
「第一印象を決めるのは“見た目”、つまりその人の身だしなみや表情・話し方・ふるまいなどです」
そう語るのは、マナー専門家として「世界一受けたい授業」「あさイチ」「ホンマでっか!?TV」など多くのメディアに出演している、「マナースクールEMI SUNAI」や「親子・お受験作法教室」代表の諏内えみさん。
「仕事で人にお会いしたときに“感じがいい”“いい関係が築けそう”と思う人もいれば“大丈夫かな?”“つき合いにくそう”と感じる人もいますよね」
そんな大事な“見た目”を整えるうえで、欠かせないのが「所作と気づかい」だと諏内さんはいう。
「相手の印象について、人が何を重視するかを調べたところ、答えは視覚情報が55%、聴覚情報が38%、言語情報が7%というウエイトでした」
これは1971年にアメリカの心理学者、アルバート・メラビアンによって提唱されたメラビアンの法則として知られている。つまり言葉の内容や意味よりも、表情・しぐさなどの視覚情報や声のトーンといった聴覚情報のほうが、人の印象に大きな影響を与えているというのだ。
では、好感度の高い人はどんな立ち居振る舞いをしているのか? 諏内さんの著書『サクッとわかるビジネス教養 所作と気づかい』(新星出版社)より“第一印象”を決める3つのポイントと“人に好かれる”日頃の振る舞い方を見てみよう。
まずは、すべての所作に通じる「これだけは覚えておきたい」基本を紹介します。
「美しい所作」を作るポイントは3つあります。
1つ目は姿勢です。どんなに美しい人であっても、ハイブランドのファッションを身に着けていても、姿勢が悪いと台無しです。背筋のすっと伸びた姿勢を保ちましょう。
2つ目が動きです。“ながら動作”は慌ただしく、品のない印象に。一つずつの動作を丁寧に、『余韻・余白・余裕』のある動きを心がけます。
3つ目が指先の使い方です。手は意外に人目につくもの。指先を美しく使えると品が感じられます。
(1)【姿勢】美しい姿勢
立ったときに耳と肩、くるぶしが一直線にくるのが基本。座るとき、歩くときもこの背筋の伸びた姿勢をキープ。自分で姿勢がわかりづらいときは、写真を撮ってもらって確認を。
(2)【動き】丁寧に動く
忙しいと、ドアを閉めながら歩きだすなど、“ながら動作”が多くなりがち。ドアのほうを向いて閉める→向き直って歩き出すというように動作を一つずつ終わらせ、丁寧に行います。
マナーや所作は決まった「型」を覚えることより、相手への敬意や気づかいが重要といわれます。ただし、敬意や気づかいは目には見えません。行動や言葉で表現しなければ、相手には伝わらないのです。
大切なのは、基本的な「型」をしっかり身につけること。日頃から型通りにふるまっていると、自然に心がついてくるようになります。
■思いやりをふるまいで表せる
困っている人がいたら声をかける、共用スペースを使った後は次に使う人のために椅子やデスクを整えるなど、日頃から他者への思いやりを行動で表すようにしましょう。
■その場に合った表情ができる
仕事で真剣な話をしているときは引き締まった表情で、前向きな話題のときは明るいほほえみを浮かべましょう。「口角を2ミリ上げる」を意識すると、自然で柔らかな笑顔になります。
■態度に裏表がない
上司には丁重な態度なのに、部下にはぞんざい……というのは感じが悪いもの。部下や目下の人にも丁寧なふるまいを。
■ポジティブな言葉づかいをする
批判や悪口、愚痴の多い人で「感じのいい人」はいません。人や物事のいい面に目を向け、ポジティブな言葉を発することを習慣に。
■「ありがとう」を惜しみなく言える
人がしてくれて当たり前と思っていると尊大で横柄な態度に。些細なことでも「ありがとう」を惜しみなく贈りましょう。
■基本的なマナーを心得ている
マナーの基本的な「型」の知識をもち、日頃から実践していると、いざというときにも適切に対応できる余裕が生まれます。
本当に気づかいができる人には、「俯瞰する力」があるといえます。広い視野をもち、自分を含めたその場の状況を客観的に把握し、周囲の人や目の前にいない他者のことも想像したうえで、誰にとっても気持ちのいいふるまいができる。そんな素敵な人を目指しましょう。
出典 『サクッとわかるビジネス教養 所作と気づかい』
イラスト 小野寺 美恵
本記事は上記出典を再編集したものです。
アイキャッチ画像 maroke/Shutterstock

第一印象を決めるのは「見た目」。身だしなみや表情などの見た目がよくなければ、あなたのよさを伝えることはできません。どんなに相手を思いやる気持ちがあっても、心には「形」がないからです。
相手への敬意や気づかいは「型」でこそ表現できるもの。だからこそ、相手への敬意や気づかいを表す「所作」を身につけると「見た目」が美しくなるだけでなく、相手によい印象を与えることができます。
また、相手やその場にふさわしい所作と気づかいで、気持ちのよい人間関係を築くことができるのは「人」ならではのもの。AIには代替できないビジネススキルです。美しい所作を身につけ、相手への気づかいができることはビジネスでも大きな武器になります。
所作と気づかいのポイントは「1表情、2身だしなみ、3ふるまい、4話し方」の4つです。
本書では、あえてこの4つにしぼり、所作の基本から話し方、メール、電話、訪問、食事などのビジネスシーンを中心に、Q&A方式、オールカラーで解説しました。
この4つを意識するだけで、「見た目」が格段によくなり、周囲からの評価も上がります。
◯イラスト満載で、ひと目で理解、実践できる!
さまざまな場面で必要な所作や話し方、マナーなどを、イラストを多用して紹介しているので、すぐに納得、修正、実践できます。間違えやすいNG例も豊富に収録!
本書なら、自信をもって堂々とふるまえる「スキル」が身につきます!
もっとスマートにふるまいたいと思っている方はもちろん、「デキる」ビジネスパーソンになりたい方、人間関係やコミュニケーションで悩んでいる方に、読んでいただきたい一冊です。
◯本書の構成
知っていますか? 人は見た目がすべて
AI時代だからこそ 所作と気づかいが最大の武器になる
所作と気づかい4カ条
目指すのはこんな人 所作がきれい 気づかいができる 好感度の高い人
Chapter 1 第一印象のいい人になる
Chapter 2 話し方で好感度アップ
Chapter 3 好印象のメールと電話
Chapter 4 スマートな訪問・来客応対
Chapter 5 美しい食べ方で好感度アップ
Chapter 6 ふだんのふるまいも素敵に
ベストセラー『「育ちがいい人」だけが知っていること』『もっと!「育ちがいい人」だけが知っていること』(ダイヤモンド社)他、『戦略としてのずるいマナー』(かんき出版)、『世界一美しいふるまいとマナー』(高橋書店)、『「ふつうの人」を「品のいい人」に変える一流の言いかえ』(光文社)、『大人の若見えを叶えるしぐさとふるまい』(大和書房)、『知らないと損をする男の礼儀作法』(SBクリエイティブ)、『先生!ダメダメな私を2時間で仕事デキる風にしてください!』(KADOKAWA)など著書多数。