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2020.08.13

木村一基先生が教える!
はじめての将棋入門
【第2回 駒の取り方】

木村一基(キムラカズキ)
1973年6月23日生まれ。千葉県出身。97年に四段に昇段しプロデビュー。2002年に新人王に輝く。2007年、A級八段に昇級昇段後、2017年、九段昇段。2019年、第60期王位戦タイトル獲得。千駄ヶ谷の受け師」と呼ばれている。

 みなさん、将棋の世界にようこそいらっしゃいました。

 将棋はとても楽しいゲームです。コマの動かし方といくつかのルールを覚えれば、だれでもすぐに将棋を楽しむことができます。

 今回、私が監修を務めた書籍『はじめてでもたのしめる かんたんマスター将棋』から、将棋のルールと動かし方、それぞれの駒についての考え方など、基本的な内容について解説していきます。第2回目の今回は「駒の取り方」についてです。ぜひこの夏に、トライしてみてください。

駒を取ろう!

 将棋では駒の動きを符号で表します。

 将棋盤は9✖9のマス目がありますが、縦の列横の段組み合わせで、どこのマス目かを表します。縦の列は先手から見て右から1、2、3……、9。横の段は先手から見て上から一、二、三……、九。その交差しているマスの二つの数字を組み合わせます。つまりマス目には図のような番地があるわけです。棋譜(きふ)はこのマス目の番地に、何の駒が動いたかで示します。例えば「☗7六歩」ならば、「7六のマス目に先手(☗)の歩が動いた」という意味になるわけです。

 相手の駒がいるマス目に、自分の駒を進めたら、相手の駒を取ることができます。例題を見ていきましょう。

 

 第1図は☖3七角成と相手が自陣に侵入してきたところです。このまま放っておいて相手の手番になってしまうと、☖5九馬と玉を取られて負けてしまいます。第1図の☖3七角成は「王手」(次に玉を取りますよ、という手)ですから放置することはできません。

 第1図から☗6八玉(第2図)と逃げるのは、王手から逃げたというだけの手で、100点満点でいうと5点くらいの悪い手です。 

 

 相手の駒が取れるときは、取ってしまう方がいい場合がほとんどです。第1図では、実は相手の馬を取ってしまうことができます。考えてみましょう。

 わかりましたか?

 そうですね。☗3七桂(第3図)と馬のいるマス目に桂を進めれば、相手の馬を取ることができますね。取った馬は表の角に戻して、自分の持ち駒になります。こうなれば相手の強力な馬が消える上に、自部の味方として角が増えますからとっても得なのです。

 最初のうちは駒の利き(駒の動ける範囲)をうっかり忘れて、取れる駒を取らなかったり、自分の駒を取られてしまったりしがちです。

 

 駒取りに強くなるのが将棋上達の第一歩です。次からの駒取りの問題にチャレンジしてみましょう。

問1

 歩で角が取れます。

問1 答え

 

 

☗5五歩と進めて角が取れました。
問2

 香は前にどこまでも進むことができます。

 

問2 答え
☗1四香と進めて銀が取れました。
問3

 桂は2つ前の左右のマスに動けます。

問3 答え
☗4五桂と跳ねて飛が取れました。
問4

 銀は斜めと前に1つずつ動けます。

問4
答え
☗2五銀と進めて桂が取れました。
問5 

 銀がどこに進めるか知っていれば簡単です。

問5 答え
☗3七銀と動かして飛が取れました。
問6

 金は後ろに進めるでしょうか?

 

問6 答え
金は後ろに進めますので、☗6九金で角を取ることができました。
問7

角は斜めに引くこともできます。

問7 答え
☗5八角と引いて竜を取ることができました。
問8

飛は縦横にどこまでも進めます。

問8 答え
☗2四飛と進めて歩を取ることができました。
問9

 香はどの方向に進めますか?

問9 答え
☗5四香。香は前に進むことができるので金を取ることができました。ほかの駒は取れません。
問10

 金の動きを思い出してください。

問10 答え
☗4五金。金は斜め後ろに利きがないので、角と銀は取れません。横の香は取ることができます。
問11

 歩が成った「と」は、どんな動きになりますか?

問11 答え
「と」は、金と同じ動きをすることができます。斜め後ろには進めませんが、後ろには動くことができるので☗6四「と」で銀が取れました。
問12

角が成った「馬」の動き方を思い出してください。

問12 答え
馬は「角+玉」の動きができるようになります。横にも動けるようになるので、☗2三馬と動かして銀を取ることができます。
問13

どの駒を取ることができるでしょうか?

問13 答え
遠くにありますが、竜が馬の利きに入っています。☗9九馬と動かして竜を取ることができました。
問14

すぐに取れる駒は1つだけです。

問14 答え
☗7五飛と桂を取ります。すぐに取ることができるのは7五の桂だけで、ほかの駒には自分の駒が邪魔をして、飛の利きが通っていません。
問15

ごちゃごちゃしていますが、すぐに取れる駒は1つだけです。

問15 答え
角の成った馬の利きが竜に当たっていますから、☗8九馬で竜を取ることができます。

 いかがでしたか? 簡単でしたか? それとも難しかったでしょうか。練習問題を解きながら覚えると、何となくコツがつかめてくると思います。さらに解きながらマスターしたい方は、こちらへ。

次回は、駒の逃げ方について練習問題つきで解説します。お楽しみに!

 

※イラスト/井塚剛

 

※本記事は、下記出典を再編集したものです。(新星出版社/向山)

かんたんマスター将棋
(電子版取扱い中)
木村一基監修(プロフィールは下記参照)
将棋を始めたばかりの人に向けた1冊です。
駒の特性、動かす上での基本的な考え方をじっくりとていねいに解説しているので、基本の基本がよくわかります。監修者は、プロ棋士木村一基九段。
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1973年6月23日生まれ。千葉県出身。97年に四段に昇段しプロデビュー。2002年に新人王に輝く。2007年、A級八段に昇級昇段後、2017年、九段昇段。2019年、第60期王位戦タイトル獲得。千駄ヶ谷の受け師」と呼ばれている。

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