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2026.06.29

だるさや気分の落ち込み、ソワソワ感、不眠に悩む人へ 心と体の不調に「漢方」を取り入れるポイント

 梅雨から夏本番へ。この時期は、湿気と暑さが交互にやってきて、一年でも特に体力を消耗しやすい時期です。中医学では、梅雨は胃腸を司る「脾(ひ)」、夏は血の巡りと心を司る「心(しん)」の季節。湿気でおなかが重だるくなってしまうと、夏の暑さに耐えるエネルギーがつくれなくなってしまいます。

 漢方家として活躍し、SNSや講演でも「やさしく・わかりやすく・すぐに実践できる中医学」をテーマに発信し続けている櫻井大典さんは、この時期の養生の基本について「胃腸を重くせず、内側の熱を上手に逃がすこと」であるといいます。

 では具体的にどのように対処したらよいのでしょうか。櫻井さんの監修した『季節の漢方生活』(新星出版社)から一部抜粋・再編集して解説します。

「脾」と、思い悩み――湿気に足を取られたら、胃腸からととのえる

 梅雨に深く関わる「脾」の働きが滞ると、次のようなサインがあらわれます。

■体が重だるい、やる気が出にくい
■おなかが張り、食欲が湧かない
■頭がぼんやりしやすい
■手足がむくみやすい
■クヨクヨと思い悩みやすい

 中医学では「重い悩み(思)」は脾を傷つけると考えますが、湿気が多いと物理的にも思考が停滞しやすくなります。まずは「冷やさない・甘やかさない」を合言葉に、胃腸を軽く保ちましょう。おなかの調子を取り戻せば、心の霧も自然と晴れていきます。

「心」と、内面の高ぶり――あふれる熱をしずめて心を穏やかに保つ

 太陽が照りつける夏、エネルギーが満ちあふれる「心(しん)」の働きが高ぶりすぎると、次のようなサインがあらわれます。

■動悸や息切れが出やすい

■顔が赤く、のぼせやすい

■ソワソワして落ち着かない

■寝つきが悪く、夢をよく見る

■集中力が続かない

 

 中医学の「心」は、精神活動の主役です。夏の暑さは心に熱をこもらせ、イライラや不眠を引き起こします。適度に汗をかいて熱を逃し、内側をクールダウンさせることが、夏を元気に過ごすコツです。

湿邪と暑邪への備え

【「重だるさ」と「熱」から身を守る】

 この梅雨に注意したい邪気は「湿邪」。体の中に停滞しやすく、巡りを鈍らせるのが特徴です。また、夏の大敵の邪気は「暑邪」。体に熱をこもらせて大切なうるおいを奪い、心を乱します。

 

■湿邪
・むくみやすい
・体が重だるい
・軟便や下痢になりやすい
・胃腸がすっきりしない

 

■暑邪
・強いのどの渇きがある
・体がほてり、汗が止まらない
・顔が赤く、のぼせやすい
・めまいや立ちくらみが出やすい

 

 梅雨のうちは「水はけ」をよくして胃腸を軽く保ち、夏本番を迎えたら「熱を逃し、うるおいを守る」。 この2つのステップを意識することが、夏バテを防ぎ、健やかに秋を迎えるための最大の鍵となります。

梅雨の味覚と心構え

■「自然な甘味」で体の土台作り

 梅雨の食卓で意識したいのは、脾を助ける「自然な甘味」です。

 砂糖の甘さではなく、お米やいも類、豆類など、噛むほどに甘味を感じる食材が、弱りやすい胃腸をやさしく支えてくれます。脾が元気になると、食べたものをエネルギーに変える力が高まります。

 

■梅雨は「溜め込まない」

 梅雨の養生で大切なのは、「溜め込まない」ことです。湿気が多いこの時期は、体の中にも湿が溜まりやすく、だるさや食欲不振、むくみが出やすくなります。

 無理にがんばるよりも、巡らせることを意識する。軽く汗ばむ程度に体を動かし、冷たいものや甘いものを控える。脾胃をいたわり、早めに休む。

 心まで重くならないよう、風通しをよくすることが、梅雨をさらりとやり過ごすための秘訣です。

 

【梅雨のだるさに寄り添う食材】

・甘味(脾を元気にする)…お米、山いも、じゃがいも、かぼちゃ、豆類

・湿気を取る(水を巡らす)…はと麦、小豆、きゅうり、とうがん、とうもろこし、枝豆

・補気(疲れを癒す)…鶏肉、穴子、うなぎ、さやいんげん

むくみがひどくて体が重だるいときは

■雨の日に起こりやすい「水分過多」
 

 雨の日が続く梅雨の時期は、湿度が高いだけでなく、気圧も下がりやすくなります。気圧の変化は自律神経や体内の水分代謝にも影響を与えるため、むくみや重だるさを感じやすくなります。

 飛行機に乗るとポテトチップスの袋が膨らむように、気圧の変化によって体にもさまざまな影響があらわれます。気圧が下がるたびに、頭が重い、体がだるいと感じる方がいるのもそのためです。

 顔や脚がいつも以上にむくむ、体が重だるい、頭が重い。そんな不調が強く出ている日は、「水をたくさん飲んで流そう」と思いがちですが、実は水分のとりすぎが、むくみを悪化させていることも少なくありません。

 中医学では、梅雨どきのむくみは、外から入り込む湿気(外湿)と、体の中に溜まった余分な水分(内湿)が重なった状態と考えます。スポンジが水を吸いすぎると重くなるように、体の中に水分が溜まりすぎていると、これ以上水を足しても処理しきれず、かえって巡りが悪くなってしまいます。

 この時期は、水分をたくさんとるよりも、とり方を見直すことが大切です。水はごくごく飲むのではなく、のどの渇きに応じて少しずつ。2~3リットルを無理に飲む必要もありません。

 甘い飲み物、炭酸飲料、缶コーヒー、ベタつくものは湿気のもと。雨が多い時期ほど、食べものや飲みものの「量」と「質」を意識して、体の水はけをととのえていきましょう。

 

■はと麦は溜まった水分を外へ出す

 体に溜まった余分な水分を出す力を持つ食材として、おすすめなのは以下の3つです。

 

はと麦…体に溜まった余分な水分を排出し、水はけをよくする

黒豆…巡りを助け、疲れやすい体を底から支える

緑豆、緑豆春雨…こもった熱を冷ましながら、体を軽くととのえる

 はと麦は、体の水分バランスをととのえ、むくみや重だるさの原因となる「湿」を外へ出す働きが高く、梅雨どきの本格的なケアに向いた食材です。ゆでておいてスープや煮込みにすると、胃腸への負担も少なく、無理なく続けられます。

 冷蔵庫から出したばかりの飲み物や氷入りの飲み物は避け、常温に近い温度で飲むよう心がけましょう。

 また、汗をかくことも大切な「出すケア」のひとつ。軽く体を動かしたり、掃除をしたりするだけでも構いません。湯船に浸かる場合は、40~41℃くらいで10~15分を目安に、発汗しすぎない程度が、体にはちょうどよい入浴になります。ぜひ試してみてください。

出典『心と体をいたわる 春夏秋冬 季節の漢方生活』

季節の漢方生活
櫻井大典 監修(プロフィールは下記参照)
季節の変わり目や天気が崩れる前の日など、なんとなくだるかったり体調が悪くなったりする方も多いのではないでしょうか。

そんなとき、どのように過ごせばいいのか、どんな対応をすればいいのか、どういう食材を口にしたらいいのかがわかる一冊です。

本書では、漢方家の櫻井大典先生の監修のもと、中医学の考え方を基本に、例えば、

・花粉が大量にとんでいる日
・むくみがひどくて重だるさを感じる梅雨の時期
・熱中症かも!?と思った日
・冷たい秋雨の日
・寒くて腰痛、生理痛が悪化する時期

など、お悩みのポイントに合わせ、通年を通して過ごしやすくするコツと食材を紹介し、
また、そのような食材を十分に取り入れるための美味しいレシピを紹介します。
購入はこちら
櫻井大典(サクライダイスケ)
漢方家。日本中医薬研究会会員。漢方薬局の三代目として生まれる。アメリカ・カリフォルニア州立大学で心理学や代替医療を学び、帰国後、イスクラ中医薬研修塾で中医学を学ぶ。中国・首都医科大学付属北京中医医院や雲南省中医医院での研修を修了し、国際中医専門員A 級資格を取得。年間5000 件以上の相談を応じる傍ら、Twitter ではやさしくわかりやすい養生情報を日々発信して、これまでの漢方のイメージを払拭。フォロワー数は15 万人超で、老若男女問わずファンを増やしている。
主な著書・監修に『漢方的おうち健診-顔をみるだけで不調と養生法がわかる』(学研プラス)、『こころとからだに効く!櫻井大典先生のゆるゆる漢方生活』(ワニブックス)、『つぶやき養生』(幻冬舎)、『まいにち漢方』(ナツメ社)、『体をおいしくととのえる!食べる漢方』(マガジンハウス)など多数。
公式Twitter @ PandaKanpo
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