2022.06.16
もしもの時に困らない【大切な家族が亡くなった後の手続き】

連載第2回 「3か月以内に必要な手続きは?」

 大切な人が亡くなったとき。失った悲しみでいっぱいの時でも、しなければならないことが次々に押し寄せてきます。

 

 さまざまな届け出や手続きは、故人の喪もあけないうちに済ませなければならないものも多く、スムーズに済ませたいもの。そこで今回は、『改訂3版 大切な家族が亡くなった後の手続き・届け出がすべてわかる本』から、最低限知っておきたい手続きについて、5回に分けて説明していきます。今回は「3か月以内に必要な手続き」についてです。

まずはこれを確認しておきたい…必要になる書類と調べておきたい事項

 少し落ち着いたら、これからの手続きで必要になる書類と、手続きの前提になる事項を確認しておきます。申請書類や証明書類の種類や内容について知り、それぞれ入手する方法を調べて、どの方法で入手するか、予定を立てておくことも大切です。

 

 自分たちのケースでは、相続財産は何があるか、誰が相続人になるのか、遺言はあるのかないのか、相続税はかかりそうかなど、あらかじめ見当をつけておきましょう。

 

 具体的に調べたり、計算するのは時間がかかります。しかし、遺言のあるなしや、相続税の課税・非課税で、後の手続きは大きく変わってくるものです。早めに調べておくにこしたことはありません。

 

代理で手続きをしたい、してもらいたいときに覚えておきたいこと

 各種の手続きは本人が行うのが好ましいですが、本人が高齢だったり、仕事でいけないときなど、ほとんどの手続きで代理が認められます。

 

 代理できる範囲は「死亡届」のように提出だけ代理が認められるもの、「戸籍謄本」のように請求まで代理人が行えるものなど、手続きと代理人の立場によってさまざまです。また、たいていの場合「委任状」などが求められます。委任状にも所定の書式があったり、記載する内容の定めがあったりするものです。まず問い合わせてからつくるようにしましょう。

 

 また、本人が高齢なので子どもが代理で手続きをしたい、夫が多忙なので妻が代理で行いたいというケースも多いはずです。戸籍謄本の請求などでは、同じ戸籍の名前の欄に記載がある夫や妻、子どもなどは、委任状がなくても、交付を受けられる場合があります。問い合わせてみましょう。

 

 また、専門家に依頼すると、手続きによっては委任状なしで済むケースもあるので、相談してみてください。

何が相続の対象になるのか…相続に関わる手続き

 人が亡くなられた後の手続きで、大きな比重を占めるのが相続に関わる手続きです。故人が残された財産の相続、名義変更、相続税の申告・納付など、場合によっては期限ギリギリの10か月の期間に渡って手続きを進めなければなりません。

 

 相続をするときは、プラスの財産もマイナスの財産も、すべてを引き継ぎます。まず、何が相続の対象になるのか確認しておきましょう。財産と聞くと、家や土地、宝石や貴金属など、形があるものがまず思い浮かびますが、金額に換算できるものはほとんどすべて、相続する財産になると考えたほうがよいのです。

 

 たとえば土地を借りている場合の借地権や、著作権といった権利も相続の対象ですし、人にお金を貸している場合の貸付金など、債権も相続財産です。ただし、香典は相続財産から除かれます。

 

 それらがあることによって、相続人の間で相続財産の分け方が変わってくることもありますし、相続税の額にも影響があります。注意しておきましょう。

 

 ここで、気を付けなければならないのは、マイナスの財産、つまり故人が残した借金なども相続の対象だということです。プラスの財産だけ、相続するようなことはできません。

 

 借金だけでなく保証債務、すなわち個人が生前に引き受けた保証人の義務なども、法律上は引き継ぐ義務があります。

 

 プラスの財産もマイナスの財産もひっくるめて、相続を放棄することはできますが、そのためには相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に申し出る手続き(相続放棄)が必要です。こういうこともあるので、相続財産の確認にはできるだけ早く手を付けたほうが良いのです。

 

次回は「できれば早くしておきたい手続き」について説明します。

出典『改訂3版 大切な人が亡くなった後の手続き・届け出がすべてわかる本』

本記事は、上記出典を再編集したものです。(新星出版社/室谷・向山)

イメージ画像 Shutterstock.com

大切な家族が亡くなった後の手続き・届け出がすべてわかる本 改訂3版
関根俊輔 監修/大曽根 佑一監修/関根圭一 監修(プロフィールは下記参照)
葬儀までの手続きは、だいたい葬儀屋さんにお任せできます。
でも、その後の手続きや届け出は自分でしなければなりません。
じつは、これらの手続きには、結構いろいろなものがあり、手間がかかります。

相続の手続きはもちろんのこと、亡くなられた方の確定申告も、代わりにしなければなりません。
また、健康保険や年金の手続きもあります。
亡くなられた方が持ち家をお持ちなら、世帯主の変更手続きが必要なケースもありますし、光熱費の支払先の変更やNHKの受信料の手続きなども必要です。

これらの中には、手続きや届け出をしなければ、損をしてしまうものが少なくありません。反対に、手続きや届け出をすることで、得するケースもあります。


本書はこれらの手続きや届け出の仕方を、記入例とともに、ていねいに解説しています。
また、これらの手続きをするために必要な書類を、役所などから入手しなければなりません。本書では、これらの入手方法にも触れています。

これらは一般に、税理士、司法書士、社会保険労務士など、何名かのプロに相談しなければなりません。
本書は監修者に、税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士の資格を持つ方をむかえています。

懇意にしている税理士や司法書などの専門家がいらっしゃるのでしたら、これらの手続きは彼らにお任せできます。
でも、そのような方々が周囲にいらっしゃらないのでしたら、本書はとても役立つ一冊になります。

※本書は2019年刊行の『新版 大切な家族がなった後の手続き・届け出がすべてわかる本』を最新の法律や手続きに沿って新しくしたものです。
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関根圭一(セキネケイイチ)
社会保険労務士、行政書士。30 年を超えるキャリアのなか、就業規則の作成、労使紛争の解決、給与計算実務や社会保険についての手続き、アドバイスをおこなう専門家。健康保険、労災保険、遺族年金の請求等、数千件の実務に対応した実績を持つ。
大曽根佑一(オオソネユウイチ)
司法書士、行政書士。
中央大学法学部法律学科卒。平成17年司法書士登録、平成26年行政書士登録。司法書士・行政書士大曽根佑一事務所代表。街の法律家として、相続発生以前の遺言書等による紛争予防アドバイスから、相続発生後の登記手続・相続財産管理業務に至るまで、相続にまつわる多岐の分野に積極的に取り組む。
関根俊輔(セキネシュンスケ)
税理士。中央大学法学部法律学科卒。平成19年税理士登録、税理士法人ゼニックス・コンサルティング社員税理士。近年の高齢化に伴い、「亡くなる前」の贈与や相続税の事前対策から、「亡くなった後」の遺産分割、二次相続に至るまで、財産の収益化・コンパクト化を重視した、遺族の暮らしの総合コンサルティングを提供している。
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