いまではすっかりなじみの、インターネット証券。どのようにすれば口座を開設できるの?利益を得るにはどういった方法があるの?どうすれば株の値段は上がるの?などなど、初心者にとってはわからないことばかり。
『マンガでわかる最強の株入門』より、今回は「株価の動きの探り方」「億り人になれる人・なれない人」について解説します。
消える事業、消える企業もある
株価の動きは「変化」に大きく反応します。想定していた業績より、さらにいい業績が見込めるとなれば株価は上昇し、業績が悪い方へ着地するとなれば株価は下がります。そして業績とは、社会の変化にも大きく左右されます。
例えば、ここ数年でさまざまなものがアナログからデジタルへと変化しました。音楽はレコード盤からCDへと移行し、今ではネット配信もされています。そのためレコードやレコード針を製作する事業は、社会の変化とともに淘汰されていきました。
「身近なニュース」に敏感に!
富士フイルムという優良企業があります。もともと写真フィルムの製造販売を行っていましたが、社会の変化に対応するため、現在では液晶フィルムや医療機器などの事業に転換しています。もし写真フィルム事業をそのまま主軸に据えていたら、現在のような好業績は維持できなかったでしょう。
このように社会の変化は企業の業績や業態に大きな影響を与えるので、株取引を行う際には見逃さないことが重要です。
その変化はテレビやネットのニュースで得るほか、身近な話題や自身の実感として感じることができます。
ミクロ視点とマクロ視点
社会の変化はミクロとマクロの視点でとらえる必要があります。前者は企業の業績に影響を与える小さな変化、後者は企業そのものの形態にも影響を与えかねない社会の変化です。
例えばコンビニで売れ筋の商品は何か、世間でどんな映画がヒットしているか、といった情報はミクロの視点です。これに対してマクロの視点は、前項で紹介した「アナログからデジタルへの移行」というような大きな変化を指します。
世の中がどうなるか想像しよう
IOTや人工知能が発展してきた現代。関連銘柄の株はすでに上昇過程にあります。ほかにも環境問題への意識向上から、燃料電池の開発などが盛んな自動車業界では、蓄電池の関連企業が注目されています。どんな株を購入するか悩んだときは、世の中の傾向を考えてみましょう。
売り時も想定しておこう
株式投資は、買うときの「入口」のほかに、売り時である「出口」もしっかりと想定しなければなりません。特に初心者にとって売るときの判断は難しいとされています。株価で利益を上げるということにとらわれ、株価が下がったときまで考えていないこともしばしば。そのような人たちは、ひとたび株価が下落するとパニック状態になり、正しい投資行動をとれない可能性が高くなります。
株価が上昇したときも同様です。売りどきを考えておかないと、「まだまだ株価は上がりそうだ」と欲を出したり、「今売らないと、これから下がったらどうしよう」という心の迷いが出てきたりします。
どんな状況にも対応できるように
実際に、株を売ったあとで株価が急上昇して「失敗した」と悔やんだり、さらに上昇すると欲をかいてホールドした結果、「売り損ねた」と悔やんだりすることもあるかもしれません。
このような失敗を繰り返さないためには、あらかじめ「株価が〇円まで上昇したら利益確定の売りを出そう」「もし〇円まで下落したら損切しよう」と自分なりのシナリオを作成しておくことが大切です。シナリオさえ作っておけば、株価の乱高下に左右されず、冷静な取引ができるようになるはずです。
下落したときに株を売る「損切り」
購入した株が値下がりしたときにどう対応するかが、トータルでの運用成績に大きく左右します。ここでは2つの対処法を紹介します。
1つ目の対処法は早めに見切りをつけて売却してしまう「損切り」。損失を最小限に抑えて別の銘柄に乗り移るという発想で、価格が10%下落したら売却するなどシナリオを決めておく方法です。いくらで損切りするかは投資家の判断によりますが、下落幅が大きいほど、株価が回復するまで時間がかかります。
買いコストを下げる「ナンピン買い」
株価が下落したときの2つ目の対処法は、「ナンピン買い」です。これは株価が下落したところで株を買い増しして、買い平均コストを下げるという方法です。買いコストを下げれば、株価が回復したときに早く損失を打ち消せるという考え方です。例えば1000円で購入した株価が800円まで下落したとき、同じ株数を買い増しすればコスト平均は900円になります。つまり、株価が900円に回復すれば損失を打ち消すことができるようになります。
ただし注意しなければならないのは、あくまで株価が回復するという見込みがあってこそ。下落した理由などチェックし、回復するかを見極めましょう。
勉強不足では儲けられない
株の分析や取引方法の知識を身に付けたからといって必ずしも利益を上げられるとは限りません。いくら知識を身に付けても情報収集を怠るといったスタンスだと、株で利益を得るのは難しいでしょう。
ですが、しっかり勉強した上で、さらに情報収集も怠らずにやったのに、それでも思うような運用成績を上げられないといった怨嗟の声はよく聞きます。
これらの原因は何なのでしょうか?そういった投資家の投資活動を分析してみると、そのほとんどは「心のコントロール」が利かずに損失を被るケースが多いようです。
冷静さを失わない
株式投資では多額の資金を市場に投じます。「この元金を増やそう」という欲望と、資金が目減りし「勉強不足ではないか」という恐怖心の葛藤が生じます。
欲張りすぎると、「まだまだ上がる」とばかりにホールドを続け、けっきょく利益を得られないまま株価が反落。含み損を抱えたりします。また、思惑と違った株価の動きをしても損切りできずに損失を広げたりするケースもあります。
株取引では、過度に熱くなりすぎず、おびえることなく、つねに冷静な判断を下せる心のコントロールが必要なのです。
どんなに株式投資の達人でも10戦10勝というわけにはいきません。4敗しても残り6勝で利益を積み上げるという考え方が大切です。「1つだって負けたくない」という気持ちは理解できますが、あまりにその意識が強いと、わずか1敗(9勝)でもトータルで損を被るという結果になりかねません。逆にいえば、4勝6敗でも、利益面ではプラスということも株式投資では可能なのです。
株式投資では自分との闘いという側面もあります。精神のバランスを崩すことなく、うまくコントロールしていかないとまず勝ちは見込めません。
勝ち続ける人の手法に「絶対」はなく、人それぞれのやり方があります。そのためには基本のノウハウの上に、「実戦」を積み重ねていく中で生まれた自分なりの方法を加味していくことが必要です。株式投資で資産を上手に運用し、増やしていきましょう。
※本記事は、下記出典を基に再編集したものです。(新星出版社/向山)