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2024.12.03

会社員が年末調整や確定申告で損をしない方法 
税理士と公認会計士の資格を持つプロが紹介

 会社員は給与から源泉徴収される仕組み上、事業主のように経費を駆使して積極的な節税策を講じる場面はあまりありませんが、知っておくと損をしないですむ方法があります。それはどのような方法なのでしょうか?

 

 税理士と公認会計士の資格を持つ、税理士法人ゼニックス・コンサルティングCEOの村形聡さんの著書『サクッとわかるビジネス教養 税金とお金』(新星出版社)より一部抜粋・編集して紹介します。

会社員の節税ポイント

 実は会社員でも経費を控除できる特定支出控除という仕組みがあります。対象となる支出は転勤の引越し費用、業務に関する図書の購入費など。支出の合計が給与所得控除の半分を超える場合に利用できます。会社員の節税策は、投資や不動産購入など給与以外の収入を得た場合や、ライフイベントを迎えた際に、抜け目なく制度を利用することです。得る所得の種類によって税金のかかり方は異なるので、工夫できる余地が生まれます。

税額控除は利用できれば効果大?

 税額控除は所得税額から差し引けるため、「控除額=節税額」となります。税額控除のうち、利用しやすいのは住宅取得や改築に関わる税額控除。長期にわたり税額控除を行えるため、最大で数百万単位の控除額になる可能性があります。

住宅借入金等特別控除の場合、税額から丸ごと控除される
【控除名】

・認定住宅等新築等特別税額控除…国が定める環境負荷が低い認定住宅を新築・購入した場合に、住宅面積に応じた金額を控除

 

・外国税額控除…外国で納付した所得税額を、一定の範囲で日本の所得税額から控除

 

・配当控除…国内株式等の配当などについて、総所得額の10%または5%を税額控除

 

効果の高い節税策は給与所得以外にあり?

 給与所得で自ら工夫できる節税は限定的です。給与所得以外の所得が大きい場合や、夫婦共働きの場合に工夫を検討しましょう。配偶者所得は、家計事情に関わる「~万円の壁」を超えるべきか否かを検討します。

住民税は100万円、所得税は103万円、社会保険は106万円より場合により発生する(2024年11月20日現在)
【節税を検討するケースとは】

・マイホーム購入、相続の予定がある

・配偶者が働いている

・副業、投資を始めた

 

 副業収入は、経費や青色申告を利用することで高い節税効果を得ることができます。投資で得る所得にはNISAやiDeCoなど非課税の優遇制度もあります。

投資の儲けが非課税に! 節税メリット大のNISA活用

 NISAは株式投資の利益が非課税になる制度です。年間上限360万円まで投資できる非課税の年間投資枠を利用でき、最大で1800万円まで投資できます。通常の株式投資では約20%の課税が発生することと比べると、節税効果により投資効果が高くなります。また非課税のため確定申告が不要である点もメリットです。口座開設は18歳以上から、投資枠から得た利益はいつ売却しても非課税です。

 

 年間投資枠には「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2種類があり、組み合わせて投資できます。つみたて投資枠と成長投資枠の違いは対象商品と、買付方法にあります。つみたて投資枠の対象商品は投資信託で、決まった額を定期的に買い付けます。成長投資枠は、投資信託以外に国内外企業や新規上場企業の個別株など、幅広い商品を好きなタイミングで投資できます。併用はもちろん、どちらか片方のみの利用もできます。

3つの節税ポイントあり! 自分で運用する年金・iDeCo

 iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自身で運用方法・掛金を選んで年金を運用できる制度です。

 メリットは主に3つあります。1つ目は積み立て中に掛金の所得控除を受けられること。掛金の控除限度額は加入区分(被保険者の区分)により異なりますが、年間10万円~80万円程度の所得控除を受けられます。2つ目は、運用益が出た場合に非課税で再投資できること。運用中に出た利益は自動的に元本に足されますが、通常であれば約20%の課税が発生する利益を、非課税で積み増せるのです。3つ目のメリットには、受け取り時に退職所得控除または公的年金等控除を受けられることが挙げられます。

 

 同じく確定拠出年金である企業型DCは、会社が福利厚生として提供するもの。所得控除できる点は同じですが、選べる運用商品などに違いがあります。なお、企業型DCとiDeCoは併用も可能です。

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税金とお金
村形聡 監修(プロフィールは下記参照)
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村形聡(ムラカタサトシ)
税理士、公認会計士。
税理士法人ゼニックス・コンサルティングCEO。慶應義塾大学経済学部卒業。大手監査法人にて、幅広い分野にわたる会計監査に従事するかたわら、株式公開支援業務として様々な業種に対するコンサルティング業務にも従事。独立後は、「会社を元気にする税理士」として税理士業務を主軸としながら、ベンチャー企業の経営コンサルティング業務、M&A支援コンサルティング、企業再生に関するコンサルティング業務、最近では、マーケティングや事業承継に関するコンサルティングにも力を注いでいる。
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