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2023.03.26
「老化」は他人ごとではない 脳の老化は40代から始まっている!?

和田秀樹先生が教える 健康で幸せに生きる“脳と心”の在り方

1960年大阪生まれ、東京大学医学部卒業。精神科医。
東京大学医学部付属病院精神神経科助手、高齢者専門の総合病院浴風会病院精神科、米国カール・メニンガー精神医学学校国際フェローを経て、国際医療福祉大学特任教授。川崎幸病院精神科顧問。ルネクリニック東京院長。老年精神医学専門の医者として、30年以上にわたり、高齢者医療の現場に携わる。

 人生100年時代。70代、80代になれば、当然「老い」が降りかかります。長寿国である日本人にとっては、老後、体に不調が起こることから逃れられません。同時に、脳が健康ではなくなる“ボケ”からも逃れられません。

 実は脳の老化は40代から始まっていると言われています。いつかは必ず自分にもやってくる“老い”。自分の“老い”を想像すると不安な心持ちになるのも当然です。そんな “老い”について知りたいと思う人は多いのではないでしょうか? 今回は精神科医の和田秀樹先生の著書『不幸で不安な80代 健康で幸せな80代』から学ぶ、 “脳と心”について、健康で幸せに生きるための知恵をご紹介します。

健康で幸せに生きる“脳と心”の在り方

脳と心の老いは考え方次第。脳の力を維持し、若々しい心を保つための秘訣を紹介します。

もの忘れが多くなったときの考え方

➡記憶力が落ちても考える力は伸ばせる

 

 歳をとるとどうしても衰えるのが記憶力です。軽度の認知症のでも「5分前に話したことを忘れている」ということは珍しくありません。家族からすると、5分前に話していたことを覚えていないなんてびっくりするでしょうし、同時にショックを受けるかもしれません。

 ただ、だからといって「何もわからなくなった」ということでもないのです。5分前のことを覚えていなくても、家族や友人とちゃんと会話ができる人はたくさんいますし、いつもの道を忘れてしまい道に迷うことが多くなっても、週刊誌を読んで理路整然と意見を言う人だっています。

 記憶力が衰えても、考える力がなくなったわけではありません。むしろ、それまでの人生を生き抜いてきた知恵はいくつになっても衰えないものです。その知恵を活用した考える力はいくつになっても伸びていきます。

脳の老化を遅らせるために何をすればいいのか

 それはとてもシンプルなことで、できる範囲で頭と体を動かし続けることです。体を動かせば頭も使います。認知症と診断される前と生活を変えなかったことが進行を遅らせる理由になると確信しています。昨日までと同じような生活を送ることが何よりの老化防止になる。できないことが出てきたとしても、できなくなったことを嘆くのではなく、できることを続けてみましょう。

日本人が苦手な前頭葉の鍛え方

➡老いると頭が固くなる。 常識は疑おう

 

 歳をとると新しいものを受け入れにくくなります。どうしても、思考がワンパターンになり、単純化したものの考え方をするようになり、「これまではこうだったから」という前例踏襲型の考え方をするようになるのです。そうなると、柔軟なものの考え方ができにくくなり、頭は固くなる一方です。こういう考え方をしていると、前頭葉の衰えが加速してしまいます。

 前頭葉は意欲や創造性を司っていて、ここが衰えると気力が湧かず、生きる活力が低下してしまいます。脳の老化では記憶を司る海馬が注目されがちですが、実は脳のなかでもっともはやく衰える部位は前頭葉と言われています。

 前頭葉が萎えると、意欲や創造力、判断力などが減退し、感情の制御が難しくなります。ささいなことで怒りっぽくなる、何かをしようとすると好奇心が減退する、身だしなみに気を配らなくなる。部屋が汚れても掃除をしないといった傾向ができてきたら、前頭葉が衰えてきたサインです。

 前頭葉の老化は、早い人では40代から始まります。残念ながら、日本人は前頭葉をあまり使っていません。これは学校教育の在り方の問題もあるのですが、単に知識を詰め込んだだけでは前頭葉は鍛えられないのです。人と違ったユニークな発想をしたり、新しい行動をしたりすることで鍛えられます。

ふだんの生活での前頭葉の鍛え方

 まずは、常識を疑うことから始めましょう。例えば、テレビのコメンテーターが言っていることに「この人が言っていることは本当に正しいのか?」という視点を持ち、インターネットなどで調べてみましょう。そうするとまた違ったものの見方、考え方が見つかるかもしれません。

 そのような視点でテレビやインターネットを見るようにすると、報道とは違った自分なりのものの見方、考え方が浮かんでくるようになるでしょう。

 テレビが言っている「これが正しい、これは間違っている」という単純なものの考え方をしなくなってくると、前頭葉は活性化していきます。

 これは別に天邪鬼な考え方ではありません。私は、常に「自分の言っていることが正しい」と思っているわけではなく、「こういう可能性もあるよね」という考え方をするようにしています。こうした違う意見を柔軟に受け入れる姿勢が、前頭葉を活性化させます。

 

 前頭葉はふだんあまり使っていないぶん、鍛えれば鍛えるだけ活性化されます。日本人は若い年代でも前頭葉を使っていないので、鍛え方しだいでは、70歳を超えてからでも若者に負けない若々しい考え方をすることができるでしょう。

 

認知症を疑ったときに最初にすること

➡うつかもしれません

 

 70代以降の人が急に老け込む要因として多いのが「うつ」です。その年代になると、セロトニンや男性ホルモンの分泌が減少して、うつ病を発症するリスクが高くなります。実は、70代前半くらいまでは、認知症よりもうつ病のほうが多いくらいなのです。

認知症とうつ病の見分け方

 認知症とうつ病は、症状の進み方である程度の見分けがつきます。認知症の場合は、もの忘れから始まり、その次に場所や時間の感覚が鈍くなります。やがて、会話や本、テレビの意味を理解できなくなるといった知能の低下が徐々に現れます。

 これに対し、うつはこれらの症状が割と近い時期に起こります。もの忘れが始まった時期と着替えをしなくなった時期が一致するとか、急に意欲が落ちて何もしなくなったという場合は、うつ病が疑われます。ほかに、腰が痛い、頭が痛いなど痛みに敏感になるなどのような体の症状を訴えることも、うつにはよくあります。

 うつ病の場合は薬で改善するケースも多いので、急に老けたな、衰えたなというときにはうつ病の可能性も考えるようにしましょう。

 老化から逃れることはできなせんが、「遅らせる」ことは可能です。

本書は、そのような“老い”に対し、前向きにとらえるための指南書です。

「脳・心」と「体」の両面を解説していきますが、とくに、ボケに対するポジティブな考え方、暮らし方にページを割いてます。

 長生きしていればいつかは必ずやってくる認知症。そのときにどうすればいいかを事前に考えておくことは大切で、備えておくことで安心感を得られます。もちろん、身体的な老化防止やボケないための暮らし方もていねいに紹介していきます。本書は、80代、90代になったときに、健康で幸せに暮らすためのヒントが満載の一冊です。📙

 

出典『不幸で不安な80代 健康で幸せな80代』

 

本記事は上記出典を再編集したものです。

アイキャッチ画像・イメージイラスト Shutterstock

不幸で不安な80代 健康で幸せな80代
和田秀樹(ワダヒデキ)著
70代、80代になれば、当然「老い」が降りかかります。
心身ともに健康でいることがむずかしくなるのです。
内臓の病気や足腰の弱体化といった体の健康の不安だけでなく、認知症や老人性うつのよう脳や心の健康にも不安が生じます。
長寿国である日本人にとっては、老後、体に不調が起こることから逃れられません。
同時に、脳が健康ではなくなる“ボケ”からも逃れられません。

老化から逃れることはできなせんが、「遅らせる」ことは可能です。

本書は、そのような“老い”に対し、前向きにとらえるための指南書です。

「脳・心」と「体」の両面を解説していきますが、とくに、ボケに対するポジティブな考え方、暮らし方にページを割いてます。
長生きしていればいつかは必ずやってくる認知症。そのときにどうすればいいかを事前に考えておくことは大切で、備えておくことで安心感を得られます。

もちろん、身体的な老化防止やボケないための暮らし方もていねいに紹介していきます。

本書は、80代、90代になったときに、健康で幸せに暮らすためのヒントが満載の一冊です。
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和田秀樹(ワダヒデキ)
1960年大阪生まれ、東京大学医学部卒業。精神科医。
東京大学医学部付属病院精神神経科助手、高齢者専門の総合病院浴風会病院精神科、米国カール・メニンガー精神医学学校国際フェローを経て、国際医療福祉大学特任教授。川崎幸病院精神科顧問。ルネクリニック東京院長。老年精神医学専門の医者として、30年以上にわたり、高齢者医療の現場に携わる。
『60歳からはやりたい放題』(扶桑社)、『70歳が老化の分かれ道』(詩想社)、『80歳の壁』(幻冬舎)、『六十代と七十代 心と体の整え方』(バジリコ)など著書多数。
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