2021.12.01
直井亜紀先生が教える、わが子と話したい性のこと

【思春期から性教育を伝えるのはもう遅い?】
思春期の性教育を成功させる3つのポイント

思春期の性教育を成功させる3つのポイント

「自分は性の知識があいまいだし、偏っているかもしれないし、思春期の子に性教育をするのは自信がないな」

 

 もしかしたら 、そんなふうに思われたかもしれません。思春期の子どもへの性教育を考えるとき、大切なポイントが3つあります 。

 

 ひとつめは 、親は「自分の性の知識は十分ではない 」という前提で伝えるということです。

 

 ふたつめは、親の意見を押しつけないこと 。思春期の子から性の相談を受けるとき、自分の経験を話すのはOKです 。しかし、「女の子は〇〇なのに」とか「それは間違っている」というような意見の押しつけはNGです。

 

 3つめは、「ふつう」という表現を控えること。「ふつう〇〇」という表現は、親の知識や体験に基づくものにすぎません。たとえば、「生理用品は紙ナプキンがふつう」だと母親が思い込んでいました。それを聞いた子どもは、自身で選択しにくくなってしまいますよね。

「ふつう」という言葉の圧力

「ふつう」という言葉は、日常会話でよく使う表現ですよね 。

 

 たとえば、「ふつうそんなことしないよね?」などという言い方を、親子や夫婦、またお友だちとの間ですることがあると思います 。

 

 これは、自分が想像していることと相手の行動が異なるときなどに使う表現ですが、相手から「ふつうは〇〇だ」と言われると、「そうではない自分はおかしいのかな?」と思わせる圧力を伴ってしまいます 。

 

 たとえば、「ふつうは生理用品に紙ナプキンを使うよね」というような選択肢の押しつけもあれば、「ふつうは遅刻しないよね」「ふつうはやることをやってから遊ぶよね」というような「自分のルールに従いなさい」という圧力もあります 。

 

 また、「ふつうは男の子は女の子を好きになるよね」「ふつうは高校生のうちにはセックスしないよね」「ふつうは女の子ならスカー卜をはくよね」

 

 このような性に関する表現については、生き方そのものを指摘されたようで、より刺さって聞こえませんか?

 

 

「性」という字は、「心が生きる」と書くように、生き方そのものです。人によって違うのが当たり前で、比べられるものでもありません。なのに、「ふつう」という言葉を使われてしまうと、自分の生き方そのものを否定された気持ちになることがあります 。

 

 思春期の子の性教育に限らず 、子どもと向き合う親として、まず「ふつう」という言葉の使い方を見直してみませんか 。

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出典 『思春期のわが子と話したい性のこと』

マンガ すぎやまえみこ

※本記事は上記出典を再編集したものです。(新星出版社/向山)

本記事のイメージ写真はすべてhutterstock.comの許諾を得ています。

 

マンガでわかる 思春期のわが子と話したい性のこと
直井亜紀 著(プロフィールは下記参照)
小学校4~5年生くらい(思春期)の子どもをもち、性教育についてどうしたらよいか悩んでいるママ・パパに向けて、「子どもの体の変化をポジティブにとらえる」、「自分の“ふつう”は本当にふつう?」、「子どもの性的関心にどう向き合うか」、「ジェンダーについて」など、「おうちで、こう話してみよう!」がわかる本です。小中学生を対象とした「いのちの授業」や性教育の講座などで広く活躍中の著者が、子育てで実際に直面するさまざまな悩みに寄り添い、マンガ多めで読みやすく解説しました。「思春期を迎えてからでは遅いのか?」「性教育には抵抗感がある」などと困っている方でも大丈夫!今からでも遅くありません。性、いのち、ジェンダー、防犯、人権について。これぜんぶ性教育です。あなたの子育てをアップデートしませんか?
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直井亜紀(ナオイアキ)

助産師。一般社団法人ベビケア推進協会代表理事。聖母女子短期大学助産学専攻科(現・上智大学総合人間科学部)卒。第39回母子保健奨励賞受賞。令和元年度内閣府特命担当大臣表彰受賞。埼玉県、千葉県、東京都などを中心に、小・中・高校でいのちや性の講演実績、企業や専門職向けのセミナー講師実績多数あり。エッセンシャル・マネジメント・スクールフェロー(特別研究員)。田口ランディ氏のクリエイティブ・ライティング(文章創作)講座受講。音楽活動では、企画・歌手を務めたCD「あかちゃんのうた」が童謡ランキング1位を獲得。合気道初段。二児の母。
著書『おかあさんのための性教育入門』実務教育出版
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