2023.03.01
井堀利宏先生の

【サクッとわかる経済学 ミニ講座】
②モノの値段はどのように決まるのか?

 Part1では、「経済学とは?」についてお話しました。ここでは、「モノの値段はどのように決まるのか?」について解説します。

 「市場(=マーケット)」では、さまざまなモノが売買されますが、そこでは「値段」が重要な情報となります。高いものはあまり売れず、安いものはたくさん売れる。では、モノの値段はマーケットでどのようにして決まるのでしょうか。このことは、経済学における最初の関心事項となります。

 ここでは、モノを買いたい人(=需要側)と、モノを売りたい人(=供給側)、それぞれの需要と供給がどのように決まるかを考える必要があります。

 

 

①「需要」についての考え方

 ここでは、消費財(食料品など)の需要について考えてみます。私たちはマーケットにおいてある商品を見て、「値段が高ければ買いたくない」、「値段が安ければたくさん買いたい」、という気持ちになるわけですが、ここで「需要曲線」という概念を考える必要があります。

 これは、モノの値段が上がれば需要が下がり、値段が下がれば需要が上がる、というように右下がりの曲線が引けます。

 

②「供給」についての考え方

 それとは逆に、企業から考えると、作っているモノの値段が高ければたくさん作りたい、値段が安ければあまり儲からない、ということで、供給サイドはモノの値段が上がれば増え、モノの値段が下がれば減る、という右上がりの曲線が引けるのです。

 需要と供給が一致する点で取引が行われるので、これを「均衡価格」と呼びますが、これは需要曲線と供給曲線の交点で決まります。

 ここで言えるのは、需要が相対的に大きいと、モノの値段が上がるということです。例えば、砂漠には水がないため水に対する需要は高く、供給は低い。そのような状況下においては水の値段は高くなります。

 それとは逆に、中東諸国ではガソリンの供給量は多いので、そのような場所では需要がそれほど多くなければ価格は安くなります。

 つまり、場所と経済的な事情によって、需要と供給との関係は変わるため、モノの値段はそれぞれのマーケットで異なった価格がつくことになります。

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井堀利宏 監修
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井堀利宏(プロフィールは下記参照)
1952年、岡山県生まれ。政策研究大学院大学名誉教授。東京大学名誉教授。専門は財政学・公共経済学・経済政策。
東京大学経済学部経済学科卒業、ジョンズ・ホプキンス大学博士課程修了(Ph.D取得)。東京都立大学経済学部助教授、大阪大学経済学部助教授、東京大学経済学部助教授、同大学教授、同大学院経済学研究科教授を経て2015年同大学名誉教授。同年4月より政策研究大学院大学教授、2017年4月に同特別教授、2022年4月より現職。
著書に『大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる』(KADOKAWA)、『政治と経済の関係が3時間でわかる教養としての政治経済学』(総合法令出版)『入門経済学』(新世社)など多数。
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