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2020.12.17

「空腹の時間」にこそ、健康・若返りの秘密が!?
~食べ過ぎない生活で健康になろう~【後編】

 前回は「空腹の時間」を活用した食生活のメリットや、そのメカニズムについて紹介しました。今回は、「空腹の時間」を取り入れた食生活について具体的に紹介します。

 

「空腹の時間」のつくり方

 「空腹の時間」がくらしにメリハリをつける

 

 自律神経を整えるために最も重要なのは、「生活リズムを整えること」「メリハリのあるくらしをすること」です。毎日、同じ時間に寝て起きるだけでも、自律神経を整える効果があります。

 生活リズムが崩れてしまうと、とたんに自律神経も乱れはじめますが、その原因のひとつに「日常的な満腹」があります。

 一日三食を同じ時間に食べていると、確かに生活リズムは整います。しかし、消化吸収が追いつかずに体は常に満腹かそれに近い状態です。交感神経と副交感神経は、いつ、どちらが優位になるべきか判断がつきません。

 本当なら交感神経を活発にするべき状況なのに、消化吸収のために副交感神経を活発にしなくてはいけない。そんな矛盾した状態に追いこまれてしまうのです。

 このあとに紹介する朝だけ断食では、日中にしっかりと空腹の時間をつくったら、夜は腹八分目でゆったり食事を楽しみ、おだやかに休息の時間へと移行します。

 日中は交感神経に働いてもらい、夜は副交感神経に働いてもらう。こうして自律神経を整えれば毛細血管の血流も正常化しますから、血流の乱れによるダメージも改善されていきます。

 

 

「朝だけ断食」で楽ちん空腹生活

 

 朝だけ断食といっても、まったく朝食をとらないわけではありません。午前中の活動に必要な糖分はしっかり摂取します。

 ですから空腹でふらふらすることはありません。反対に、朝食をガッツリ食べていたときに悩まされていた胃もたれがなくなり軽快に動けます。

☆朝だけ断食メニュー

●朝食:しょうが紅茶orニンジンリンゴジュース

しょうが紅茶…あたたかい紅茶に「おいしい」と感じる量のすりおろしショウガかショウガ汁を入れ(チューブショウガでもよい)、黒砂糖かハチミツを加える(こちらもおいしいと感じる量)。

 

 ショウガには、次のような健康効果があります。

・血液サラサラ

・体熱上昇

・免疫力アップ

・ダイエット効果

・コレステロール低下

・血圧低下

・うつの改善

・老化予防・若返り

 これらの健康効果を、ショウガはすべてもっているのです。空腹生活を始めるにあたって、絶対に外してはいけない食材です。また、紅茶には抗酸化作用のある紅茶ポリフェノールが含まれており、生活習慣病やガンの予防が期待できます。糖や脂肪の吸収を抑制するのでダイエットにもぴったり。血糖値の急激な上昇を抑え血管をダメージから守ってくれます。

 

※ニンジンリンゴジュース…ニンジン2本、リンゴ1個をジューサーにかけたもの

 ニンジンリンゴジュースには、体に必要なビタミンとミネラルがバッチリ含まれています。ショウガ紅茶もニンジンリンゴジュースも液体なので起き抜けの胃腸の負担になりません。夏はニンジンリンゴジュース、秋からはショウガ紅茶と飲みわけてもよいでしょう。ちなみに、ショウガ紅茶は日中に何杯飲んでもOKです。

 

●昼食:ソバ

 その日、初めて取る固形物は胃腸の負担にならないソバがおすすめです。ソバはタンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維、ポリフェノールを含む健康食品です。

 

●夕食:腹八分目までであれば何を食べても可。なるべく和食がよい。お酒もOK!

 夜は基本的になにを食べてもよいのですが、くれぐれも「腹八分目」で。ぜひ覚えておいていただきたいのが「体を温める食材と冷やす食材」。空腹のときは体内の老廃物が燃やされて体熱が上昇します。食事で温め効果の高い食材を中心にとれば、より体熱がアップし全身の細胞がいきいき働きはじめます。

 

 

 

体を温める食材と冷やす食材

産地…体を温める食材⇒北 体を冷やす食材⇒南

形状…体を温める食材⇒硬く締まっている 体を冷やす食材⇒やわらかく水っぽい

色…体を温める食材⇒赤・黒・オレンジ 体を冷やす食材⇒青・白・緑

農産物体を温める食材⇒根菜類 体を冷やす食材⇒葉野菜

調味料体を温める食材⇒味噌・醤油・塩 体を冷やす食材⇒酢・白砂糖・化学調味料

飲み物体を温める食材⇒紅茶 体を冷やす食材⇒緑茶・牛乳・清涼飲料水

アルコール体を温める食材⇒日本酒・赤ワイン・梅酒・焼酎 体を冷やす食材⇒ウイスキーのロック・ビール

 いままで三食しっかり食べていたのに、いきなり朝食をジュースに置きかえるのは不安と思われる方もいらっしゃるでしょう。まずは「腹八分目」に慣れてから「朝だけ断食」にステップアップするのもよいと思います。

 

 朝だけ断食をつづけると、体にはさまざまな変化があらわれます。一週間という短いスパンで効果を実感できる健康法というのはそうそうないと思いますが、朝だけ断食はちがいます。一週間も続ければ細胞レベルでパワーアップしていることを実感していただけるでしょう。

 今回は『空腹の時間が健康を決める』から、「朝だけ断食」の方法を紹介しました。本書には、さらなる体質改善を目指したい方のための「一日断食のメニュー」についても紹介しています。ぜひ手に取ってみてくださいね。

※写真/shutterstock

※本記事は、下記出典をもとに、一部加筆し、再編集したものです。(新星出版社/大森)

「空腹の時間」が健康を決める
石原結實 監修/石原新菜 著(プロフィールは下記参照)
空腹を活用しながら血流をよくして、健康と若返りを手に入れる本です。

【健康を決めるのは「血流」】
健康を決めるのは「血流」です。血流が悪くなると、「だるい」「疲れる」「冷え」といった症状から始まり、「肌トラブル」「便秘・下痢」「肩こり」「頭痛」などの不調になります。さらに、悪化すると病気になってしまいます。


【1日3食は、食べすぎです】
多くの方は、1日3食をとっています。しかし、1日3食は、食べすぎです。食べたものを、体の中に消化・吸収するには、たくさんの血液が必要となります。食べたあと眠くなるのはその一例です。血液が胃腸に回されて脳の血流が減ってしまうために、食後にはうつらうつらしてしまうのです。そうすると、他の部分に血液が回りません。とくに、毛細血管といわれる細い血管に血液が行き届かなくなり、血管に血液が全く回らなくなるゴースト血管(血管の幽霊化)になってしまいます。すると、その周り部分には、血液を使って送られるべき酸素や栄養が届かず、いらなくなった老廃物の回収もできません。

その結果、「冷え」という症状が始まり、不調になり、最終的には病気へとつながってしまうのです。


【空腹が、血流を回復させます】
この血流をよくするために、一番効果が高いのは「空腹」です。空腹の時間を多くすると、血流は一気に回復へと向かいます。食べたものの消化・吸収に使われる血液が減り、そのぶん他のところへ栄養を運んだり、老廃物を回収したりすることができるのです。不調や病気は、体の中の悪いものが排泄できないためになります。血流がよくなれば、体にとって不要な老廃物を排泄することができるのです。


【つらくない空腹時間の作り方】
「空腹はつらい」という印象があります。そのような方でも、本書で紹介する方法を使えば、ラクに空腹の時間を長くすることができます。空腹を活用しながら血流をよくして、健康と若返りを手に入れましょう!
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石原新菜(イシハラニイナ)
イシハラクリニック副院長 ヒポクラティック・サナトリウム副施設長
健康ソムリエ講師 https://kenkosommelier.jp/

1980年長崎市生まれ。幼少期をスイスで過ごす。医学生の頃から父・石原結實とメキシコのゲルソン病院、ミュンヘン市民病院の自然療法科、英国のブリストル・キャンサー・ヘルプセンターなどを視察し、自然医学の基礎を養う。クリニックでの診療のかたわら、メディア出演、執筆、講演活動なども積極的におこない、「腹巻」や「生姜」などによる美容と健康増進の効果を広めることに尽力している。二児の母で、母として女性としての視点からのアドバイスにも定評がある。『病気にならない蒸しショウガ健康法』(アスコム)、『読む冷え取り』(主婦の友社)、『「体を温める」と子どもは病気にならない』(PHP研究所)等の著書があり、中国、香港、韓国、台湾、ベトナムなどで翻訳されている。

石原結實(イシハラユウミ)
医学博士。イシハラクリニック院長。ジョージア共和国科学アカデミー長寿医学会名誉会員。

1948年長崎市生まれ。長崎大学医学部を卒業して血液内科を専攻。同大学院博士課程で「白血球の働きと食事・運動の関係」の論文で医学博士の学位を取得。スイスの自然療法病院、B・ベンナークリニックやモスクワの断食療法病院でガンをはじめとする数々の病気、自然療法を学び、コーカサス地方の長寿村にも長寿食の研究に5回赴く。テレビ、ラジオなどの出演や全国講演でも活躍中。クリニック院長のほか、伊豆で健康増進を目的とする保養所、ヒポクラティック・サナトリウムを運営。ベストセラーとなった『生姜力』(主婦と生活社)、『食べない健康法』(PHP研究所)、『体を温めると病気は必ず治る』(三笠書房)』を含め著書は300冊以上にのぼり、米国、ロシア、ドイツ、フランス、中国、韓国、台湾、タイなどで100冊以上が翻訳されている。(書籍刊行時)
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