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2020.07.16
トップコンサルタントが教える「成功する転職1」

【第1回 納得できる会社に入ろう】

森本 千賀子
NHKプロフェッショナル仕事の流儀「会社も、人も、もっと輝ける~転職エージェント 森本 千賀子」出演。
1970年生まれ。獨協大学外国語学部卒業。1993年リクルート人材センター(現・株式会社リクルートキャリア)に入社。2012年4月より株式会社リクルートエグゼクティブエージェントに転籍。大手からベンチャーまで幅広い規模・業種の企業に対する人材戦略コンサルティング、採用支援サポート全般を手がけ、主に経営幹部・管理職人材の採用および転職支援に取り組む。これまで3万人超の転職希望者と接点を持ち、2000人超の転職を媒介してきた。2017年3月、株式会社morichを設立。パラレルキャリアを実践し転職・中途採用支援ではカバーしきれない企業の課題解決に向けたソリューションを提案、実行する。

 「今の会社では、本当に自分のやりたいことができない…」「更なるキャリアアップを目指したい…」「でも転職したからといって成功するとは限らない…」転職を考えたとき、このようなさまざまな葛藤や悩みはつきもの。

 

 「転職してよかった!」と心から思えるためには、目先のことだけではなく、「どうすれば転職先で活躍できるのか?」まできちんと考えておくことが大切です。そこで今回、転職活動で必要なこと、転職するまでの間にしておくべきこと、そして転職してから必要なことについてを、『無敵の転職』からお話します。(連載、全6回)

やるからには「本気」で!!

 「本当に転職するかどうかは迷っているけれど、とりあえず転職活動を始めてみる」。これは決して悪いことではありません。転職活動をするうちに、今いる会社の良さや携わっている仕事の価値を認識できる場合もあるからです。ただし、「どこかいいところがあれば」と、中途半端な気持ちで取り組むことはお勧めしません。

 転職活動をするからには、覚悟を決めて、本気で取り組んでください。結果的に転職するにしてもしないにしても、「これを機に自分を見つめなおし、自分の人生を変える」という気持ちを持って向き合っていただきたいと思います。

 また、過去に転職を経験している方もいるかと思います。しかし、前回の転職がスムーズに運んだ方は、くれぐれも過去の成功体験を引きずらないようにしてください。

 転職市場は刻一刻と変化しています。以前は高く評価された経験・スキルが、今では価値を認められなくなっている、ということはよくあるからです。「今回もすぐに採用が決まるだろう」と油断せず、転職市場の現状について情報収集を行い、自身の「市場価値」を客観的に認識してください。

企業が中途採用を行う背景

 企業が中途採用を行う背景はそれぞれ異なります。「自分は何のために採用されたのか」を分析しておくと、自らに期待される役割をある程度は認識できるでしょう。

 

 企業が中途採用を行う主な理由は、

 

・事業拡大に際し、即戦力がほしい

・新卒を採用できない

・欠員を補充したい

・組織の年齢構成を整えたい

・新規事業に乗り出すため、自社にない知見を持つ人材がほしい

・会社を変革してほしい・刺激を与えてほしい

 

などです。「自分がやりたいこと」と「企業から期待されていること」を擦り合わせ、組織の期待に応えるところからスタートする方がうまく着地できるでしょう。

転職成功への第1歩は「自己分析」

 

 学生時代の就職活動時に自己分析をした方は多いと思います。しかし、社会人経験を積む中で、考え方や価値観は多少なりとも変化しているもの。転職活動を始めるにあたっては、それらを整理し直す作業が欠かせません。

 このプロセスを省き、「転職によって何を実現したいのか」の軸を明確にしないまま選考に臨むと、あなたの強みや志望動機が企業に伝わらずに終わってしまいます。仮に内定を得られたとしても、入社後に自分に合わないと気付いて、転職を繰り返すことになるかもしれません。

 生き生きと働ける会社と出合うためには、自身を客観的に分析することがとても大切です。強みとなる経験やスキルを認識し、大切にしたい価値観や志向を明確にしましょう。ありのままのあなたを歓迎してくれる企業に入社できれば、その先も長く活躍できるはずです。

「WILL」「CAN」「MUST」を整理する

 

 転職を成功させるために意識すべき要素に、WILL」「CAN」「MUST」があります。

 

 WILL=「やりたいこと、なりたい姿」、CAN=「できること」、MUST=「やるべきこと」。この3つのバランスを取ることが大切です。

 しかし、転職をする方の多くが、応募書類や面接においてCAN、つまり経験やスキルのアピールだけで終わっています。しかし、求人企業側としては、CANと同じくらいWILLを知りたいと考えています。「自分はこれがやりたい」「将来こうなりたい」という目的意識や向上心を持っている人は、努力して成長する「伸びしろ」があると期待されるからです。

 つまり、転職活動では、WILLとCANの両方を応募企業に伝えるべきなのです。ただし、そのWILLとCANが、相手企業が求めるMUSTから大きく外れていたら受け入れられません。そこで、相手のMUSTをつかむために、企業研究もしっかり行いましょう。各企業のウェブサイトや転職情報サイトに記されているメッセージを読むことで、「求められているもの」が見えてきます。

 WILLとCANを明確にしたら、それが「世の中で求められているか」という観点で見ることも大切です。人材ニーズは時代ともに変化していくものです。自身のWILL、CANと社会のニーズを擦り合わせながら着地点を探ってください。

「面接」はニーズを擦り合わせる場

 採用面接では、自分が伝えたいことだけを押し付ける「一方通行」とならないよう注意してください。面接とは、相手企業のニーズをふまえ、自分がそれにマッチする人材であることを証明する「プレゼンテーション」の場です。あなたが自身を持っている経験やスキルをいくらアピールしたところで、相手がそれを求めていなければ評価を得られません。

 つまり、「面接対策」では、自分のキャリアの「棚卸し」と「企業研究」を同時に行い、「自分の強み」と「企業が求めている要素」が重なる部分をピックアップして伝えることが大切です。

 それに面接は、企業から一方的に評価される場ではなく、自分が企業を評価する場でもあります。

 自分にとってもMUST条件が満たされ、CANが生かせて、WILLを実現できる企業なのか―面接相手や社内の様子をしっかり観察し、確認すべき点について質問しましょう。

MORE

  • 企業が求める人材像
  • 自己分析の具体的な方法
  • 面接での具体的な注意点・面接を勝ち抜く話し方、「答えにくい」質問への対処法

👉本記事の詳細を知りたい方はこちらへ

 

⇒次回、第2回では、「転職先が決まったら、入社前にやっておくことについて」をお伝えします。

※写真/shutterstock

※本記事は、下記出典を再編集したものです。(新星出版社/向山)

無敵の転職
森本千賀子(プロフィールは下記参照)
“納得の一社”の内定を勝ち取り、新しい職場で活躍するための心得を、企業の本音を知り尽くした転職請負人が伝授する。面接~入社直後を乗り切る具体的な方法を、転職のプロが実体験をもとに具体的にわかりやすく解説していく。著者はNHKプロフェッショナル仕事の流儀「会社も、人も、もっと輝ける~転職エージェント 森本 千賀子」に出演した転職成功のプロフェッショナル。
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NHKプロフェッショナル仕事の流儀「会社も、人も、もっと輝ける~転職エージェント 森本 千賀子」出演。
1970年生まれ。獨協大学外国語学部卒業。1993年リクルート人材センター(現・株式会社リクルートキャリア)に入社。2012年4月より株式会社リクルートエグゼクティブエージェントに転籍。大手からベンチャーまで幅広い規模・業種の企業に対する人材戦略コンサルティング、採用支援サポート全般を手がけ、主に経営幹部・管理職人材の採用および転職支援に取り組む。これまで3万人超の転職希望者と接点を持ち、2000人超の転職を媒介してきた。2017年3月、株式会社morichを設立。パラレルキャリアを実践し転職・中途採用支援ではカバーしきれない企業の課題解決に向けたソリューションを提案、実行する。また、放課後NPOアフタースクール、一般社団法人ソーシャル・インベストメント・パートナーズの理事として、また複数社の社外取締役やアドバイザー、アンバサダーなどの活動にも注力。プライベートでは家族との時間を大切にし、二男児の母でもある。「妻」「母」「ビジネスパーソン」として充実した“トライアングルハッピー”の状態を目指す。
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