2022.11.01
🥎小林至先生の【野球の経済学ミニ講座】

②「現場スタッフの給料だけでいくらかかる?

 野球選手たちの活躍の陰には、彼らを支える現場のスタッフたちがいます。監督、投手コーチ、打撃コーチなど、試合に参加するスタッフはみなさんもご存知でしょうが、近年では選手の食事管理やデータ分析など、チームのマネジメントの手法が多様化しており、それに合わせて専門的なスタッフの人数も増えつつあります。彼らを雇うため、球団はどれくらいの人件費をかけているのでしょうか。

 

 選手を直接サポートする現場スタッフに限って年間の人件費を計算したとき、最も大きな割合を占めるのは、やはり1軍監督の年俸。推定される相場は1億円前後となっていますが、優勝実績のある指揮官になると、金額は一気にアップします。これに対して2軍監督の年俸は、多くて3000万円程度と推定されます。

 コーチの場合も実績によってまちまちですが、平均年俸は推定1250万円前後。また、コーチはポジションや役割ごとに雇われていて、さらに1軍と2軍で別々なので、総数は20人ほどになります。監督とコーチを除く、そのほかのスタッフは基本的に普通のサラリーマンと年収は変わりません。

 

 ただ、元野球選手が球団のスコアラーなどに転身した場合は、通常より給料が高めになる場合もあるようです。平均年収はやや高めに推定して800万円前後といったところでしょう。

 

 これらの現場スタッフの人件費を合計すると年間で約7億円前後になります。スター選手1人分の年俸と近いぐらいでしょうか。

 このように、1球団で年間7億円近くもの人件費がかかるプロ野球界ですが、日本の球界において親会社が球団を所有するのは、主に自社の広告宣伝のためだと言われています。チーム名に入れた自社の名前が、毎日のようにテレビやラジオで放送されることで、知名度の大幅アップが期待できるからです。

 

 昔の球団は赤字経営が当たり前で、広告宣伝費の名目で親会社に赤字を補填してもらう状態が続いていましたが、やがて立ち行かなくなり、特に2000年以降、連結決算の開示が求められるようになったことから、球団にもまっとうな経営が求められる時代となりました。

 

 現在は、各球団があの手この手で黒字経営化を目指していますが、依然として親会社頼りな部分は残っています。

 

 圧倒的な人気で黒字経営を続けてきた読売ジャイアンツの経営は、とてもユニークで、球団から「興行権」を買い上げた親会社側が、チケット販売などのビジネスマネジメントを行う形をとっています。

(図はタップすると拡大します)
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野球の経済学
小林至 監修(プロフィールは下記参照)
プロスポーツでは多くのお金が動きます。日本のプロスポーツではプロ野球がその最たるものでしょう。実態は親会社との関係も複雑なものであり、なかなかその全貌を知ることができません。また、近年多くの日本人選手が活躍している大リーグとの違いも気になります。

例えば、子どもをプロ野球選手にするにはいくらかかるのか? 選手の年俸ってどう決めるの? 球場の使用料はいくらぐらいなの? などの疑問に答えながら、日本のプロ野球とメジャーリーグにまつわるお金の情報を解説します。

本書は、独自のビジュアル解説が中心になっており、文字中心のテキストを読むのは億劫。
もっと手軽に野球についてビジネス的な側面を知りたい。それも上辺だけの理解ではなく、きちんと会話・説明ができるようになりたい! という方にぴったりの一冊です。
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小林至(コバヤシイタル)
1968年生まれ。神奈川県出身。桜美林大学健康福祉学群教授。博士(スポーツ科学)。
92年、千葉ロッテマリーンズにドラフト8位で入団。史上3人目の東大卒プロ野球選手となる。93年退団。翌94年から7年間、アメリカに在住。その間、コロンビア大学で経営学修士号(MBA)を取得。2002年より江戸川大学助教授(06年から教授)。05年から14年まで福岡ソフトバンクホークス取締役を兼任。パ・リーグの共同事業会社「パシフィックリーグマーケティング」の立ち上げや、球界初となる三軍制の創設、FA・外国人選手の獲得に尽力した。学校法人桜美林学園常務理事、一般社団法人大学スポーツ協会理事。
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