ライフ & ホビーライフ & ホビー

2020.12.10

「空腹の時間」にこそ、健康・若返りの秘密が!?
~食べ過ぎない生活で健康になろう~【前編】

 家にこもりがちな毎日が続きますが、最近の体調はいかがでしょうか? なんとなく体が重かったり、太ってきてしまったり……といったお悩みを抱えた方も多くいるのではないでしょうか。そこで今回は、『空腹の時間』から、健康を取り戻すための健康法を紹介します。つい食べ過ぎてしまいがちな年末年始に向けて、試してみるのはいかがでしょうか。

健康を保つために実は不可欠な「小食であること」

  年をとっても元気ハツラツとして、心身ともに健康な人の特徴とは何かご存知ですか?

〇定期的に体を動かしている

〇責任ややりがいを感じるくらしをしている

〇ストレスをためず、いつも明るい気持ちでいる

〇趣味や勉強など、向上心を持って取り組んでいる

などの一般的なことに加えて、

小食である 

という要素が、意外にも若々しさの秘訣となるのです。小食というとあまり元気のいいイメージがありませんが、これはいったいどういうことなのでしょう?

小食と血流の関係

 では、なぜ小食が体にいいのでしょうか?  その理由の一つに、血流との関係があります。人間の体には、動脈や静脈といった太い血管から毛細血管に至るまで、全身くまなく血管網が張り巡らされています。その総延長はなんと10万キロメートル! 地球2周半分の長さが自分たちの体に収まっていると思うと不思議ですね。そして、その9割は毛細血管。ほとんどが髪の毛よりはるかに細い血管なのです。

 この大量の血管は細胞に血液を運ぶためにあるのですが、細胞に栄養や水分、酸素を届けたり、老廃物を回収したりなど、細胞が正常な活動を行うためのインフラになっているのです。そして、この細胞が正常にはたらくことで私たちの身体は健康に保たれています。

 では、もしこの血流が滞ってしまったら、わたしたちの身体はどうなってしまうでしょうか?

 

〇栄養や水分が肌の細胞に届かなくなる → 肌トラブルや老化

〇血液が回らなくなった結果、その部分の体温が下がる → 免疫力の低下や冷え性

など、血流が悪くなると身体全体に不調が出ることは明白です。だから、血流をよく保つことが健康に直結しているといえるのです。

 

 血流が悪くなる原因は数多くありますが、今回フィーチャーしたいのは食生活、ズバリ「食べ過ぎ」によるものです。なんと、ここでいう「食べ過ぎ」とは、ふつうに1日に3食食べる生活のこと。食事をすると、消化を行うため胃腸に血流が集中するのですが、この状態を1日3回続けると胃腸は休む暇なくはたらいてしまいます。結果として集中した分血液が適切に回ってこない部位がうまれてしまい、細胞の老化、身体の不調が引き起こされているのです。

また、1日3食の食事をとっている状態は、栄養が過剰供給となっており、余分な脂質や糖分が血中に溜まって血液が汚れてしまってもいます。汚れてドロドロになった血液では、毛細血管を通って全身の細胞に血液を循環させることが難しくなってしまい、正常に機能しなくなる細胞が出てしまうのです。

 

 というわけで、小食 =「食べ過ぎない」ことが健康を保つうえで重要な要素となっているということはお分かりいただけましたか?

まとめると、食べ過ぎ → 血流が滞る → 細胞が正常に機能しなくなる→ 身体の不調 という流れを断ち切って、健康な身体を保つために「小食」が大切というわけです。

空腹の時間を作ることのメリット

 食べ過ぎない生活を実現するためには、これまでのように朝昼晩すべてしっかりと食事をとるのをやめ「空腹の時間」を意識的に作る必要があります。ここからは、そんな「空腹の時間」を利用した食生活のメリットを3点ご紹介します。

免疫力アップ!

 今、とてもホットな免疫力というワード。病気を防ぐために大切な身体の機能ですが、これも「空腹の時間」をつくることで向上させることが可能なのです。

 小腸が免疫力の中心を担っていることをご存知ですか? 小腸には、体全体の免疫細胞の半数以上が集まっており、病原菌やウイルスと戦っています。その免疫細胞たちはただ戦うだけでなく、外敵の特徴を覚えて免疫の質を高めることができるうえ、血流にのって全身で活躍するのです。また、その免疫細胞を作る小腸の細胞は健康である必要があるため、細胞の機能を正常に保つ血液がちゃんと運ばれてこなくてはいけません。

 そのため、「空腹の時間」を設けて小腸に休息を与えたり、毛細血管を健康に保つことで免疫力アップにつながるのです。

肌の若々しさを保つ

 細胞は血液を介して代謝をおこない、正常に働くことができるということは先ほど説明しました。したがって、血流がよく、毛細血管を通じて肌の細胞のすみずみまで血液がいきわたれば、お肌を細胞レベルで活性化できるということ。逆に言えば、血流が悪いままの生活を続ければ以下のような症状が現れるのです。

 

〇シミ 肌の細胞を紫外線から守るメラニンという色素。これは役目を終えると血液を介して排出されるのですが、そこが滞ってしまうと蓄積してしまってシミができてしまうのです。

〇シワ 毛細血管が届ける栄養素は、コラーゲンの生成にも関わります。コラーゲンが作られなくなると肌にハリがなくなり、シワになってしまいます。また、水分が届けられないことで乾燥が進み、シワの原因になることもあります。

 

 「空腹の時間」を作れば、細胞の代謝の問題が改善され、お肌トラブルのない若々しい肌を保つことができるということです。

便秘の改善

 これは血流とは直接関係がありませんが、身体のそもそもの働きとして排出が促進されます。吸いながら吐いたり、寝ながら起きることができないように、反対のことは同時にできないようにできているのがわたしたちの身体です。したがって、食事 ( = 吸収) を減らせばおのずと排出 (= 便通 ) が得られるものなのです。

 ここまでで、「空腹の時間」を作ることによる健康へのメリットと、そのメカニズムを理解していただけたのではないかと思います。

「どうやって実践すればいいの?難しそう。」との声も多そうですが、実は普段通りの生活に一工夫加えるだけなんです。そこで次回は、実践するためのハウツーを具体的に解説します。

◆MORE 「空腹の時間」をとることのメリットは、ほかにもこんなにあります。

〇血流が良くなる

〇体が温まる

〇アレルギー症状が改善する

〇免疫力がアップする

〇更年期障害が改善する

〇認知症を遠ざける

〇自律神経が整う など

くわしくは👉こちら

※写真/shutterstock

※本記事は、下記出典をもとに、一部加筆し、再編集したものです。(新星出版社/大森)

「空腹の時間」が健康を決める
石原結實 監修/石原新菜 著(プロフィールは下記参照)
空腹を活用しながら血流をよくして、健康と若返りを手に入れる本です。

【健康を決めるのは「血流」】
健康を決めるのは「血流」です。血流が悪くなると、「だるい」「疲れる」「冷え」といった症状から始まり、「肌トラブル」「便秘・下痢」「肩こり」「頭痛」などの不調になります。さらに、悪化すると病気になってしまいます。


【1日3食は、食べすぎです】
多くの方は、1日3食をとっています。しかし、1日3食は、食べすぎです。食べたものを、体の中に消化・吸収するには、たくさんの血液が必要となります。食べたあと眠くなるのはその一例です。血液が胃腸に回されて脳の血流が減ってしまうために、食後にはうつらうつらしてしまうのです。そうすると、他の部分に血液が回りません。とくに、毛細血管といわれる細い血管に血液が行き届かなくなり、血管に血液が全く回らなくなるゴースト血管(血管の幽霊化)になってしまいます。すると、その周り部分には、血液を使って送られるべき酸素や栄養が届かず、いらなくなった老廃物の回収もできません。

その結果、「冷え」という症状が始まり、不調になり、最終的には病気へとつながってしまうのです。


【空腹が、血流を回復させます】
この血流をよくするために、一番効果が高いのは「空腹」です。空腹の時間を多くすると、血流は一気に回復へと向かいます。食べたものの消化・吸収に使われる血液が減り、そのぶん他のところへ栄養を運んだり、老廃物を回収したりすることができるのです。不調や病気は、体の中の悪いものが排泄できないためになります。血流がよくなれば、体にとって不要な老廃物を排泄することができるのです。


【つらくない空腹時間の作り方】
「空腹はつらい」という印象があります。そのような方でも、本書で紹介する方法を使えば、ラクに空腹の時間を長くすることができます。空腹を活用しながら血流をよくして、健康と若返りを手に入れましょう!
購入はこちら
石原新菜(イシハラニイナ)
イシハラクリニック副院長 ヒポクラティック・サナトリウム副施設長
健康ソムリエ講師 https://kenkosommelier.jp/

1980年長崎市生まれ。幼少期をスイスで過ごす。医学生の頃から父・石原結實とメキシコのゲルソン病院、ミュンヘン市民病院の自然療法科、英国のブリストル・キャンサー・ヘルプセンターなどを視察し、自然医学の基礎を養う。クリニックでの診療のかたわら、メディア出演、執筆、講演活動なども積極的におこない、「腹巻」や「生姜」などによる美容と健康増進の効果を広めることに尽力している。二児の母で、母として女性としての視点からのアドバイスにも定評がある。『病気にならない蒸しショウガ健康法』(アスコム)、『読む冷え取り』(主婦の友社)、『「体を温める」と子どもは病気にならない』(PHP研究所)等の著書があり、中国、香港、韓国、台湾、ベトナムなどで翻訳されている。

石原結實(イシハラユウミ)
医学博士。イシハラクリニック院長。ジョージア共和国科学アカデミー長寿医学会名誉会員。

1948年長崎市生まれ。長崎大学医学部を卒業して血液内科を専攻。同大学院博士課程で「白血球の働きと食事・運動の関係」の論文で医学博士の学位を取得。スイスの自然療法病院、B・ベンナークリニックやモスクワの断食療法病院でガンをはじめとする数々の病気、自然療法を学び、コーカサス地方の長寿村にも長寿食の研究に5回赴く。テレビ、ラジオなどの出演や全国講演でも活躍中。クリニック院長のほか、伊豆で健康増進を目的とする保養所、ヒポクラティック・サナトリウムを運営。ベストセラーとなった『生姜力』(主婦と生活社)、『食べない健康法』(PHP研究所)、『体を温めると病気は必ず治る』(三笠書房)』を含め著書は300冊以上にのぼり、米国、ロシア、ドイツ、フランス、中国、韓国、台湾、タイなどで100冊以上が翻訳されている。(書籍刊行時)
新着記事