普段の生活でなにか物を買う時に必ず払っている税金。私たちのくらしを維持するために必要な税金は、どんなものにどの位かかっているのかご存じですか? 生活や収入、財産に大きく関わる税金。払わなければならないのは当然ですが、何も知らないと損をしてしまうことがあるかもしれません。正しい「税金」の知識を身に着ければ節税だってできてしまうんです。
今回は『図解わかる税金2020-2021年版』より、非課税と控除についてのおはなしを中心に進めていきます。
サラリーマンの給与はガラス張り、とよく言われます。確かにその通りなのですが、通勤費や永年勤続に対する記念品など、税金のかからない非課税の給与も少なくありません。非課税のものを覚えておけば、税金の払いすぎを防ぐことができます。
●通勤手当…最高限度15万円まで課税なし(1カ月当たりの合理的な運賃の額)
●旅費…通常必要と認められる①出張旅費、②転勤・転任などにともなう転居費用は課税なし
●福利厚生費…社員の半数以上が参加していること、滞在日数が4泊5日以内であること、社員の受ける経済的利益があまり多額でないこと、などの条件が満たされていれば、海外旅行も福利厚生費として課税なし
●宿日直料…1回の宿日直は4,000円まで課税なし
●交際費…会社の業務のために支出したものは課税なし
●結婚祝金…社会通念上の金額の範囲内であれば、結婚、出産などの祝金品は課税なし
●葬儀料、香典、見舞金…社会通念上の金額の範囲内であれば、葬儀料、香典、見舞金は課税なし
●休業補償…労働基準法等の規定による療養の給付や休業補償などについては課税なし
●学資金…業務遂行上の必要性、技術の習得などを目的としている場合は課税なし
●在外手当…海外勤務地の物価、生活水準、生活環境、為替相場等の状況により、国内勤務地との差額を補う部分は課税なし
所得控除と税額控除のふたつは、どちらも税金を安くするという意味で同じであるうえ、計算上も、ある金額を引くという行為が似ているので、混同しないよう注意してください。
必要経費のように、所得金額から一定額が差し引かれるのが所得控除。社会保険料控除や医療費控除などがあります。それに対して税額控除とは、最終的に計算された税額から一定額を差し引くことをいいます。株の配当に対する配当控除などがあります。
【所得控除】
●雑損控除
●医療費控除
●社会保険料控除
●小規模企業共済等掛金控除
●生命保険料控除
●地震保険料控除
●寄付金控除
●障害者控除
●寡婦(寡夫)控除
●勤労学生控除
●配偶者控除
●配偶者特別控除
●扶養控除
●基礎控除
【おもな税額控除】
●配当控除
●住宅ローン控除
●外国税額控除
●住宅耐震改修特別控除
●住宅特定改修特別税額控除
◆申告納税
納税者が、自分で所得金額や税額を計算して申告し、税金を納めるのが申告納税です。自分自身が自らの税額を計算して確定する、という非常に民主的な制度ですが、計算を間違えるというデメリットもあります。主な国税のほとんどがこの方法で納税されていますが、地方税でも法人住民税や事業税などはこの制度によっています。
◆賦課課税
地方税で比較的多く採用されている納税方式が賦課課税です。地方公共団体などが法律にしたがって税額や納期、納付場所などを確定する制度です。
◆印紙納付
不動産売買契約書や領収書などの課税文書を作成したときは印紙税という税金がかかります。納税には、書類などに購入した印紙を貼って消印しなければなりません。
コツコツ働いて得た所得と土地を売って得た所得などを同一のものとして扱うのは不公平でしょう。このため、所得は、稼いだ方法によって10種類に分類されます。
どのようにしてその所得を得たかで、税負担を調整するためにあるのが所得区分です。所得区分はこれから説明する10種類に分類されています。
公社債や預貯金などの利子、または合同運用信託や公社債投資信託の収益の分配金による所得のこと。
💰利子所得の金額=利子収入
法人から受ける株式の配当金や利益金の分配、証券投資信託の利益分配金など。
💰配当所得の金額=収入金額-元本を取得するために借りた借入金の利息
土地や家屋を貸して得られる地代や家賃などによる収入。
💰不動産所得の金額=収入金額-必要経費
農業や漁業、製造業、小売業、サービス業などの事業を経営して得る所得。
💰事業所得の金額=収入金額-必要経費
サラリーマンが受ける給料やボーナスなどによる所得。
💰給与所得の金額=給与収入-給与所得控除
退職金や退職一時金などによる所得。
💰退職所得の金額={退職金収入-退職所得控除}×1/2
山林の伐採や譲渡による所得。
💰山林所得の金額=収入金額-必要経費―特別控除額(50万)
不動産や株式、ゴルフ会員権などの資産を売却して得た所得。
💰譲渡所得の金額=総収入金額-(所得費+譲渡費用)―特別控除額
懸賞金など、継続性のない一時的な所得。
💰一時所得の金額={収入金額-収入を得るための費用―特別控除額(50万)}×1/2
1から9のいずれにもあてはまらない所得。
💰雑所得の金額(公的・退職年金)=年金収入―公的年金等控除
💰雑所得の金額(その他)=収入金額-必要経費
このように所得区分は10種類に分かれ、それぞれに見合った適正な税額を出すための計算法が決められています。
日本に住所がある人はもちろん、住んでいなくても国内からの所得があれば、所得税を納める義務があります。つまり、外国に住んでいて、しかも外国の会社に勤めている人のほかは、たいていの日本人は日本に対して所得税を納めなければなりません。
また、日本に入国して1年未満の働いている外国人労働者は日本に所得税を納めています。しかも、その税率は20パーセントとたいへん高率になっています。
●次回は他人事ではない?!「年末調整って何?」を配信します。
出典:『図解わかる 税金 2020-2021年版』
この記事の内容は、原則として令和2(2020)年4月1日現在の法律に準拠し、作成されたものです。
※写真/shutterstock
※本記事は、下記出典を再編集したものです。(新星出版社/室谷)
消費税や相続税の増税などで税負担は厳しく。パート収入と配偶者控除の関係や医療控除、住宅取得や株式、年金、相続・贈与の税金など、身近な税金のしくみと役に立つ節税のポイントを解説。
具体的には、相続時精算制度を利用するポイントや一般の贈与税と相続時精算課税の選択するポイントをモデルケースで解説。また、高額な医療費を支払ったときに税金が戻ってくるケースや株を売って損をしたときに税金が安くなるケースなど知って得する情報を豊富にを紹介。