
File No.27 金利上昇で「住宅ローンは大丈夫?」「有利な投資先は?」インフレ時代に必須のお金の新常識【書評】
ずっと「金利なんてあってないようなもの」と思ってきたから、金利の話になると、どこか自信が持てない。そう感じている人はきっと私だけではないだろう。だが、インフレが進むこの状況で、知識ゼロのままでは心もとない。1999年に行われた「ゼロ金利政策」導入から25年、2024年3月に日本銀行はその解除に踏み切り、金利は上昇局面へと転じた。すべての人が物価高を肌で感じているなか、これからは金利が動くのが当たり前の時代が訪れる。「住宅ローンは変動型のままでいいの?」「金利上昇は株価にどんな影響があるの?」「金利がある世界で有利な投資先は?」――自分のお金を守り、増やすためにも、今こそ金利の知識を身につけておきたい。
そんな人におすすめなのが、『サクッとわかる ビジネス教養 金利とお金』(杉山敏啓/新星出版社)。シリーズ累計100万部突破の「サクッとわかるビジネス教養」の中の1冊だ。本書では、金利について基礎中の基礎から、インフレ・景気・投資・企業業績・為替との関係までをまとめて学ぶことができる。とっつきにくく感じがちな金利というテーマがフルカラーのイラストと図解で分かりやすくひもとかれていく。これからの時代を生きる上で必須となる金利についての教養を、手軽に自分のものにすることができる本なのだ。
そもそも金利とは、貸し借りしたお金に対して受け取る(支払う)対価のこと。お金を借りたい人や企業の「需要」と、貸し出せる資金という「供給」のバランスで決まるため、需要が増えると金利は上がりやすい。たとえば、物価が上昇すると、消費者は値上がり前に購入しようとして消費が増え、企業は生産や投資を拡大するために資金を必要とする。その結果、お金の需要が高まり、金利が上昇する方向に働く。本書ではそんな基本から解説されている。イラストと図解を見れば、「全く知識がない」という人にとっても、理解しやすいだろう。
金利の話でまず不安に感じやすいのが住宅ローンだ。住宅ローンの商品には変動金利型と固定金利型があり、当初の金利が低いことから、変動型を選ぶ人は多い。固定型なら金利が上がっても返済額への影響はないが、変動型は金利上昇が負担の増加につながる。本書では、そんな住宅ローンをはじめとする、お金を借りる時の金利についての知識も詳しく解説されている。変動金利型でも返済額が急増しない「5年ルール」や「125%ルール」、住宅ローン控除の仕組み、借り換えの注意点など、今、おさえるべき要点が整理されている。
また、金利の上昇はお金の増やし方にも影響する。本書では、金利の上昇がプラスに働く資産とマイナスに働く資産についても詳しく教えてくれるから、自分の資産運用にも役に立つ。
「金利が上がると投資信託はどうなる?」「外貨預金は円安ならトク?」「個人向け国債は有利?」「高金利が魅力の新窓販国債とはどんなもの?」——インフレに負けない資産形成のために大切な知識が満載だ。
1969年東京都生まれ。聖光学院高等学校卒業、青山学院大学経済学部首席卒業、早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了、埼玉大学大学院人文社会科学研究科博士後期課程修了。都市銀行系シンクタンクで金融分野の研究開発・コンサルティングに長年従事。この間、立命館大学MOT大学院客員教授、東京大学大学院工学系研究科研究員、京都市会計室金融専門員などを兼務歴任し金融分野の理論と実務の両面に深く携わる。2018年より江戸川大学経営社会学科教授、2025年より日本大学経済学部教授として金融論や金融リテラシーに関する講義・ゼミで教鞭をとる。日本証券アナリスト協会認定アナリスト、証券経済学会員、日本金融学会員。
著書(含む共著・監修)に『金融のしくみと金融用語』(日本能率協会マネジメントセンター)、『手にとるように金融がわかる本(監修)』(かんき出版)、『日本金融の誤解と誤算』(勁草書房)、『銀行業の競争度』(日本評論社)などがある。金融専門誌や学術誌への寄稿、講演・出演、メディア取材対応等の実績多数。











