2021.10.28

考えませんか「お金」のこと。 第2回【「保険」の正しい知識を身につけよう!】

杉山敏啓(スギヤマトシヒロ)

江戸川大学教授・博士(経済学)
1969年東京都生まれ。聖光学院高等学校卒業、青山学院大学経済学部首席卒業、早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了、埼玉大学大学院人文社会科学研究科博士後期課程修了。都市銀行系シンクタンクで金融分野の研究開発・コンサルティングに長年従事。この間、立命館大学MOT大学院客員教授、東京大学大学院工学系研究科研究員、京都市会計室金融専門員などを兼務歴任し金融分野の理論と実務の両面に深く携わる。2018年より江戸川大学社会学部経営社会学科教授として金融ビジネス基礎、ファイナンシャル・プランナー育成ゼミ等の講義で教鞭をとる。日本証券アナリスト協会認定アナリスト、証券経済学会員、日本金融学会員。

 

 こんにちは。江戸川大学の杉山敏啓(すぎやまとしひろ)です。この度、『サクッとわかる ビジネス教養 お金の基本』を監修いたしました。

 前回は「老後の資金とその用意の仕方」についてを紹介しました。今回は、人生において欠かせない「保険」の基本について解説します。

 この記事の内容は、以下の動画でも解説しています。ぜひ記事とあわせてご覧ください。

 

【③民間の医療保険に入るべきか】

 

多くの人が保険に入るのはなぜ?

 死亡や事故、病気やケガなど、人生にはさまざまなリスクがつきものです。その備えとして、保険があります。保険は公的保険(健康保険や年金など)私的保険(民間の保険)に分けられます。一般に、公的保険だけでは保償が不十分な場合があるときに私的保険に加入します。

 

 少子高齢化によって、将来的には健康保険制度では本人負担割合の引上げが、年金制度では支給額の引下げが行われる可能性があります。将来の人生設計を考える際には、これらのことを織り込んでおく必要があります。将来、自分が受けられる社会保険の内容を理解して、必要な自助を準備しましょう。

 ここで、「貯蓄は三角、保険は四角」という言葉を覚えておきましょう。下の図のように縦軸を金額、横軸を時間とした場合、貯蓄は時間の経過とともに金額が積みあがって三角形を描きますが、保険は契約と同時に決められた金額が用意できるため四角形を描きます。つまり、保険は契約した瞬間に必要な額のお金が用意できるという大きなメリットがあります。

私的保険を選ぶときに知っておきたいこと

 それでは、「私的保健の選び方」について見ていきましょう。ここでは、生命保険を例としました。生命保険とは、一家の大黒柱が亡くなったときに遺族にお金を残したり、傷病時に入院費を準備するための保険を指します。

 

 生命保険には、終身保険、養老保険、定期保険という3つの基本形があります。まずはこの3つの違いを下の図から理解しましょう。

 

 生命保険や医療保険の場合、主契約と特約を組み合わせてセットで売っている点にも注目しましょう。主契約とは保険契約のベースとなる保証のこと。特約はオプションとして必要なものを選び、主契約に付け加える保障です。特約は一部を除いて保険料がかかります。1つの主契約に、いくつもの特約を付けると、保険料は高くなってしまうため、保険商品を選ぶ際には慎重な検討が必要なのです。

民間の医療保険には入るべき?

 病気やケガはお金がかかると心配する人が万一に備えて入るのが民間の「医療保険」です。医療機関を受診して入院や手術をすると、保険会社から給付金や一時金が支払われます。こちらも生命保険と同じように、主契約と特約を組み合わせて売られています。通院特約やがん特約など特約をつければ保障範囲は広がりますが、その分、保険料が増えるため、検討が必要です。

 

 健康保険などの公的医療保険は、じつはかなり充実した保険内容になっています。例えば医療費の自己負担は原則3割で済みますし、一定額を超えた分は高額療養費制度で払い戻されます。あなたがサラリーマンや公務員で、もし病気で働けなくなっても、健康保険に加入していれば傷病手当金が支給されます。個人事業主の方だと、国民健康保険には傷病手当金がない点に注意が必要ですが、公的医療保険には、とても手厚い保障が用意されているのです。

 

 公的保険だけで不十分に感じる場合は、保障を補完できる民間の医療保険への加入を検討するとよいでしょう。

 

 いかがでしたか? 保険は、やみくもに加入するのではなく、必要性とコストを天秤にかけて慎重に選ぶことが大切です。

 

 私が監修を務めた『サクッとわかるビジネス教養 お金の基本』ではより詳しく保険について解説しておりますので、ぜひご一読ください。

出典『サクッとわかるビジネス教養 お金の基本』

イラスト 横井智美

本書は上記出典を再編集したものです。(新星出版社/大森)

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杉山敏啓(スギヤマトシヒロ)
江戸川大学教授・博士(経済学)
1969年東京都生まれ。聖光学院高等学校卒業、青山学院大学経済学部首席卒業、早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了、埼玉大学大学院人文社会科学研究科博士後期課程修了。都市銀行系シンクタンクで金融分野の研究開発・コンサルティングに長年従事。この間、立命館大学MOT大学院客員教授、東京大学大学院工学系研究科研究員、京都市会計室金融専門員などを兼務歴任し金融分野の理論と実務の両面に深く携わる。2018年より江戸川大学社会学部経営社会学科教授として金融ビジネス基礎、ファイナンシャル・プランナー育成ゼミ等の講義で教鞭をとる。日本証券アナリスト協会認定アナリスト、証券経済学会員、日本金融学会員。
著書(含む共著・監修)に『金融の基本教科書』(日本能率協会マネジメントセンター)、『用語でわかる金融の基本としくみ』(日本能率協会マネジメントセンター)、『手にとるように金融がわかる本(監修)』(かんき出版)、『ペイオフ対策のための金融機関評価と選択』(生産性出版)、『銀行の次世代経営管理システム』(金融財政事情研究会)、『金融機関のアウトソーシング』(シグマベイスキャピタル)、『日本金融の誤解と誤算』(勁草書房)、『銀行業の競争度』(日本評論社)など。金融専門誌や学術誌への寄稿、講演、メディア取材対応等の実績多数。
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