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2021.10.14

宗教学者・島田裕巳先生に聞いた! 「イスラム過激派」はどのようにして生まれたの?

島田裕巳(シマダヒロミ)
1953年東京生まれ。宗教学者、作家。
東京大学文学部宗教学宗教史学専修課程卒業、東京大学大学院人文科学研究課博士課程修了。
大学院では、コミューン運動の研究を行い、医療と宗教との関係についても関心をもつ。放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員を歴任し、現在は東京女子大学、東京通信大学非常勤講師。日本と世界の宗教について幅広い内容の著述活動を行っている。
30万部のベストセラー『葬式は、要らない』(幻冬舎)をはじめ、『創価学会』(新潮社)、『教養としての世界宗教史』(宝島社)、『0葬』(集英社)、『日本の10大新宗教』(幻冬舎)『戦後日本の宗教史』(筑摩書房)など、著書多数。『0葬』は、大きな話題になるとともに、タイトルがそのまま流行語になった。

 こんにちは。宗教学者・作家の島田裕巳です。今回は、「イスラム過激派はどのようにして生まれたのか?」について解説します。記事の終わりに動画もありますので、ご覧ください(詳しい内容は、私が監修した『サクッとわかるビジネス教養 宗教と世界』に載っています。ぜひ本書もお読みください)。

イスラム過激派とは、全ムスリムの0.03%にすぎない

 

 21世紀以降、世界各地でイスラム過激派によるテロが多発しました。テロ組織として有名なのが、アルカイダとイスラム国(IS)です。

 

 このようなイスラム過激派組織の系譜を紐解くと、1960年代までさかのぼります。非イスラム政府の打倒(ジハード)を説いたクトゥブ主義が広がり、のちにアルカイダを結成するオサマ・ビンラディンにも影響を与えました。これ以降の説明は、次の節「アルカイダ」にゆずります。

 

 そんな過激派のムスリムは、約14億人の全ムスリムのうち、0.03%以下しかいません。ほとんどのムスリムは平和を望んでいるのです。

 

 過激派を支持する一部のムスリムは、貧困や格差、不平等、政治家への失望といった問題の解決を、過激派に期待しています。また、移民先で疎外感を感じるイスラム系移民などをターゲットにした布教によって、一部の過激派が生まれているという現状もあります。

イスラム過激派組織①「アルカイダ」とは?

 1979年、ソ連はアフガニスタンに侵攻しました。これに対しアメリカはイスラム義勇兵による組織、ムジャヒディンを援助します。ソ連の撤退後、この組織から派生して誕生したのが、アルカイダです(1988年)。結成の中心となったのは、オサマ・ビンラディンであり、組織は反米感情を強めていきました。

 

 2001年9月11日、アメリカ・ニューヨークで起きた同時多発テロ。つい先日発生から20年をむかえ、皆さんの記憶にも鮮明に焼き付いていることでしょう。このテロは、アルカイダが主導したものです。2011年にはオサマ・ビンラディンの死亡をアメリカが伝えましたが、依然として各地で活動を続けています。

アルカイダ系の過激派イスラム組織は、アフガニスタンやイエメン、ソマリアなどに存在するとされています。
イスラム過激派組織②「IS」とは?

 アルカイダから分裂し、2014年にイラク・シリア地域で国家樹立を宣言したのが、IS(イスラム国)です。ISは油田という豊富な資金源を確保し、徐々にアルカイダを上回る影響力を持つようになります。

 

 IS系のイスラム過激派組織は、シリア、イラクをはじめ、イエメン、ナイジェリアなどに関連組織が存在するとされています。

 なお、ISについて、“ISIS”“ISIL” といった呼称を目にしたことはないでしょうか? “ISIS” はISがかつて名乗っていたもので、国家樹立宣言を機にISとなりました。なお、米政府や国連などが使うのが、 “ISIL”という名称です。

イスラム過激派組織③「タリバン」とは?

 タリバンとは、アフガニスタンのイスラム過激派組織です。2001年の同時多発テロ後、オサマ・ビンラディンをかくまったとされ、米軍による攻撃を受けました。

 

 2021年8月、タリバンはアフガニスタンの首都カブールを制圧し、アフガニスタンのほぼ全土を支配下に置きました。連日の報道でも大きく取り上げられ、今後の動向に対して世界中の注目が集まっています。

🎦動画はこちらから

出典『サクッとわかるビジネス教養 宗教と世界』

イラスト 玉田紀子

 

本書は上記出典を再編集したものです。(新星出版社/大森)

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島田裕巳(シマダヒロミ)
1953年東京生まれ。宗教学者、作家。
東京大学文学部宗教学宗教史学専修課程卒業、東京大学大学院人文科学研究課博士課程修了。
大学院では、コミューン運動の研究を行い、医療と宗教との関係についても関心をもつ。放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員を歴任し、現在は東京女子大学、東京通信大学非常勤講師。日本と世界の宗教について幅広い内容の著述活動を行っている。
30万部のベストセラー『葬式は、要らない』(幻冬舎)をはじめ、『創価学会』(新潮社)、『教養としての世界宗教史』(宝島社)、『0葬』(集英社)、『日本の10大新宗教』(幻冬舎)『戦後日本の宗教史』(筑摩書房)など、著書多数。『0葬』は、大きな話題になるとともに、タイトルがそのまま流行語になった。
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