
【連載第2回】
個人事業のさまざまな形態
②店舗型(飲食店、小売店、教室など)
個人事業には、店舗をかまえて事業を行う形態もあります。飲食店、小売店、各種教室、サロンなどがその代表例です。
店舗をかまえて商売を始めるには、ある程度のまとまったお金を準備しなければなりません。開業費用は、お店や教室の規模や営業スタイル、場所などによって変わりますが、店舗や教室を借りるための保証金や前払いの家賃、内装や外装、エアコンなどの費用や工事費が必要になります。それ以外にもテーブルや棚などの什器や備品をそろえる費用や、メニューや看板をつくる費用もかかります。
最近は店舗をかまえずにキッチンカーなどで飲食店を始めるケースも多く見られます。そのメリットは、店舗を借りるよりも初期費用を大幅に抑えられ、自由に移動できること。また、ショッピングセンターのイベントスペースなどに出店する、店舗をもたない飲食店や小売店もあります。
事業を始めるときに、資格や許認可の届出が必要な業種もあります。飲食店を開業するには、「食品衛生責任者」を置いて、保健所に届け出なければなりません。この資格は、各都道府県の食品衛生協会が実施している講習を受けることで、簡単に取得できます。キッチンカーなどを使って移動販売の飲食店を始めるときは、移動販売で使用する車の申請も必要です。車内で簡単な調理を行う場合は「食品営業自動車」、弁当・惣菜屋など、調理加工済みの弁当や惣菜を販売する場合は「食品移動自動車」の申請が必要になります。
また、リサイクルショップのように中古品を販売する場合は、「古物営業」の届出が必要になります。
店舗型の個人事業で、きびしい競争に生き残るためには、品ぞろえやお店のレイアウト、接客などにこだわり、お客に楽しんでもらうための雰囲気を演出することが大切です。同じような製品・サービスであっても、お客様に「他のお店ではなく、この店で購入したい、サービスを受けたい」と 思わせるプラスアルファがなければ、お客様の支持は得られません。価格だけで勝負をしてしまうと、豊富な資金がある大手にかなわないので、価格競争はやめるべきです。
また、店舗型の個人事業は、スタート時点の知名度がないため、新聞や地域のフリーペーパー、インターネットなどに効果的な広告を行って、お店の存在を知ってもらう必要があります。
◆飲食店…定食屋、居酒屋、ラーメン店、カフェ、スイーツ店など
◆小売店…弁当・惣菜店、雑貨店、ファッション店、リサイクルショップなど
◆教室…音楽教室、料理教室、英会話スクール、着付け教室など
◆サロン…ネイルサロン、エステサロン、マッサージ店、ペットサロンなど
◆移動店舗…弁当屋、スイーツ店、雑貨店、ファッション店など
出典 『図解わかる 個人事業の始め方 2023-2024年版』
本記事は上記出典を再編集したものです。(新星出版社/向山)
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港パートナーズLLP 代表パートナー。税理士、AFP(アフィリエイテッド・ファイナンシャル・プランナー)、登録政治資金監査人。
大学卒業後、大手ゼネコン(総合建設業)に入社し、建築・土木の各工事現場の工事事務全般(経理・労務等)を担当。
平成13年、税理士として独立開業。クライアントは、個人事業者から上場企業まで多岐に渡り、誰にでもわかりやすく、納得のいく税務・会計指導を行っている。具体的には、クライアントに対して、適正な月次決算体制の構築を行い、①経営計画の策定支援(PLAN)、②計画に沿った経営活動(DO)、③月次巡回監査による検証(CHECK)、④決算対策などの対策(ACTION)のPDCA サイクルの定着を支援していくことで、企業の永続的発展を目指して活動を行っている。
平成24年11月、中小企業経営力強化支援法に基づく経営革新等支援機関に認定。
監修書に『経理の教科書1年生』『個人事業の教科書1年生』『図解わかる 個人事業の始め方』『ざっくりわかる簿記の本』(すべて新星出版社)などがある。