年齢とともに気になるのが体型の変化。食事を減らすのが先か、運動するのが先か? やせるためにはまず何をしたらいいのか、実はよくわからないという方も多いのでは。そこで今回は、『新版 筋トレと栄養の科学』(坂詰真二/石川三知 監修)から、やせる身体を作るためにまずすべきことを解説します。
筋肉を1㎏増やすと、年□㎏体脂肪が減る!
【選択肢】0.5 1.5 2.5
年を取って筋肉が減って太ると動くのがつらくなり、日常生活での消費カロリーがダウンしてさらに太りやすくなります。動かないと余計に筋肉は減りやすくなり、太りやすくなります。筋肉が減る→動かない→太る→さらに動かない→さらに太る……。中年以降はこの悪循環で雪だるま式に太り続けるということになります。
この悪循環を断ち切り、やせたいのなら、筋肉を鍛えるのが先決です。
やせるための手段は、食事からの摂取カロリーを減らすか、運動などによる消費カロリーを増やすかの二者択一しかありませんが、太った人がやせようとすると、まずは食事を減らそうとします。太っている人の多くは運動をするのが苦手ですから、食事を制限する方が容易なのです。
ところが、食事を減らすと、筋肉がさらに減りやすくなります。
太っている人は、摂取カロリーが消費カロリーを上回っており、エネルギー収支が黒字になっています。やせるためには逆に摂取カロリーを消費カロリー未満に抑えて、エネルギー収支の赤字をつくり出す必要があります。エネルギー収支が赤字になると、それをカバーするために脂肪細胞に蓄えられている体脂肪が分解されてカロリーになるため、やせられるのです。
でも、このシナリオにはちょっとした落とし穴があります。エネルギー収支が赤字になると体脂肪だけではなく、大事な筋肉も分解されてしまうのです。筋肉は水分を除くとほとんどがタンパク質。タンパク質もエネルギー源になるため、食事量を減らすと筋肉のタンパク質が分解されて、筋肉はさらに減り、太りやすくなるのです。
やせたいなら、筋肉を減らすのではなく、増やすべき。基礎代謝の20~30%を占めている筋肉を増やすと消費カロリーが増えてきて、食事量を減らさなくてもエネルギー収支が赤字になってやせやすくなります。
筋肉を1㎏増やしてやると、消費カロリーが1日当たり最大50㎉増えるといわれています。「たかが50㎉」とあなどらないでください。
1年間に増える消費カロリーは50×365=18250㎉。体脂肪は1g7.2㎉、1㎏で7200㎉ですから、単純計算で年間18250÷7200≒2.5㎏ずつ体脂肪が減る計算になります。「塵も積もれば山となる」という格言を胸に刻み、地道に筋トレをしていれば、隠れ肥満も中年太りも根本から鮮やかに解消できるのです。
やせるためには、栄養をきちんと摂りながら、筋トレをはじめることが大切なのですね。筋肉を増やすと消費カロリーが増えてきて、食事量を減らさなくてもエネルギー収支が赤字になり自然と体脂肪が減る、ということを覚えておきましょう。
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出典『新版 筋トレと栄養の科学』
本記事は上記出典を再編集したものです。(新星出版社/向山)
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NSCA 認定ストレングス&コンディショニング・スペシャリスト。同協会認定パーソナルトレーナー。「スポーツ&サイエンス」代表、横浜リゾート&スポーツ専門学校講師。横浜市立大学文理学部卒。株式会社ピープル(現コナミスポーツ)で教育担当職を歴任後、株式会社スポーツプログラムスにてアスリートへのコンディショニング指導を担当。1996 年「スポーツ& サイエンス」を興し、指導者育成、メディアを通じての運動指導などで活躍中。著書に『女子の筋トレ&筋肉ごはん』『最新ストレッチの科学』(ともに弊社)など著書多数。
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石川三知(イシカワミチ)
スポーツ栄養アドバイザー、ボディリファイニングプランナー。「Office LAC-U」代表。跡見学園短期大学生活芸術科、横浜栄養専門学校卒。病態栄養指導に携わった後、東京工業大学の実験助手を経て栄養アドバイザーに。陸上の末續慎吾選手、競泳の渡部香生子選手、スピードスケートの岡崎朋美選手、フィギュアスケートの荒川静香選手、髙橋大輔選手、全日本男子バレーボールチームなど、多くのアスリートやチームを栄養面からサポートする。著書に『フィギュアスケーター髙橋大輔を支えてきた食事パターン 身体を引き締める食べ方1:1:2』(マガジンハウス)、『3か月で必ず結果がでる! からだの中から美しくなるレシピ』(永岡書店)など。