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2022.09.01

岩井俊憲先生のアドラー心理学②【自分の居場所を見つける!「共同体感覚」】

 

 あなたは「仲間に迷惑をかけてしまう」「周りのレベルについていけない」「みんなから嫌われていると感じる」などという気持ちから、自分の居場所を見つけられないと思ったりしていませんか?

 

 アドラー心理学を学ぶ上で重要な価値観に、「共同体感覚」があります。これは、アドラーがもっとも重視する価値観で、家庭や職場、地域などの場における居場所の問題は、精神的健康のバロメーターでもあります。

 共同体のなかで感じる「所属感」「信頼感」「共感」そして「貢献感」。これらが身についていると自分の居場所、つまり自分の「アイデンティティ」や「地盤」・「基盤」と呼べるものが確認できるのです。

 人は、必ず何かの共同体に属していますが、家庭や職場など、その共同体(社会)から「疎外されている」「孤立している」と感じると不安になるもの。共同体に所属していると思える感覚が、心の安定のためには不可欠なのです。

 

 また、自己評価で構わないので、自分を肯定的に保つことが必要です。程度の差こそあれ、人は常に自分を周囲に適応させようとしています。その中で、自分を卑下してしまうのはベーシック・ミステイクス(自分の認知による誤り)による主観的な結論。周囲からの自分への評価とは必ずしも一致していないのです。

 

 そしてさらには、自分だけでなく周囲との環境の中で、仲間との間の信頼感をもって絆としてつながり合う感覚を持つことが重要です。

 人とのつながりが希薄なことへの不安は、自分から相手と積極的につながろうとすることで解消することができます。「さみしい」と感じたら、縁遠くなったと思う人に連絡を取って、つながりを再確認してみるといいでしょう。

 

 これまで説明してきたように、①自己評価を主観的に保つ。②仲間との信頼感を持つ。③「絆」の感覚をしっかり持つ。これらができれば、あなたは「自分が人の役に立っている」、「自分の居場所がある」ということを認識することができ、「自分の行動を喜んでくれる人がいる」という感覚が生まれます。その結果として他者といろいろな関わりを持つことができるようになるのです。

まとめ

 職場や家庭、地域のコミュニティなど、社会にある様々なグループをアドラー心理学では「共同体」と呼びます。

 人はだれしもが何らかの共同体に所属していて、その共同体の一員としての自分に自信が持てる(=共同体感覚がある)状態だと、心が満たされ、安定するという考え方です。

 

 しかし、共同体感覚とは、ただ単にどこかのグループに属するだけでは生まれません。「自分には居場所がある」と感じられることが大事です。落ち込んでいるときには到底そうは思えないこともありますが、それも結局は自分の主観的な視点で感じたこと。所属の感覚を取り戻すには、「どうせ私なんか……」と周囲をシャットアウトせずに、仲間との信頼や絆の感覚に触れる必要があります。

 共同体に所属している自分に対して、少しずつ自信をつけていくことが大切なのです。

動画解説はこちらから

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岩井俊憲(イワイトシノリ)
1947年栃木県生まれ。早稲田大学卒。有限会社ヒューマン・ギルド代表取締役、ハリウッド大学院大学客員教授、アドラー心理学カウンセリング指導者、中小企業診断士。
外資系企業の管理職などを経て、1985 年に有限会社ヒューマン・ギルドを設立。同社にてカウンセリング、カウンセラー養成や公開講座を行うほか、企業・自治体・学校等での講演、カウンセリング・マインド研修、勇気づけ研修、リーダーシップ研修など多岐に渡り、その受講者は延べ20 万人を超える。
著書に『マンガでやさしくわかるアドラー心理学』シリーズ(日本能率協会マネジメントセンター)、『人生が大きく変わる アドラー心理学入門』(かんき出版)、『人を育てるアドラー心理学』(青春出版社)など多数。


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