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2023.02.15

💴【株式投資にも役立つ、決算書の読み方】
~前編~ 決算・決算書って?

 毎年3月は、多くの会社で決算が行われます。決算書が読めることは、ビジネスパーソンにとって必須スキルです。とはいえ、そもそも決算書ってどんなものなのかよくわからない、という方も多いでしょう。

 そこで今回は、『ここだけ読めば決算書はわかる!』から、2回にわたり決算・決算書とはどのようなものなのかを解説します。

決算とは、1年間のビジネスの総まとめ

 会社は、商品や製品を売ったり、あるいはサービスを提供するなど、さまざまなビジネス、つまり経営活動を行います。この経営活動を、原則として1年間を1つの区切りとして、結果を総まとめするのが、決算と呼ばれる作業です。

 決算で総まとめするのは、主に会社が1年間でいくら稼いだかという経営成績と、1年を終えた時点での財産の状態がどうなっているかという財政状態です。

 決算は、最低でも年に1回、行います。ちなみに、決算を行う月(決算月)を何月にするかは、会社が自由に決められます。

決算書とは、社外の人も見る会社の「成績表」

 会社は、日々、お金の出入りを記録し、管理しています。これを「会計」といい、決算では、この会計の情報をもとに、いくつかの書類をつくります。それが、決算書です。

 

 決算書は、会社法という法律によって、すべての会社で、一定のルールに基づいた書類を作成することが義務づけられています。また、自社の株式を証券取引所で取引している上場会社は、金融商品取引法という法律により、やはり一定のルールに基づいたものを作成しなければなりません。

 

 決算書には、2つの重要な書類があります。

 1つは、1年間で売上や利益がどれだけあったかをまとめた書類で、これを損益計算書といいます。

 もう1つは、決算をした時点で、どんな財産が、どれだけあったかをまとめた書類で、これを貸借対照表といいます。

 

 決算書は、会社にとって「通知表」「成績表」のようなものです。会社は決算書をもとに、税金を払ったり、銀行からお金を借りたりします。

 そのため決算書は、経営者や、会社にビジネスを行う元手となるお金を出している株主のほか、税務署や銀行など社外の人も見る、とても大事な書類なのです。

「決算書」「財務諸表」、なぜ呼び方が違う?

 決算書というのは、正式な呼称ではありません。会社法上の呼び方は「計算書類」であり、金融商品取引法上は「有価証券報告書」という言い方をします。ただ、どちらも一般的には決算書、または財務諸表と呼ばれているのです。

決算書には、いくつかの種類がある
決算でつくる書類は会社法で決められている

 会社法によって、すべての会社に作成が義務づけられている決算書は、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表です。これらを「計算書類」と呼び、このほかに事業報告、附属明細書を加えたものを「計算書類等」と呼んでいます。

 

 これらに加えて、自社の株式を証券取引所で取引できるようにしている上場会社には、金融商品取引法により、キャッシュ・フロー計算書という書類の作成も義務づけられています。

 そして、上場会社に限らず、会社法が定める「大会社」に相当する会社には、損益計算書の公開などが義務づけられています。

大事なのは貸借対照表と損益計算書

 計算書のうち、最も大事な2つの書類が、貸借対照表と損益計算書です。

 まず、貸借対照表には、会社が今、どれくらい財産をもっているのかが書かれています。つまり、会社の財政状態が書かれていて、これを見れば、会社がビジネスをするための元手である、資金の調達と運用の状況がわかるようになっています。

 

 ここで見るべきポイントの1つは、負債の額の増減です。

 会社が売上や利益を伸ばすためには、設備投資や研究開発、販売促進などに、どうしてもお金がかかります。このお金の一部を、多くの会社では銀行などの外部から借金をしてまかなっています。事業を盛んにするためには、借金はある程度必要なことです。ただ、借金をすれば利息を払わなくてはならず、あまり多すぎるのも困りものです。適切な借入れをして、事業が成長しているかどうかを見きわめる必要があります。

 売上や利益のほか、倒産の危険はないか、会社が成長しているかどうかなども、決算書を使って経営分析することでわかってきます。

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 損益計算書は、会社が1年間でどれだけ売上(収益)や利益を得たのか、つまり会社の経営成績が書かれている決算書です。

 

 これを見れば、どれだけ売上(収益)を上げたのか、そして、その売上(収益)を上げるためにどれだけ費用を使ったのか、さらには、売上(収益)と費用の差額である利益はどれくらいあったのかが、わかるようになっています。

 

 ここでまず注目すべきは、売上の額です。会社が1年間のビジネスでどれだけ稼いだのか。それは前期や過去の期と比べて、どれだけ増減したのか。あるいは、同業他社と比べてどうか、など。

 そして、損益計算書で一番大切なのは、利益の額です。儲かっているのか、いないのか。儲かっているのなら、いくら儲かったのか。売上に対する儲けの割合、つまり利益率とともに、前期や過去の期と比べてどう推移しているか、同業他社と比べてどうか、などをチェックします。もしも利益が減っていれば、その原因は売上減によるものか、それとも費用がかかりすぎているためか、なども読み取れます。

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決算書が読めると株式投資に役立つ

 株式投資をする人が、「この会社は投資する価値があるかな」と検討する際にも、決算書は大変役立ちます。決算書に書かれた数字を読み解くことで、例えば前年度と比較して稼いだ額(売上)は増えているが、じつは儲けの額(利益)は大幅に減っている、といったことがわかるからです。

次回、後編では【上場企業の決算情報がわかる2つの書類とは?】を解説します。

出典『2023年版 ここだけ読めば決算書はわかる!』

本記事は、上記出典を再編集したものです。(新星出版社/向山)

 

アイキャッチ画像 Shutterstock

ここだけ読めば決算書はわかる!2023年版
佐々木理恵 著(プロフィールは下記参照)
有名な上場企業の最新の決算書を使って解説。だからこそ、事業の内容と決算書の数字がリンク。数字が現実のものとなり、決算書を読むスキルが身につきます。
本年度は、コロナ渦の厳しい現状を乗りこえようとする企業、アフターコロナを見据えた取り組みをしている好調企業を中心に解説。
具体的には、サンリオ、モスフード、イオンモール、ゲオ、出光興産、凸版印刷、大和ハウス、ヤマト運輸など有名な上場企業です。
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佐々木理恵(ササキマサエ)
税理士。自由が丘産能短期大学・産業能率大学通信教育課程兼任教員。産業能率大学経営学部兼任教員。産業能率大学大学院総合マネジメント研究科税務マネジメントコース兼任教員。日本簿記学会会員。

平成4年以降、中央クーパース・アンド・ライブランド国際税務事務所、エルイーエフコンサルティング等において税務スタッフとして勤務。
平成19 年に佐々木理恵税理士事務所を開業。法人・個人事業主のお客様に向けて、決算書作成、税務申告等の業務サポートを提供。
短大、大学で簿記講師を務め、現在「財務諸表の考え方」をはじめ、「会計学入門」「所得税法の基本」なども担当。

著書に『これから始める人の簿記入門』『これから始める人の経理入門』(いずれも新星出版社)がある。
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