会社に入ってすぐに必要とされる業務のひとつに、電話応対があります。会社を代表して電話を受けている意識をもち、会社のイメージを損なわないように、丁寧な言葉づかいを心がけましょう。
今回は、『とっさに使える敬語手帳』より、電話に出たときの応対のしかたについて解説します。
☎「もしもし……」
↓ 正しい言い換え
「はい、こちら〇〇社でございます」
💭後に続く言葉⇒「いつもお世話になっております」
電話応対は、社内や部課内の慣習にしたがいますが、最初に社名を名乗るのが基本です。午前中の早い時間にかかってきた電話では、最初に「おはようございます」と述べる場合もあります。会社の電話では、「もしもし」は不要。「いつもお世話になっております」などのあいさつを欠かしてはなりません。
すぐに出られなかったとき
「大変お待たせいたしました。こちら〇〇社でございます」
呼び出し音が3回鳴るまでに電話に出ましょう。対応が遅れてしまった場合は、会社名を名乗る前に、「お待たせいたしました」と、おわびの言葉を述べます。
☎「どなたですか?
↓ 正しい言い換え
「失礼ですが、お名前をお聞かせいただけますか?」
💭もしくは、「お名前をおうかがいしてもよろしいでしょうか?」
電話の相手が名乗らない場合は、「失礼ですが」と前置きしてから、「お名前をお聞かせいただけますか?」と丁寧にたずねましょう。
☎「どちらの会社の方ですか?
↓ 正しい言い換え
「失礼ですが、どちらの会社の〇〇様でいらっしゃいますか?」
💭続ける言葉⇒(相手が社名を名乗ったら)「いつもお世話になっております」
担当者に取り次ぐ際は、会社名と名前をうかがいます。「どちらの〇〇様でいらっしゃいますか?」と尊敬語を使った方が、良い印象を与えます。
☎「よく聞き取れなかったので、もう一度名前を言ってください」
↓ 正しい言い換え
「もう一度お名前をおっしゃっていただけますか?」
💭前に述べる文例。会話を円滑に進めるためのクッション言葉⇒「申し訳ございません」
「聞き取れなかった」と告げるだけでは、相手の話し方が悪かったような印象を与えてしまいます。「申し訳ございません」というクッション言葉を使いましょう。
☎「わたくしにはよくわからないので、くわしい人にかわります」
↓ 正しい言い換え
「担当の者にかわりますので、少々お待ちくださいませ」
💭もしくは、「〇〇部におつなぎいたしますので、少々お待ちください」
担当外の用件を、相手が話し始めたときの対応です。「わかりません」「知りません」は禁句。「わたくしではわかりかねますので、担当の者にかわります」などと述べます。
☎「どなたにご用でしょうか?」
↓ 正しい言い換え
「どの者をお呼びいたしましょうか?」
💭もしくは、「担当の者の名前はおわかりでしょうか?」
社内の人間は、身内とみなして「どの者」と表現。同姓の人がいるときは、「〇〇は社内に2人おりますが、フルネームをご存じでしょうか?」などと尋ねます。
☎「〇〇さんですね? しばらくお待ちください」
↓ 正しい言い換え
「〇〇にかわりますので、少々お待ちください」
💭もしくは、「かしこまりました。〇〇におつなぎいたします」
相手を待たせずに、すぐに取り次ぎができる場合は、「しばらく」ではなく、「少々」と言い換えましょう。社内の人間は身内とみなし、呼び捨てにすることも忘れずに。
☎「〇〇はわたしですが……」
↓ 正しい言い換え
「はい。わたくし、〇〇でございます」
💭後に続く言葉⇒「いつもお世話になっております」
電話応対では、自分のことを「わたくし」と呼ぶように心がけましょう。文末に丁寧語の「~でございます」をつけることで、さらに丁寧さの度合いが高くなります。
☎「よろしくどうぞ……」
↓ 正しい言い換え
「失礼いたします/ごめんくださいませ」
💭前に述べる文例。会話を円滑に進めるためのクッション言葉⇒「お電話ありがとうございました」
語尾を濁して電話を切るのは、好ましくありません。最後まで気をゆるめず、「失礼いたします」「ごめんください(ませ)」と、礼を尽くして受話器を置きましょう。
電話は、相手の顔が見えない分、いつも以上に気を配る必要があります。敬語を正しく使い、スマートな対応を心がけましょう。
※本記事は、下記出典をもとに、一部加筆し、再編集したものです。(新星出版社/向山)
産業能率短期大学、専修大学卒業。総合商社の常務付秘書、専門学校の秘書科講師を経て、平成3年にクロスポイントを設立。産業能率大学では、敬語をはじめとしたビジネスマナー、秘書検定、サービス検定を担当。また、企業の秘書研修、管理職の作法等を中心に研修講師として活躍。
秘書検定準1級面接試験委員、ビジネス実務マナー検定試験委員、サービス接遇検定運営委員を経て、実務技能検定協会 評議員、秘書・サービス教育学会監事を歴任。