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2024.01.31

「20度の1分シャワー」で体脂肪率5%減少する事例も 
医師が考案した糖尿病や高血圧にも効果がある方法

 寒い時期は活動量が減って太りやすいと思われがちですが、じつは冬は気温がぐっと低くなるので、体が体温を保てるよう盛んに熱産生を行い、夏よりエネルギー消費量が多くなります。

 

 あおき内科さいたま糖尿病クリニック院長の青木厚さんは、基礎代謝量を上げ、免疫力を高めるためにぜひ試していただきたい方法として、「COOLアタック」(感冷健康法)を提唱しています。青木医師は、「COOLアタックで基礎代謝量が上がり、血行がよくなると、体の機能のはたらきがよくなり、健康な体へと導くことができます。しかも肥満解消や美容効果など、見た目の若返りまでも叶えられ、糖尿病や高血圧の改善も期待できます」といいます。では、具体的にどのような方法なのでしょうか。その理論と具体的な実践方法を解説します。

 

※本稿は、青木厚『青木式 すごい感冷健康法』(新星出版社)の一部を再編集したものです。

(青木式COOLアタックとは、国内外の医学論文をもとに、民間療法、慣習などからヒントを得て独自に考案した健康法です)

健康と若返りを同時に叶える「COOLアタック」

 実は私、大変な虚弱体質でありました。内科医ということもあり、診療で患者さんから風邪をもらってしまい、月に一度は風邪をひき、そのため月の半分は体調が優れない状態が当たり前でした。風邪をひきやすいということは、免疫力が弱いという証拠。案の定、40歳のときには、“舌がん”を患いました。幸い適切な治療で一命はとりとめたものの、このままでは長生きはできないなと思いました。

 

「なんとか、体質改善をして免疫力を高め、健康な体を手に入れたい!」

 

 この思いから国内外の医学論文を読みあさり、古くからある民間療法を見つめ直すなどして、出会ったのが16時間断食、そして「感冷健康法」(COOLアタック)でした。

 

 COOLアタックのやり方は、水温20度前後のシャワーを、首から肩周辺に、20秒×3回(合計1分)当てるというもの

 

 この方法を始めてから半年後には体調を崩してもすぐに回復するようになり、その後、体調を崩すことはほとんどなくなりました。また、体調不良を感じない体になっただけでなく、見た目にも変化がありました。肌ツヤもよく、無駄な脂肪もついていない若々しい体になることができたのです。体重は10kg減りました。実際に私が自分の年齢を人に伝えると、驚かれることがしばしばです。

 

 体に冷たい刺激を与えることで、基礎代謝量と免疫力を高めます。その効果はさまざまなところに及び、結果として若返りも叶うという究極のすごい健康法なのです。

43歳女性の体験データ(実施期間4カ月半)。体脂肪率は5.1%減少し、全体の数値も良化
寒冷刺激によって免疫力と基礎代謝量が高まるわけ

 いくつもの論文から、寒冷刺激が細胞を活性化させたり、数を増加させたりして、病気を防ぐ、肥満を解消するなどの健康効果を上げていることがわかりました。さらに探っていくと、以下のようなことがわかってきたのです。

 

1.寒冷刺激は、交感神経を介してNK細胞とキラーT細胞を活性化させる。それにより感染症やがんの予防に効果が期待できる。

 

2.寒冷刺激は、交感神経を介して褐色脂肪細胞を活性化させる。それにより基礎代謝量を高める。中性脂肪を燃焼させて肥満の解消、糖尿病の改善が期待できる。さらにがん細胞の増殖を抑える。

 

 免疫細胞(NK細胞とキラーT細胞)は免疫力を、褐色脂肪細胞は基礎代謝量を高めるものですが、どちらの細胞も私たちの体にすでに存在しています。ところが、体調を崩しやすい、体の不調を感じている人は、これらの細胞が反応しにくい、あるいは活動しにくい状態になっています。健康でない体は、これらの細胞の“スイッチがOFFになっている状態”と考えるとわかりやすいかもしれません。

 

 私が実践するCOOLアタックは、シャワーの水を首から肩周辺にかけることで、これらの細胞のスイッチをONに切り替えて活発にはたらくようにします。これが細胞を活性化させるということです。

 

 基礎代謝量を高めるために着目すべきは、“褐色脂肪細胞”です。

 

 褐色脂肪細胞は、脂肪分を分解して燃焼する作用を持ち、首や肩の周辺、肩甲骨の間など限られた場所に存在しています。そして、この細胞は、ミトコンドリアを豊富に含み、強力な熱産生力があります。

 

 褐色脂肪細胞を最も多く持っているのは、生まれたばかりの赤ちゃんです。乳幼児は体温維持や生命維持のために褐色脂肪細胞がかかせませんが、それが成長とともに主に骨格筋がその役割を担うようになるため、褐色脂肪細胞はしだいに減少。成人になるとその機能も徐々に低下し、特に40歳以降は急激に減少して消失すると考えられてきました。

 

 ところが最近、がん診断などに使われるPET撮像装置というものによって脂肪細胞を可視化できるようになったことで、成人になっても褐色脂肪細胞がある程度残っていることがわかってきたのです。

免疫力と基礎代謝量を高める「寒冷刺激」

 加齢とともに減少する褐色脂肪細胞をいかにして活性化させるか。これはCOOLアタックの有効性を証明するためにも重要なことでした。その仕組みを調べていくうちに、答えを見つけました。褐色脂肪細胞の活性化には、交感神経が関わっていたのです。

 

「寒冷刺激が脳の中枢を介して交感神経を刺激したことで、褐色脂肪細胞が活性化され、熱産生が起こる」という研究報告をはじめ、交感神経から分泌される神経伝達物質(ノリエピネフリン)が、褐色脂肪細胞を活性化させるという研究報告が多数出てきました。そこで、交感神経をはたらかせるCOOLアタックの優位性を確信しました。

 

 それならば、誰もが実践しやすく、続けやすい方法を……と考え、自分自身の実体験に基づいてたどり着いたのが、免疫や代謝アップにはたらきかけるCOOLアタックです。

COOLアタックで交感神経がはたらくと、基礎代謝量と免疫力を高めることができる
COOLアタックの具体的な実践方法

 COOLアタックのやり方は、水温20度前後のシャワーを、首から肩周辺に、20秒×3回(合計1分)当てます(動脈硬化性疾患を持っている方、高齢の方は要注意、実践する場合は医師に相談すること。体調が悪いときは控える)。

 

 30秒×2回でも、1回で1分間続けてもよいのですが、この1分間という数字は、寒冷刺激による褐色脂肪細胞の活性化についての医学論文(Physiological.Reviews.2004;84:277-359)にある、「1分弱の寒中水泳が、ノルエピネフリン濃度を上昇させる」という記載が決め手となりました。

 

 COOLアタックは、私たちの体にある約37兆個もの細胞の中でも、特にがんや感染症などに抵抗する免疫細胞と、基礎代謝に関わる褐色脂肪細胞にはたらきかけることで健康効果を得ようというもの。医学論文の中には、「20度の冷水で5~7分、1日2回刺激する」というものもあり、必ずしも極端に冷たい刺激を与えているわけではありませんでした。ですからサウナの水風呂のようにキンキンに冷えた水に浸かったり、冷たいプールで何十分も泳いだりする必要はないと考えました。

 

 そこで、「冷たさを感じる」ことができればいいという観点から、効率的に健康効果を得られる方法を導こうと思い、「蛇口をひねって出た20度前後のシャワーの水を、20秒×3回かける」という方法に行き着いたのです。

シャワーを当てる場所は、首から肩周辺

 シャワーを首から肩周辺に当てるのは、褐色脂肪細胞が存在し、感受性が高い部分だからです。気温が高い時期などでも「冷たい」と感じやすいのです。ただ、ほかの部位でも「冷たい」と感じられれば、交感神経がはたらき、細胞は活性化するので、肩から背中周辺にかけるのに心配や抵抗のある人は、ほかの部位に当ててもかまいません。

 

 また、水温も20度前後としていますが、やってみて冷たすぎて続けられないようでしたら、水温を高めてください。体温より低い温度であれば多少「冷たいなあ」と感じられるはずです。通常、40度前後の水温でシャワーや入浴をしていると思いますので、体温より低い温度にするには、少し下げるくらいの調整です。ヒートショックなど体に不安がある人も、こうした無理のないところから徐々に取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

 20秒はゆっくりとした深呼吸を3~4回行うくらいの長さですが、これも必ず20秒でなくてかまいません。もう少し短くして回数を多くし、合計1分程度にするなど、自身で工夫してもいいでしょう。

 

 COOLアタックの基本のやり方では、冷たさを軽減するために水シャワーの前に体を温めていますが、それも必須ではありません。体を温めずに水シャワーから始めてもかまいませんし、体を温める場合でも湯船に浸からずに温かいシャワーですませてもいいでしょう。とにかく合計1分を目安とし、気持ちよく続けられるようにアレンジしてみてください。

入浴タイムで健康に。免疫力と基礎代謝量を高められる寒い時期こそおすすめ

 COOLアタックのやり方は、普段の入浴スタイルに沿うことを目的にしたものです。1日のどの時間帯に行ってもかまいません。また、複数回行うことも問題ありません。私の場合は一日の終わり、仕事を終えて家に帰ってからの入浴タイムにCOOLアタックを取り入れていますが、例えばウォーキングのあとのシャワータイムや、朝風呂のついでにも行うことがあります。試してみるとやみつきになる気持ちよさがありますので、神経質になりすぎずに取り組めば、自然と習慣になっていくことでしょう。

 

 慣れてくると、それまで「冷たい」と感じていたシャワーの水が心地よくなってくると思います。行ったあとは水を浴びたのに「体が温まっている」と感じる人も多いようです。実際、私ははじめて行ったときから、それを感じました。COOLアタックを実行し、浴室から出ると、体の中心部がジンジンとして、心から体温が上がってきている感覚になったのです。

 

 また、ある体験者からは「軽い日焼けをしたときのように、1時間くらい背中がヒリヒリし、活力が出てくる感じがした」という感想もありました。体温の上昇を感じられるかは個人差があります。ここまでの体感がなくても、「冷たい」と感じていれば交感神経がはたらいて、免疫力や基礎代謝量が高まっているはずです。

 

 COOLアタックによる精神面の変化についてはここではお伝えしませんが、私は毎度「スッキリした」という感覚になります。これは暑い時期も寒い時期も同じように感じています。

 水のシャワーをかけるのですから、夏から始めたいと思う人も多いでしょう。もちろんCOOLアタックはいつから始めてもかまいません。

 

 一方、気温の低い冬場でのCOOLアタックに抵抗を感じる人もいるかもしれません。ただ、この寒い時期こそ、COOLアタックを行うのに絶好の時季なのです。

 

 私たちの体は、外気の温度が変わっても体温を36度前後に保つために、熱産生を行っています。体温と気温の差が少ない夏場は、少ないエネルギー消費量で体温を保てるので、実は基礎代謝量は低めになります。逆に秋から冬は、体温よりも気温がぐっと低くなるので、体が体温を保てるよう、つまり基礎代謝量が高くなります。これにCOOLアタックを組み合わせれば、さらに基礎代謝量を高めることができるわけです。

 

 寒い時期は活動量が減って太りやすい、また乾燥していて肌が荒れやすいということはありませんか? 見た目の若返りを求める人も、寒い時期のCOOLアタックがピッタリです。

 

 風邪やインフルエンザなどの感染症が流行するのも冬が多いですよね。この時期には免疫細胞を活性化するCOOLアタックで免疫力を高めておきたいものです。

 

 続けていると、代謝がよくなることで肥満度が減少したり、肌や髪の毛にツヤやハリが出たり、内臓の調子がよくなったり、きっとその変化を実感できると思います。

 

 体験者の中には、「健康効果をすぐに実感できなくても、気持ちいいから続けている」という人もいましたが、やはり効果を感じられるのは嬉しいものです。健康法を実践することは、自分と向き合うことです。健康な状態に変化したことがちょっとでも感じられると、健康意識はより高まってきます。あなたも「今日より明日」の健康を目指して、続けてみてください。

出典『青木式すごい「感冷」健康法』

本記事は、上記出典を再編集したものです。(新星出版社 向山)

アイキャッチ画像:Shutterstock

図版:香取杏子

青木式  すごい「感冷」健康法
青木厚 著
ベストセラー『「空腹」こそ最強のクスリ』の著者、青木厚医師による健康書。
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青木厚(アオキアツシ)
医学博士。あおき内科さいたま糖尿病 クリニック院長。 自治医科大学附属さいたま医療セン ター内分泌代謝科などを経て、2015 年、 青木内科・リハビリテーション科(2019 年に現名称に)を開設。糖尿病、高血圧、 高脂血症、生活習慣病が専門。 インスリン離脱やクスリを使わない治 療に成功するなど成果を挙げている。 自身も40歳のときに舌がんを患うも 完治。本書の健康法を実践し、がんの 再発を防いでいる。著書『「空腹」こそ 最強のクスリ』(アスコム刊)は40万 部を超えるベストセラーとなる。

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