2020.11.12

くらしの法律 【知っておこう! 税金を納めなければならない理由は? 】
~私たちのくらしと税金~

 普段の生活でなにか物を買う時に必ず払っている税金。私たちのくらしを維持するために必要な税金は、どんなものにどの位かかっているのかご存じですか? 生活や収入、財産に大きく関わる税金。払わなければならないのは当然ですが、何も知らないと損をしてしまうことがあるかもしれません。

 正しい「税金」の知識を身に着ければ節税だってできてしまうんです。今回は「税金とはなにか」についてお話します。

税金を払わなければならない理由と、税金が果たす3つの役割

 国や地方公共団体がサービスを提供する場合、それにはどうしても資金が必要になります。その資金を国民に求めたのが税金です。国や地方公共団体が税金を徴収するのには法律的な根拠があります。それが日本国憲法の第30条です。ここに“国民は法律の定めるところにより納税義務を負う”と、はっきり掲げられています。そんな税金には、以下の3つの役割があると考えられています。

①人の生活に不可欠な公共サービス

 国や地方公共団体が整備する道路や上下水道、教育や警察などの公共サービスは、私たちの生活を安全で快適なものにしてくれます。税金はこの大きな役割の資金源になっています。

②所得の再分配機能

 ご存じのように、世の中には経済的に豊かな人とそうでない人がいます。これを放置しておくと、その差がどんどん広がっていってしまうことになりかねません。そうした経済的格差は社会不安を招き、場合によっては暴動も起こりかねません。それを回避することも、税金の役割なのです。

 

 所得税や所得の累進課税により、豊かな人たちからその富を税金として徴収し、豊かでない人には社会保障をより多く給付します。このように税金の徴収によって所得を再分配することで、社会の富が豊かな層からそうでない層へ還流することになります。

③景気の調節機能

 景気を調節することも税金の果たす大きな役割のひとつです。自動安定化機能とは、景気のいい時には資金を吸い上げることで景気の過熱を防ぎ、不景気時には資金を供給することで景気を刺激することが好ましいというものです。

 

 また、政府は好況時には税負担を増加させ、可処分所得を減らすことで景気を抑制し、不況時は減税によって可処分所得を増大させることで景気を刺激します。ちなみに、国に納める税金が国税で、地方公共団体に納めるものが地方税です。国税は税務署が担当し、地方税のうち道府県民税(都民税を含む)は都道府県の税務事務所が、市町村民税は市町村の税務課が担当しています。

私たちの日常生活を支える税金。こんなものにも税金がかかっている

 私たちが普段生活をしているときは、あまり国という存在を意識することはありません。しかし、空気や水と同じように、国家もなくなると非常に困るものです。たとえば、国という後ろ盾がなければ、法律をきちんと守る人だって少なくなるでしょう。また、お金がそれなりに安定した価値で流通しているのも国があればこそのことです。無法状態での生活、しかも国際的に何の価値もない貨幣経済での暮らしなどは、考えたくもないはずです。そのため、我々の生活の基盤である国を維持するために税金があると考えられています。

 私たちの生活において、税金はさまざまな関わりをもっています。サラリーマンが受けとる給料(所得)など、経常的・臨時的な収入にかかる税金や、相続税や固定資産税などの財産にかかる税金、また、消費税など消費生活にかかる税金もあります。私たちの生活と税金は常に密接な関係にあるのです。

 

 例を1つ挙げてみます。たばこの値段にはさまざまな税金が含まれています。ここでは定価490円、1箱20本入りのたばこを例にみてみましょう。まず、たばこ税という国税(116.04円)がかかります。ほかにも地方たばこ税がかかり、ひとつが市町村たばこ税(113.84円)、もうひとつが道府県たばこ税(18.60円)になります。

 さらに、たばこ特別税(16.40円)に加えて消費税もかかりますので、これらの税金を含んだ、たばこの正味価格に10パーセント(44.54円)をプラスしたものが定価です。要するに、たばこ全体の63.1パーセント、309.42円が税金になるわけです。

 

 ここまででお伝えしたように、税金は、国や地方公共団体にとって、国民のために必要な設備やさまざまな生活の基盤を成り立たせるために必要不可欠なものになっています。

 

●次回は他人事ではない?! 「所得に関する税金のおはなし」を配信します。

 

 

出典:『図解わかる 税金 2020-2021年版』

この記事の内容は、原則として令和2(2020)年4月1日現在の法律に準拠し、作成されたものです。

 

※写真/shutterstock

本記事は、下記出典を再編集したものです。(新星出版社/室谷)

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芥川靖彦(アクタガワヤスヒコ)
東京生まれ。早稲田大学法学部中退。1986年に芥川税理士事務所設立。2004年税理士法人元(GEN)設立。2012年から15年に早稲田大学にて相続税の講義を務める。現在、日本税理士会連合会理事。日本税理士連合会の全国統一研修会、税理士登録時研修会において講師として活躍中。
篠﨑雄二(シノザキユウジ)
茨城県生まれ。駒澤大学経済学部卒業。1992年篠崎税理士事務所を設立。中小企業の税務コンサルティングや、相続・不動産に関する税務指導にあたる。簡単・親切・丁寧な指導がモットー。
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