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2020.05.01
細胞博士、鈴川茂先生の
【世界一おもしろい!細胞の授業】

🎥動画でよくわかる! 「脳と神経の細胞ってな~に?」

キャラで楽しく覚えよう!

 みなさん、こんにちは!代々木ゼミナール生物講師の鈴川茂です。 

 私たちの体内で日々、休むことなくがんばっている細胞。僕たちのからだは、約37超2000億個の細胞から構成されています。つまり、この地球上にいる人口(2019年現在77億人)の約5000倍もの数の細胞たちが僕たちのからだをつくり、かつ、つねに僕たちのためにはたらいてくれています。たとえば赤血球は約20兆個もあり、からだの細胞の半分以上を占めていて、血管のなかを新幹線と同じような速度(時速約200㎞で流れ、はたらいてくれています。すごいですよね。

 

 ここでは「脳と神経の細胞」について解説します。楽しいキャラが登場しますので、とっても覚えやすいですよ!ではさっそく始めましょう!!

神経の細胞といえば「ニューロン」!

 神経の細胞といえば有名なのは「ニューロン」。みなさんも聞いたことがあるのではないでしょうか。

ニューロンは、神経のなかに存在しています。目や耳などからの情報を受け取って処理し、それを電気信号に変え、ビリビリと興奮しながら筋肉などに伝えるのですが、脳のなかにはなんと1000億個以上のニューロンが集まっているんです。すごい数ですね。

ニューロンの側近3姉妹!グリア細胞

 さらにすごいのは、このニューロンをはるかに超える数を誇り、ニューロンのはたらきを支えるためにはたらく細胞があります。これを「グリア細胞」といいます。グリア細胞という名称は、何種類かの細胞の総称で、かたちもはたらきも異なっています。代表的なものとして、ミクログリア、アストロサイト、オリゴデンドロサイトなどがあり、それぞれが自分の得意な分野でニューロンを支えています。

専属医師【ミクログリア】

 小膠(しょうこう)細胞とも呼ばれるミクログリアは、ニューロンの状態をつねに把握し、なにか異常があればすぐに修復するという、専属医師のような役割を担っています。細長い突起がたくさんあり、それをニューロンにのばして、まるで聴診器のように異常がないかを探ります。しかも、検査の仕方は実に丁寧。異常がないときでも1時間ごとに5分間、異常が見られるときはそれ以上にチェックしてくれます。

 

お世話役【アストロサイト】

 次に紹介するのはアストロサイト。グリア細胞のなかで最も数が多いんです。「アストロ」とは「天体の」という意味で、日本語では星状膠(せいじょうこう)細胞といいます。発見当初、星のかたちに見えたことからこの名前がついたのですが、実はスポンジのように複雑な突起が枝分かれしたかたちなんです。

 

 アストロサイトは、栄養を与えたり、不要なものをお掃除したりと、ニューロンのお世話をしてくれます。しかも情報の伝導・伝達をスムーズにするというニューロンの仕事を手伝うことまでしてくれます。身の回りのお世話だけでなく、仕事の手伝いもしてくれる、実に優秀な存在なんですよ。

 

加速器【オリゴデンドロサイト】

 最後に紹介するのは、オリゴデンドロサイト。希突起膠(きとつきこう)細胞ともよばれるオリゴデンドロサイトの主な役割は、ニューロンの軸索に巻きついて、髄鞘(ずいしょう)をつくり出すこと。髄鞘とは、ニューロンのを保護する役割と、情報の伝導のスピードを上げるはたらきを持つカバーのようなものなんです。

 

 髄鞘は少しずつ隙間を空けながら、情報が流れる通路である軸索に巻きつきます。巻きついた部分には電気信号が流れず、それ以外の部分だけを飛び飛びに電気が跳ねるようにして流れていくため、情報の伝導が速くなります。オリゴデンドロサイトは、ニューロンにべったりくっついて、その体を護りながら、「加速器」の役割もしているんですよ。

 

ニューロンと、お助け3姉妹、グリア細胞の働き、何となくわかっていただけましたか?僕たちのからだはこうして毎日頑張っているんですね。

「細胞を知ることは自分を知ること!」ぜひこれを機に、自分の体のことをもっともっと知ってくださいね!

 

ここでクイズです!

今紹介した「お助け3姉妹」たちを合わせた「グリア細胞」ですが、ニューロン1個に対してどのくらいのグリア細胞が、お世話をしているでしょうか?

🎯正解は…!

 なんと約10個です!

 ニューロンは脳の中に約1000億個あるのですが、グリア細胞はなんと約1兆個もあるのです。ニューロンも僕たちとおなじように、1人では生きていけないんですね…。

 いつも周りのみんなが自分を支えてくれていることに感謝しなければならない事を思い出させてくれますね。

 脳というと、ものを考えたり、記憶したりする器官だと思っている人もいるかもしれません。もちろん、それも大切な役割ですが、脳の役割はそれだけではありません。それぞれが手足や内臓などからだの各部分のはたらきを調節する役目も果たしています。

👉もっと知りたい方はこちら

 

細胞たちは、休む間もなく、がんばってくれているんですね!細胞のはたらきを知って、自分のことをもっと知りましょう!

 

細胞図鑑
鈴川茂(細胞博士)監修 /りゃんよ イラスト (プロフィールは下記参照)
細胞の世界はおもしろい!!赤血球から精子・卵子、話題のiPS細胞まで。私たちのカラダをつくる37兆個を超える細胞の世界を、かわいいキャラクターとマンガで世界一わかりやすく紹介します。
○約1メートルの長さにもなる細胞「ニューロン」
○酸素を運び血液の赤色のもとになる「赤血球」
○アレルギーを引き起こす細胞、その名は「肥満細胞」(しかも太ってない)
○敏感だけど鈍感?匂いを感じる「嗅細胞」
など、個性的な細胞がもりだくさん!
細胞を知れば知るほど自分のカラダが愛おしくなってしまうかも!?
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鈴川茂

代々木ゼミナール生物講師。TVアニメ「はたらく細胞」の細胞博士「YouTubeにて、「細菌」に関する動画を好評配信中!)」。北里大学理学部生物学科科卒業。大学在学中は「古細菌」の研究に専念。現在は、東大や京大などの難関大から共通テスト(センター試験)まで幅広い入試研究をしながら、「生物学のおもしろさを多くの人に知ってもらいたい!」という思いで、全国で講義活動を行っている。”生物学に興味をもってくれる人が増えれば世の中はもっと良くなる”と信じて、今日も教壇に立っている。(書籍刊行時)

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りゃんよ
イラストレーター。広告まんが。ライブグラフィックレコーダー。京都造形芸術大学講師。 (書籍刊行時)
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