出典 『保育で取り組むSDGs』
※本記事は、上記出典を再編集したものです。(新星出版社/内園)
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SDGsオンラインフェスタ・ソーシャルイノベーションディレクター、企業版ふるさと納税の新たな活用モデル構築検討戦略会議・学識委員。
企業から食品の寄付やフードロスを集め全国のこども食堂に200万食以上を提供。大手企業の社員時代から他社や行政に様々な提案をし、内閣府認定の官民連携優良事例(全国5選)など、20以上の新規プロジェクト発起人として多くの案件を実現に導く。その他、大学での授業、講演、執筆活動まで幅広く活動するパラレルワーカー。
『こどもSDGs なぜSDGsが必要なのかがわかる本』など、SDGs関連の書籍を多く監修する。