1900.02.27

1つの文に秘められた、2つの意味。あなたはわかりますか?

「ああ、きたきた。待ってましたよお」

 

 黒い服を着た男の人が立っていた。

 

「あのぉ……ここって、百鬼夜行パレードの?」とユキちゃんがたずねる。

 

「そうですよぉ。遅かったじゃないですかぁ」

 

 体が半分透明な、その人が答える。

 

「スミマセン。私たち、百鬼夜行、初めてなもんで」

 

「あなた方はスタッフなんですから、早くきてくれないと。じゃあここで来場者の受付をしてください雪女のユキさんと、土蜘蛛(つちぐも)のツッチーさん」

 

はぁーい」

 

 私たちは受付に立って、あとからやってくる妖怪たちの対応をした。

 

2つの意味の物語ー勇者は聖なる剣を手に向かってくる魔物と戦った
ささきかつお 著(プロフィールは下記参照)
★★きみは気づけるか!? ひとつの文に秘められたパラレルストーリー★★

言葉ってフシギです。
たとえば「くも」という言葉。
空に浮かんでいるのは「雲(くも)」。
8本足の生きものも「蜘蛛(くも)」。
同じ「くも」でも、ぜんぜんちがいます。

さらに、言葉だけでなく、同じ文章なのに
まったくちがう意味になるものがあります。

「たこ じょうずに あげたよ!」

この文章には、
『遊ぶ「凧(たこ)」を「空にあげる」』と、
『海にいる「蛸(たこ)」を「油であげる」』というちがいがあるんですね。

このように2つの意味がある文を“二義文”といいます。

「勇者は聖なる剣を手に向かってくる魔物と戦った」
「テスト、全部できなかった……」
「大人には見えないよね」
「ネギをぬいてください」
「好きなアニソンを聞いてる」 etc.

この本では、二義文のあとに、2つのことなる展開の物語を紹介します。
「どんなお話しになっていくんだろう?」と想像しながら
今までにないパラレルストーリーを楽しんでみてください!

1作品が4ページで完結するので、テンポよくお話しを楽しめます。朝読などのスキマ時間にも最適!
児童書だけど、子どもだけでなく大人にとっても頭の体操にもってこいの1冊です。
購入はこちら
ささきかつお(ササキカツオ)
東京都出身。『モツ焼きウォーズ~立花屋の逆襲~』(第5回ポプラズッコケ文学新人賞)で2016 年にデビュー。ほかの著書に「謎解きホームルーム」シリーズ(新星出版社)、『空き店舗(幽霊つき)あります』(幻冬舎文庫)、「ラストで君は『まさか!』と言う」シリーズ(PHP研究所)などがある。日本語教師の資格も持ち、外国人留学生に会話や小論文などを長年指導している。

新着記事