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2026.02.06

日本海側の地域で雪が降りやすいのはなぜ?
【知っているようで知らない気象の知識】

 今冬、強烈な寒波が押し寄せ、大雪を記録していますが、そもそもなぜ日本海側の地域で雪が降りやすいのか、説明できますか? 

 寒さと雪がおとずれる冬の天気について、『こども気象学』(新星出版社刊)から一部抜粋・再編集してお届けします。

冬の天気の特徴

 冬になって冷やされた大陸上で発達する高気圧と、北海道の東海上で発達する低気圧により、「西高東低」の気圧配置になる冬。日本には、北西から冷たい季節風が吹きつけてきます。冷たい季節風が日本海上の水蒸気を含むと、雲ができて日本海側の地方に雪を降らせます。山を越えた季節風は、乾燥したからっ風となり、太平洋側は乾いた晴れの日が続きます。

日本海側で雪が降りやすいのはなぜ?

 日本の冬の日本海側と太平洋側では、雪の降り方が違います。これは、冬の気圧配置と、風の流れが関係しています。

 

 冬には、ユーラシア大陸にシベリア高気圧という強い高気圧が存在していて、大陸から冷たくて乾いた北西の風が吹いてきます。これが日本海の上を通る時、比較的暖かい日本海から水蒸気がたくさん蒸発し、それが雪雲をつくります。その雲が日本列島の山にぶつかって、大雪を降らせます。

 

 日本列島の山は高いので、発生した雪雲はなかなか山を越えられず、日本海側にとどまり、太平洋側には乾いた風だけが吹き下ろします。そのため、雪は日本海側で降り続き、太平洋側は雪が少ないのです。

山あいの「山雪型」・平野の「里雪型」

 西高東低の冬型の気圧配置で降る大雪のタイプには、「山雪型」と「里雪型」があります。等圧線が縦にたくさん並ぶ冬型の気圧配置のときには、強い風が山の斜面に吹きつけて雪を降らせるため、山間部で大雪になる「山雪型」になることが多いです。これに対して、等圧線の間隔は広いけれどもとても強い寒気が入ってくると、日本海の上で積乱雲の列が発達して、海に近い平野で大雪となる「里雪型」になることが多いです。

予報が難しい「太平洋側の雪」

 冬の太平洋側の地方は乾燥した晴天が続くことが多いのですが、ときには、大雪が降ることがあります。

 低気圧が太平洋側の南岸を東に進むと、太平洋側の地域も天気が悪くなり、雨や雪が降ります。雪に慣れない地域では雪が少しでも積もると交通機関などに大きな影響があり、雪の予報には関心がとても高いのですが、雲の中の雪がそのまま地上に降るのか、途中でとけて雨として降ってくるのかは、気温や湿度の微妙な違いで決まります。このため、太平洋側の雪の予報は難しいことが多いです。

ナポレオンもかなわない「冬将軍」

 日本の北西にあるシベリア気団による、特に厳しい寒さをさす言葉が「冬将軍」。有名なフランスの皇帝ナポレオンがロシアに攻め込んだ際、あまりの寒さから敗北を喫してしまったことが由来で、当時のロシアの寒さが冬将軍と呼ばれるようになり、やがて冬の厳しい寒さを指す言葉となりました。

目の前が真っ白になる「ホワイトアウト」

 吹雪や大雪によって、視界が白一色になることが「ホワイトアウト」です。ホワイトアウトが発生すると、視界不良で先が見通せなくなり、右や左、上と下もわからなくなってしまいます。

覚えておこう【季節風】のしくみ

 季節によって決まった風向きに吹く風を季節風(モンスーン)といいます。海と陸の温度差によって発生します。

 日本列島付近では、冬は大陸から海に向かって北西の風が吹き、日本海側で雪が降りやすくなります。夏には海から大陸に向かって、南東または南西の風が吹くことが多く、太平洋側で雨が降りやすくなるのです。

季節風(モンスーン)

出典『こども気象学』

こども気象学
隈健一 監修
大気で起こるさまざまな現象とそのしくみ、天気予報がまるごとわかる!生活に欠かせない気象の知識を小学生向けにゼロから解説する本。
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隈健一(クマケンイチ)
東京大学先端科学技術研究センター シニアプログラムアドバイザー
気象庁で数値予報開発に携わり台風予報の精度向上に貢献。東京管区気象台長、観測部長を経て2019年3月に気象研究所長にて定年退職。東京大学先端科学技術研究センターにおいて、JSTのCOI-NEXT(共創の場形成支援プログラム)のClimCORE(地域気象データと先端学術による戦略的社会共創拠点)の立ち上げに関わり現在このプロジェクトの推進中。
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