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2021.12.09

【マネジメント】仕事も生活も「いい感じ」にすればうまくいく。 Part.3 デジタル時代のマネジメント

遠藤功(エンドウイサオ)
株式会社シナ・コーポレーション 代表取締役。早稲田大学商学部卒業。米国ボストンカレッジ経営学修士(MBA)。三菱電機、複数の外資系戦略コンサルティング会社を経て、現職。2006年から2016年まで早稲田大学ビジネススクール教授を務めた。現在は「無所属」の独立コンサルタントとして活動している。多くの企業で社外取締役、経営顧問を務め、次世代リーダー育成の企業研修にも携わっている。
株式会社良品計画社外取締役。SOMPOホールディングス株式会社社外取締役。株式会社ネクステージ社外取締役。
15万部を超えるロングセラーである『現場力を鍛える』、『見える化』(いずれも東洋経済新報社)をはじめ、『生きている会社 死んでいる会社』、『現場論』(いずれも東洋経済新報社)、『新幹線お掃除の天使たち』(あさ出版)、『ガリガリ君の秘密』(日本経済新聞出版社)など、ベストセラー書籍多数。

 こんにちは。『サクッとわかるビジネス教養 マネジメント』を監修した遠藤功です。

 

 昨今の情勢から、日本でも導入する企業が多くなったリモートワーク。リモートワークとは、単純に働く場所が変わるだけということではありません。オフィスから離れることで、上司や先輩の目が届かなくても自律的に仕事をするスキルが求められるようになっているのです。したがって、セルフマネジメントやチームマネジメントの難易度・複雑性はますます高まり、マネジメント能力によってパフォーマンスが大きく左右されるようになっています。

 

 今回は、マネジメントによってリモートワーク中のパフォーマンスを上げる方法について解説します。

リモートワークに"適応"すれば「得をする」

 リモートワークが普及した今、「オフィスに出勤する」スタイルに縛られることなく働くことができるようになりました。しかし、リモートワークに適応できなければ成果が出せず、評価を得られなくなっていくでしょう。今私たちは、「自律」によって適応し、リモートワークのメリットを享受して”得をする”必要があります。

 

 一方で、リモートワークに適応できている人には、以下のような共通点があります。

 

〇自己管理を徹底できている

〇自力で業務を推進できる

〇適切な報連相を行える

〇業務品質を担保できる

 

 逆に言えば、上に挙げたようなことができなければ、リモートワークで成果が出せず“損をする”ことになってしまいます。そうならないために、やるべき習慣やマインドセットについて学んでいきましょう。

リモートワーク中のボスは「自分」

 リモートワーク中の最大の敵は「自分自身の怠け心」と断言しても良いほど、自宅で効率良く仕事をするには高いセルフマネジメント能力が求められます。オフィスでは周囲の雰囲気にあわせて仕事が進められていても、自宅だと他人の目がなく、ついついサボりがちに……。

 

 この状況を打破するためには、「自分が自分のボス(上司)」というマインドセットを持ち、仕事が捗る「リズム作り」を心がけることです。ルーチンを設定し、働くためのベースを自分で作る必要があるのですね。

 

 まずは、以下のようなことから始めてみましょう。

 

〇始業時間と終業時間を決める

〇仕事にふさわしい服装に着替える

〇ランチタイムや休憩時間を定める

 

 このようなことを徹底して、自分で自分をマネジメントする意識を高めることが重要です。

仕事が捗る環境を整える

 「怠ける原因」は自宅の環境にもあります。好きなものにあふれた自宅はまさに、誘惑だらけ。なぜなら、本来仕事をする場所ではなく、心身を休めるための場所なのですから……。

 

 そんな自宅で効率的な仕事をするためには、ワークスペースを作ることが大切です。仕事に関係のないものを片付けて、オフィスのデスクに近い状態を作りましょう。ほかにも「仕事用BOX」を作って、ガジェットや書類といった仕事道具を箱などにまとめておいて、箱を開くことを仕事開始のスイッチにするのもグッド。オンオフの切り替えにも有効です。

仕事の優先順位を「見える化」する

 オフィスにいれば、作業ごとに上司の指示を仰ぐこともできますが、リモートワーク中は「何をいつまでに、どのように終わらせるべきか」を自分が主体となって管理しなければなりません。そのためには、まずやるべき仕事を洗い出して、工数や優先順位を「見える化」する必要があります。そこで役に立つのが、前々回の記事で紹介した「ToDoリスト」。常にToDoが明確になっているのが、仕事ができる人の条件です。タスク管理やスケジューリングが苦手な人こそ、ToDoリストの作成を心がけてみてください。

上司・部下双方向のコミュニケーションが大切!

 一方で、上司の人は、部下が自分で考えて仕事を進められるようにする「コーチ型マネジメント」へ転換する必要があります。コーチ型マネジメントは、双方向のコミュニケーションを通じて解決策を導き出すマネジメント手法です。

 

 これを実践するためには、部下の話にきちんと耳を傾けること、「正解」よりも解決策を探す「過程」を評価すること、たとえ短時間でもタイムリーに進捗を確認することなどがポイントになります。

 

 部下にあたる方は、これまで以上にきちんと「報連相」を行いましょう。とくに、「相談」は早めに行い、タイムリーにアドバイスをもらうことが鉄則です。相談する場合は、内容を整理して現状を分かりやすく説明する、判断を上司に丸投げせず、自分の意見や考えをしっかりと伝える、感情的にならずに、あくまでも事実をベースに相談することがポイントです。

遠藤功先生が解説する動画はこちらから

 今回解説した内容は、こちらの動画でもご覧になれます。

 

 より深く広く知りたいという方は、私が監修を務めた『サクッとわかるビジネス教養 マネジメント』をぜひご一読ください。

出典『サクッとわかるビジネス教養 マネジメント』 

イラスト 平井さくら

本書は上記出典を再編集したものです。(新星出版社/大森)

サクッとわかるビジネス教養 マネジメント
「マネジメント」=「管理」と解釈されることが多いですが、実はそうではありません。たとえば
・仕事をする環境をいい感じにする
・自分の体調をいい感じにする
・人間関係をいい感じにする
・仕事の役割分担をいい感じにする
・仕事の段取りをいい感じにする
など、仕事の成果(パフォーマンス)を最大化するために、仕事に絡むあらゆるものを「いい感じにする」ことなのです。

仕事のできる人、できない人の違いは、実は才能の有無にあるのではなく、マネジメントスキルの高低にある、といっても過言ではありません。

本書は、セルフマネジメントの方法をはじめ、チームマネジメント、時間や感情のマネジメント、コロナ禍のマネジメントまでを、見るだけでよくわかる特別な図版で解説。すべてのビジネスパーソン必読の1冊です。
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遠藤功(エンドウイサオ)
株式会社シナ・コーポレーション 代表取締役。早稲田大学商学部卒業。米国ボストンカレッジ経営学修士(MBA)。三菱電機、複数の外資系戦略コンサルティング会社を経て、現職。2006年から2016年まで早稲田大学ビジネススクール教授を務めた。現在は「無所属」の独立コンサルタントとして活動している。多くの企業で社外取締役、経営顧問を務め、次世代リーダー育成の企業研修にも携わっている。
株式会社良品計画社外取締役。SOMPOホールディングス株式会社社外取締役。株式会社ネクステージ社外取締役。
15万部を超えるロングセラーである『現場力を鍛える』、『見える化』(いずれも東洋経済新報社)をはじめ、『生きている会社 死んでいる会社』、『現場論』(いずれも東洋経済新報社)、『新幹線お掃除の天使たち』(あさ出版)、『ガリガリ君の秘密』(日本経済新聞出版社)など、ベストセラー書籍多数。
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