医学博士。イシハラクリニック院長。ジョージア共和国科学アカデミー長寿医学会名誉会員。
1948年長崎市生まれ。長崎大学医学部を卒業して血液内科を専攻。同大学院博士課程で「白血球の働きと食事・運動の関係」の論文で医学博士の学位を取得。スイスの自然療法病院、B・ベンナークリニックやモスクワの断食療法病院でガンをはじめとする数々の病気、自然療法を学び、コーカサス地方の長寿村にも長寿食の研究に5回赴く。テレビ、ラジオなどの出演や全国講演でも活躍中。
新型インフルエンザに新型コロナウイルス…。近年、私たちの命を脅かすようなより強固なウイルスがどんどん現れています。
また、厚生労働省の人口動態統計調査によると、死亡原因のトップは悪性腫瘍(がん)。2018年の全死亡者数136万人のうち、男女ともおよそ3割を占めています。
これらのウイルスや病気から身を守るために、私たちの体には、「免疫機能」が備わっています。この中心となるのは白血球ですが、白血球は「冷え」にとても弱く、体温が下がると基礎代謝も免疫力も落ちてしまうのです。
そこで今回は、『体を温め、病気を治す』から、なぜ私たちの体は冷えに弱いのか?自分のからだはどのくらい冷えているのか?冷えを治すにはどうしたらいいか?について、連載で解説します。
人類は300万年前、アフリカ大陸のゴリラから派生したといわれています。人類はもともと「南」の生まれ。暑さに対して体温調節できても寒さには十分に対応できないのです。雪山などで遭難すると人間が凍死してしまうことからわかるように、冷え」は人の命をおびやかします。実際、1年でもっとも死亡率が高いのは気温の下がる冬ですし、なかでも冷えこみのきつい午前3時から5時台の死亡率が高くなっています。
気温が下がって体が冷えると、抵抗力の弱った人は死に至るということがわかります。そこまで体が弱っていなくても、たとえば喘ぜんそくやアトピーなどを抱えている人の症状が悪化するのも午前3時から5時。「冷え」が体に悪影響をおよぼすことを示しています。
体が冷えると血管が収縮して体のすみずみに血液が行き届きません。
血液は人間の体に必要な栄養、酸素、水や白血球などの免疫物質の運搬を担っていますので、その流れが滞ると体調不良や病気をひきおこすのです。
免疫機能の中心となる白血球は「冷え」に弱く、体温が低い状態では力が十分に発揮できませんから、血液の循環が悪いところ、冷えているところに病気が出るのです。現代の三大疾病であるガン、心筋梗塞、脳卒中のいずれも「冷え」と大きな関係があります。
体温が1度下がると基礎代謝は約 12 パーセント、免疫力は約 30 パーセント落ちてしまいます。体温36.5度を健康時とすると、35.5度で排泄障害、35.0度ではガン細胞が活性化してしまうのです。
よって「冷え」は体の働きをおとろえさせ、血液の循環が悪いところ、冷えているところに病気が出る、というわけです。
① 午前10時の体温が、36.5度以下である
② 顔は赤いが唇や歯茎は紫色だ
③ 手足は温かいが、お腹は冷たい
④ 冬場は風呂上りでもすぐに手足が冷たくなる
⑤ 清涼飲料水が好き
⑥ 果物が好き
⑦ 入浴はシャワーのみ
⑧ やたらと汗をかく
⑨ 目の下にクマがある
⑩ 青アザができやすい
⑪ 生理不順、不正出血がある
⑫ 痔による 出血がある
*YESが9以上…冷え度100%
あなたの体は完全に冷え切っています。「冷え」によって、すでに、なんらかの病気を抱えているかもしれません。
体の不調は気分も滅入らせてしまうもの。そう、心まで冷えるのです。 食事の内容や生活習 慣を根本的に変えるようにしましょう。
*YESが 5〜8の人…冷え度75%
あなたの体はかなり冷えています。 実際、体調不良を感じることも多いでしょう。でも、その体調不良の原因が自分自身でもわからず、とまどっているのではないでしょうか。体を温めるように心がけるだけで、体の悩みがスッキリ解消できるはずです。
*YESが 1〜4の人…冷え度50%
あなたの体は冷えつつあります。しかし、まだこれといって大きな問題には至っていないと思われます。体を冷やす原因は、食生活、ストレスなどさまざまです。自分がなぜ冷えるのかを理解し、生活を改善しましょう。
*YESが 0の人…冷え度0%
あなたは病気のさまざまな原因となる「冷え」とは無縁。 でも、どうして自分の体が温かいのか、理由はわかりますか? なんとなく生活をしていて体が温かいのは運がいいだけかも。いまの温かさを維持するため、「冷え」のメカニズムを理解し、予防に努めましょう。
さて、あなたの冷え度はどのくらいでしたか?
👉次回(第2回)は、「どうして体は冷えるのか?」「どんな食べ物が体を温める?」などについて解説します。
※本記事は、下記出典をもとに一部加筆・再編集したものです。(新星出版社/向山)
1948年長崎市生まれ。長崎大学医学部を卒業して血液内科を専攻。同大学院博士課程で「白血球の働きと食事・運動の関係」の論文で医学博士の学位を取得。スイスの自然療法病院、B・ベンナークリニックやモスクワの断食療法病院でガンをはじめとする数々の病気、自然療法を学び、コーカサス地方の長寿村にも長寿食の研究に5回赴く。テレビ、ラジオなどの出演や全国講演でも活躍中。クリニック院長のほか、伊豆で健康増進を目的とする保養所、ヒポクラティック・サナトリウムを運営。ベストセラーとなった『生姜力』(主婦と生活社)、『食べない健康法』(PHP研究所)、『体を温めると病気は必ず治る』(三笠書房)』を含め著書は300冊以上にのぼり、米国、ロシア、ドイツ、フランス、中国、韓国、台湾、タイなどで100冊以上が翻訳されている。(書籍刊行時)