日本には国宝に指定されている仏像が全国に140体近くあります。性別や髪型、ポーズなど、それぞれ特徴的で、表情や体つきも個性豊かですよね。今回は『会いに行きたくなる!日本の仏像図鑑』で紹介されている仏像のなかから、筋肉美が素晴らしい、セクシーな仏像を3体、ご紹介します。
写実性を追求した鎌倉彫刻の傑作。東大寺仁王像のように寺門を守護する巨大像ではなく、堂内に設置されたほぼ等身大の小型の像です。しかし、その分、張りつめた筋肉や全身から発する気が生々しく、リアルな存在感があります。玉眼(水晶)から発する眼光も鋭いです。
【データ】12世紀後半 像高/阿形像154㎝・吽形像153.7㎝ 寄木造 彩色 奈良県
もとは執金剛神という一体の神。寺院の山門などに左右一対で設置されるようになり、金剛力士、または仁王(二王)と呼ばれるようになりました。金剛杵を手に凄まじい忿怒相で威圧し、仏敵や悪魔を撃退します。
一般には門に向かって右側が口を開いた「阿形像」、左側が口を閉じた「吽形像」。上半身裸形が多く、筋骨隆々、力感あふれる仏像です。
くっきりとした眉、切れ長の目、閉じた口元に強靭な意志を感じさせる個性的な風貌。力強さと不思議な美しさをあわせ持つ阿弥陀像で、その男性的な魅力から、“仏像界の高倉健”と慕うファンもいます。
威厳に満ちたお顔ですが、角度や光によって優しい笑みを浮かべているようにも見えます。
【データ】9世紀~10世紀初め 像高80.6㎝ 一木造 彩色 京都府
福徳を授ける幸福の女神。そのふくよかな美貌を、華麗であでやかな衣装・装飾が引き立てています。誰もが魅了される天女の姿は吉祥天像の最高傑作ですが、どんな仏師の手によるものなのか、いまだに謎。秘仏のため、開帳日(年3回程度)にご注意。なお浄瑠璃寺では九体阿弥陀如来像(国宝)も必見です。
【データ】13世紀前半 像高90㎝ 木造 彩色 京都府
金剛力士立像、阿弥陀如来坐像、吉祥天女立像、それぞれのもつ大きな特徴が魅力的ですね。あなたはどの仏像がタイプですか?
またこのほかにも、雲上で舞い踊るキュートな菩薩「雲中供養菩薩像(うんちゅうくようぼさつぞう)」、妖艶さを漂わす密教の秘仏「如意輪観音坐像(にょいりんかんのんざぞう)」、伝説の美女の面影を伝える聖観音「楊貴妃観音像(ようきひかんのんぞう)」など、数多くの仏像が『日本の仏像図鑑』で紹介されています。ぜひお気に入りの仏像をチェックしてみてくださいね。
出典『会いに行きたくなる! 日本の仏像図鑑』
イラスト 鈴木あつよ
本記事は、上記出典を再編集したものです。(新星出版社/向山)
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