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2020.08.20
トップコンサルタントが教える「成功する転職 6」

【最終回 ビジネスパーソンとしての 長い人生について】

森本 千賀子
NHKプロフェッショナル仕事の流儀「会社も、人も、もっと輝ける~転職エージェント 森本 千賀子」出演。
1970年生まれ。獨協大学外国語学部卒業。1993年リクルート人材センター(現・株式会社リクルートキャリア)に入社。2012年4月より株式会社リクルートエグゼクティブエージェントに転籍。大手からベンチャーまで幅広い規模・業種の企業に対する人材戦略コンサルティング、採用支援サポート全般を手がけ、主に経営幹部・管理職人材の採用および転職支援に取り組む。これまで3万人超の転職希望者と接点を持ち、2000人超の転職を媒介してきた。2017年3月、株式会社morichを設立。パラレルキャリアを実践し転職・中途採用支援ではカバーしきれない企業の課題解決に向けたソリューションを提案、実行する。

 第1回~5回では、転職活動に必要なことから、転職先での実務を遂行するコツまでをお話ししました。最終回の今回は、もっと長期的な視座に立ち、「ビジネスパーソンとしての長い人生」についてお話しします。

これからはもっと自由にキャリアをつくれる!

1社に縛られる時代は終わった

 

 新卒で入社し3年以内に3分の1が辞める時代。1社に忠誠を尽くし、「骨を埋める」のを美徳とする時代はもう終わりました。

 もちろん、安易な転職をお勧めするわけではありません。しかし、複数の企業で経験を積むことでキャリアを飛躍させていく人々は大勢います。ビジネス環境が激しく変化していく中で、「イノベーション」を起こせるのは、単一のビジネスモデルやカルチャーに染まり切った人ではなく、あらゆる経験を積んで、それらを効果的に融合させられる人なのです。

「副業解禁」の動きが加速中

 このことに気付いている企業は、社員の能力や価値を高めるために、幅広い経験を積ませる施策を打っています。その一つが「副業解禁」です。

 

 実際に先進的な企業では、社員たちが自社の業務に携わりながら、他社の新規事業立ち上げやプロモーション戦略などのプロジェクトに参加しているケースが多数見られます。

 政府も、働き方改革の一環として正社員の副業や兼業を後押ししており、この動きはますます広がるでしょう。

 

 また、なかには「他の会社も見てみたい。でもこの会社が好きだから辞めたくない」という社員の声を聞いて、期間限定での 「出戻り」を歓迎している企業もあります。

 

 あなたが所属する企業の人材育成方針がどうであれ、「ビジネスパーソンとして、自身の価値を高め続ける」という意識はぜひ持ち続けてください。

ボランティアのすすめ

 

 会社の規則で副業が禁じられている場合、「ボランティア」という形で社外の活動に参加する手もあります。

 副業やボランティアといった社外活動を通して視野が広がると、本業にも好影響が出ますが、効果はそれだけではありません。自身の「メンタルケア」にも役立ちます。

 

 会社では、自分の担当する業務をこなしたところで「当たり前」。お礼を言われることはそうそうありません。ところが、社外で誰かの役に立てば、感謝してもらえます。自身のスキルやノウハウ、働きぶりが他者から認められ、「必要とされている」と実感することもできます。そうして自信を取り戻したら、本業にもポジティブな気持ちで臨めるようになるでしょう。

自分マーケティングと社外の人脈づくり

「自分ブランド」を社外にも広める

 

 ここまででお話しした「自分ブランド」。それをSNSや社外のコミュニティなどを活用して、ぜひ会社に広めましょう。

 

 さまざまな人の目に触れるほど、思いがけないところから協業の相談が寄せられたり、プロジェクトへの参加を要請されたりと、強みを生かせるチャンスが広がっていきます。

  また「リアルな場」はどんなに時代が変わろうとしても大切にしたいものです。同じ時間に同じ空間を共有した相手とは、より深い交流に発展しやすいように思います。

新しい時代のリーダーを目指す

「人を動かす力」を高める

 

 

 「マネジメントのポジションで活躍したい」「周りを動かして、自分の志を実現したい」という人にとって、どのような行動や心構えが必要なのでしょうか。

  特にマネジャーとして転職し、入社直後から「部下」を持つ立場になった人は、指示を出すだけでなく、自ら行動して見せることが肝要です。

 

 単に高い業績を上げたり、自分が評価されたりするためではありません。「WILL」を実現するのだという「本気」を態度で示すのです。そうして「大義」を語り、部下とも本気で向き合い続ければ、あなたは部下たちから強い共感と信頼を得ることができるでしょう。

成長し続けるために

 

 業務に必要な知識は会社で身に付きますが、それ以上の情報やノウハウは自ら取りに行かなければ得られません。そのためには、読書をする、資格を取得する・英語力を磨くなど、さまざまな知識やノウハウを身に付けていくことも大切です。

 

 また、プライベートや趣味での集団行動が、仕事で生かせる「チームワーク力」や「マネジメント力」につながるケースはわりと見られます。 

 人生を楽しんでいる人は、やはり魅力的。「この人と一緒に働きたい」と自然に仲間が集まってきます。結果、多くの人から協力を得られ、成功するチャンスもつかみやすくなることでしょう。

「メンター」の導きでビジネス人生を生き抜く

 これまでの人生でも、選択や決断を迫られ、迷ったり悩んだりしたことはあると思います。そこで重要になってくるのが、「メンター(指導者・助言者)」の存在です。幅広い業界・年代の人と交流し、その時々で抱える課題ごとに、自分よりも経験豊富な人に教えを請うことをお勧めします。

 そして行き詰った時こそ、思い切った発想の転換が必要です。あえて自分とはまったく異なる世界で成功を収めている人に近づき、その考え方やノウハウを学び取ってください。

幸せなビジネス人生のために

選択基準はいつも「ワクワク・ウキウキ・ルンルン」

 

 私は会社を設立し独立した2017年「ワクワク・ウキウキ・ルンルン」を人生のテーマに掲げました。「ときめき」と言い換えることもできます。これを基準に日々行動していると、ストレスを感じにくく、自然に前向きな発想や新しいアイデアが生まれ、「やりたくて仕方がない」という行動力が湧いてきます。

 

 人は居心地の良い場所にしがみ付くようになったとき、それを感じられなくなるのではないでしょうか。

 

 新しいプロジェクトに参加する、普段接しない人が集まる場所に足を運んでみるなど、いつもと少し行動を変えるところから始めてみてはいかがでしょうか。そうして、まだ見ぬ自分と出会い、「ワクワク・ウキウキ・ルンルン」のあふれるキャリアを歩んでいっていただきたいと思います。

 

 

 

MORE

●「自分ブランド」の社外への広め方・社外人脈の開拓方法例

●「マネジメントのポジションで活躍したい人のための、人を動かす力の高め方」

●若手社員のマネジメント方法

●ビジネスパーソンとして成長し続けるためのおすすめの本

●「メンター」の具体的な探し方

などについて詳しく知りたい方は👉こちら

※写真/shutterstock

※本記事は、下記出典を再編集したものです。(新星出版社/向山)

無敵の転職
森本千賀子(プロフィールは下記参照)
“納得の一社”の内定を勝ち取り、新しい職場で活躍するための心得を、企業の本音を知り尽くした転職請負人が伝授する。面接~入社直後を乗り切る具体的な方法を、転職のプロが実体験をもとに具体的にわかりやすく解説していく。著者はNHKプロフェッショナル仕事の流儀「会社も、人も、もっと輝ける~転職エージェント 森本 千賀子」に出演した転職成功のプロフェッショナル。
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NHKプロフェッショナル仕事の流儀「会社も、人も、もっと輝ける~転職エージェント 森本 千賀子」出演。
1970年生まれ。獨協大学外国語学部卒業。1993年リクルート人材センター(現・株式会社リクルートキャリア)に入社。2012年4月より株式会社リクルートエグゼクティブエージェントに転籍。大手からベンチャーまで幅広い規模・業種の企業に対する人材戦略コンサルティング、採用支援サポート全般を手がけ、主に経営幹部・管理職人材の採用および転職支援に取り組む。これまで3万人超の転職希望者と接点を持ち、2000人超の転職を媒介してきた。2017年3月、株式会社morichを設立。パラレルキャリアを実践し転職・中途採用支援ではカバーしきれない企業の課題解決に向けたソリューションを提案、実行する。また、放課後NPOアフタースクール、一般社団法人ソーシャル・インベストメント・パートナーズの理事として、また複数社の社外取締役やアドバイザー、アンバサダーなどの活動にも注力。プライベートでは家族との時間を大切にし、二男児の母でもある。「妻」「母」「ビジネスパーソン」として充実した“トライアングルハッピー”の状態を目指す。
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