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2026.03.04
知れば知るほど大相撲がもっと楽しくなる!相撲界のしきたり

連載第1回 【相撲部屋と親方】

 大相撲の世界には、江戸時代の伝統文化を受け継ぎつつ、時代に合わせてさまざまな工夫も加えた、独特のしきたりが今に生きています。時代を超えて人気を博す大相撲ですが、3月は大阪で春場所が開催されるだけでなく、学校の卒業シーズンと重なるため、毎年本場所の前に実施される新弟子検査のなかで最も挑む者が多い時期でもあります。
 
 そこで今回、知れば知るほど興味深い大相撲のしきたりについてのあれこれを『イラストでわかる大相撲』(新星出版社)より、毎月1回、計3回の連載で紹介していきます。観戦がさらに楽しくなること間違いなし! ぜひご一読くださいね。

相撲部屋とは力士が生活と稽古を兼ねる場所

 すべての力士は、相撲協会に所属している相撲部屋に入門する。また「一門」というグループがあり、部屋は5つある一門のいずれかに属している。かつては、一門ごとに地方巡業を行って独自に収入を得たり、同じ一門の力士同士は本場所で対戦しなかったりしたことから、一門の結びつきは強かった。現在では、巡業は相撲協会の一括管理となり、同じ一門の力士同士も組まれるようになったため、一門の意義が変わってきた。それでも連合稽古や引退相撲、冠婚葬祭などで協力し合っている。

 

 相撲部屋は稽古と生活の場所。十両以上の力士は別のところに住居を持つことができるが、稽古以外でも食事は一緒だ。師匠や部屋付きの親方(年寄)、おかみさん、行司、呼出、床山、若者頭、世話人なども集まった大所帯である。

相撲部屋は稽古と生活の場所
所属している人たち

【親方(年寄)】

部屋を経営する年寄を「部屋持ち親方」といい、師匠と呼ばれることもある。部屋に所属する「部屋付き親方」は、力士の指導にあたる。

 

【力士】

幕下以下は大部屋で共同生活をする。稽古のほかに「ちゃんこ番(食事の担当)」や生活面の雑用も担う。関取は個室を与えられる。

 

【行司】

部屋関係者の名簿管理、番付表の発送のほか、親方をサポートし、部屋の経営にかかわるさまざまな事務作業を行う。

 

【呼出】

稽古場の土俵づくりを一門のほかの呼出と連携して行うほか、裏方として部屋の運営にかかわる。

 

【床山】

力士の結髪を担当する。稽古終わりに力士の髷を結うので、本場所以外でも多忙。雑務もこなす。

 

【若者頭世話人】

本場所や巡業で、若者頭は幕下以下の力士の監督、世話人は用具の管理などを務める。どちらも元力士で、部屋では裏方として運営にかかわる。

兄弟子と弟弟子と番付の関係

 入門した力士はみな、師匠の弟子という扱いになる。年齢に関わらず先に入門した力士を兄弟子、あとに入門したものが弟弟子になる。大相撲は実力本位のため、弟弟子が兄弟子よりも番付が高くなることもある。ただし、そうなっても兄弟子に対する敬意は変わらない。

一門と相撲部屋一覧(図をタップすると拡大します)
親方は大相撲の運営と部屋の経営をこなす

 引退して年寄名跡を襲名し、年寄(通称「親方」)になると、ほとんどの場合は、まず「部屋付き親方」となり、力士の指導などを行う。中には部屋を継承するか、独立して新たな部屋を興して「部屋持ち親方(師匠)」になる者もいる。親方は日本相撲協会の職員であり、審判部、巡業部、指導普及部などの部署のどれか、または複数に所属し、さまざまな業務に携わる。

 

 師匠は、部屋付き親方らの協力のもと、部屋の経営にあたる。入門した弟子に稽古をつけたり、指導したりするほか、入門前の人材スカウトも重要な仕事である。相撲部屋の後援会は全国にあり、それらと連携して高校や大学の有望な選手や、相撲経験はなくとも素質のある者の情報を集め、スカウトする。親方には弟子の監督責任があり、生活指導も行う。

昇進の伝達式
年寄襲名の条件と一代年寄

 年寄名跡を襲名するには条件が必要だが、功績のある横綱に対し、本人一代に限って四股名を年寄名跡として認める「一代年寄」という制度がある。

 明文化された条件はなく、過去に4横綱が対象となり、うち千代の富士は辞退して「年寄九重襲名」を選択した。

1.横綱・大関を勤める

2.三役を1場所以上勤める

3.幕内通算20場所以上を勤める

4.関取通算30場所以上を勤める

5.部屋の継承者である

 

【歴代の一代年寄】

大鹏幸喜(たいほうこうき)、北の湖敏满(きたのうみとしみつ)、千代の富士(辞退)、

貴乃花光司(たかのはなこうじ)

日本相撲協会の職務分掌

 理事(理事長は互選)、副理事、役員待遇員、委員、主任、委員待遇年寄、年寄、参与で構成され、それぞれに職務の担当がある。また、年寄以外には評 議員と外部役員がある。

 

 

次回、連載第2回では、【新弟子になるには? 相撲教習所があるって知ってる?】 をお届けします。お楽しみに♪

出典『イラストでわかる 大相撲』

イラスト 福家聡子

イラストでわかる大相撲
十枝 慶二 監修/ 福家 聡子 イラスト(プロフィールは下記参照)
日本相撲協会は令和7年12月28日に100周年を迎えました。

「若貴ブーム」、「スー女」など、大相撲が注目されることは過去多くありましたが、現在でも、大相撲はテレビで最も視聴率の取れるスポーツといわれるほどです。
また、時代に合わせてSNSやYoutubeなどでの展開も活発になっており、力士や部屋の側も、大いに業界を盛り上げていこうとしていることがうかがわれます。

本書は、大相撲のルールや決まり手全82種をはじめ、力士の日常、稽古、稼ぎ、身だしなみなどについて、イラストで学べる一冊です。
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イラスト/福家聡子(フケサトコ)
大相撲ファンのイラストレーター。相撲グッズの制作も行う。著書に『大相撲語辞典』(誠文堂新光社)、『プラバンアクセサリー2 マーカーと色鉛筆でつくる』(文化出版局)などがある。
監修/十枝慶二(トエダケイジ)
1966年、東京都生まれ。フリーライター・編集者。少年時代は横綱・輪島の大ファン。大学時代は相撲部に所属。『月刊相撲』(ベースボール・マガジン社)で、連載「相撲観戦がもっと楽しくなる 技の世界」などを執筆中。
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