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2020.05.01
細胞博士、鈴川茂先生の
【世界一おもしろい!細胞の授業】

🎥動画でよくわかる! 「骨の細胞ってな~に?」

キャラで楽しく覚えよう!

 みなさん、こんにちは!代々木ゼミナール生物講師の鈴川茂です。 

 私たちの体内で日々、休むことなくがんばっている細胞。僕たちのからだは、約37超2000億個の細胞から構成されています。つまり、この地球上にいる人口(2019年現在77億人)の約5000倍もの数の細胞たちが僕たちのからだをつくり、かつ、つねに僕たちのためにはたらいてくれています。たとえば赤血球は約20兆個もあり、からだの細胞の半分以上を占めていて、血管のなかを新幹線と同じような速度(時速約200㎞で流れ、はたらいてくれています。すごいですよね。

 

 ここでは「骨の細胞」について解説します。楽しいキャラが登場しますので、とっても覚えやすいですよ!ではさっそく始めましょう!!

「骨」とは?

 骨は、出生時には300個ありますが、成長とともにくっついていき、成人で200個ほどになります。それらがつなぎ合わさって、からだを支えているんです。

 

みなさんは「骨」にどんなイメージをお持ちですか?骨はただ僕たちのからだを静か~に支えているだけではないんです!

 骨は、からだを支える以外にも、臓器を守ったり、カルシウムを蓄えたり、血液をつくったり、いろいろなはたらきをしているんですよ。

骨建築の3大巨匠!

 じつは、骨の細胞の中でも私たちが知らないところで内なる炎をメラメラと燃やしている「骨の細胞」たちがいるんです!その中でも重要な役割を担っている細胞たちが3つあります。

 まずは、骨をつくる骨芽細胞。破骨細胞が壊した骨を再生する役割を持つ、骨のもととなる存在です。

 

 次に、古くなった骨を溶かして壊す破骨細胞。古くなった骨を酸や酸素を使って溶かし、一時的に壊します。

 

 最後は、ペタペタとペンキを塗るように軟骨をつくる軟骨細胞。コラーゲンやプロテオグリカンなどのタンパク質を分泌し、骨を守る軟骨をつくるはたらきをします。この重要な3つの細胞たちを、ここでは「骨建築の3大巨匠」と呼ぶことにします。

骨をつくる「骨大工」!【骨芽細胞】

 ケガをして損傷したり、破骨細胞が壊したりした骨を、新たにつくりなおす「骨大工」としての役割を担うのが、骨芽(こつが)細胞です。

 骨芽細胞は、骨が壊れた部分に骨のもととなるコラーゲンを分泌します。これは建物でいえば柱に当たるもの。次に、その場所にアパタイトという糊(のり)のような物質を塗りつけていきます。すると、その部分に血液にのって運ばれてきたカルシウムがくっついて、新しい骨ができていきます。頑丈なからだをつくるためには、牛乳や小魚などカルシウムを多く含む食べ物をたくさんとらなくちゃいけない、といわれるのは、骨づくりがこのように行われているからなんですよ。

 骨芽細胞の一部は、懸命に骨づくりをしながら、自分がつくっている骨に埋もれていきます。やがて骨の一部になり、骨の維持などメンテナンスを行います。

骨をつくるはたらきをする。破骨細胞が壊した骨を再生する役割を持つ、骨のもとになる存在.
溶かして壊す「解体屋さん」!【破骨細胞】

 頑丈なからだを保つためには、古くてもろくなった骨は、一度壊して新しくつくりなおさなければなりません。骨を壊す仕事をするのが、破骨細胞です。

 ただし、壊すといっても叩いたり、かじったりして壊すわけではありません。破骨細胞は、酸や特殊な酵素を使って骨を溶かしていきます。

 成人男性の場合、1年で全体の5~10%に当たる骨が溶かされているとされています。溶かされた骨は血液に入り、新しい骨の材料になったり、からだが必要とするカルシウム源にします。きちんとリサイクルされているんですね!

古くなった骨を酸や酵素を使って溶かし、一時的に壊す。壊した骨は骨芽細胞がつくりなおす。
骨を守る「塗装屋さん」!【軟骨細胞】

 骨の端の部分を覆い、骨を守る緩衝材の役目を果たしている軟骨。ペタペタとペンキを塗るようにその軟骨をつくる「塗装屋さん」として重要なはたらきを担うのが、軟骨細胞です。

 

 軟骨の約80%は水分。それ以外の約20%の部分は軟骨基質と呼ばれ、コラーゲンやプロテオグリカンといったタンパク質でできています。軟骨細胞はこれらのタンパク質を分泌することによって、軟骨づくりを担っているんです。それ以外にも、ときどき軟骨にタンパク質を与え続けて、軟骨を維持しています。

 

コラーゲンやプロテオグリカンなどのタンパク質を分泌し、骨を守る軟骨をつくるはたらきをする
ここでクイズです!

 ここまで説明してきた、骨建築の「3大巨匠」ですが、これらによって僕たちのからだのすべての骨は、およそどのくらいの期間でつくり替えられているのでしょうか?

🎯正解は…!

 正解は「約3年」です。
想像よりも短かったですか?それとも長かったでしょうか?ちなみに、からだにあるすべての細胞がつくり替えられるのは「約6年」です。

 ということは、例えば、6年ぶりに再会した人に対して僕たちは「久しぶり!」と言ってしまいますが、本当は「はじめまして!」の方がいいのかもしれませんね。

👉もっと知りたい方はこちら

 

細胞たちは、休む間もなく、がんばってくれているんですね!細胞のはたらきを知って、自分のことをもっと知りましょう!

 

細胞図鑑
鈴川茂(細胞博士)監修 /りゃんよ イラスト (プロフィールは下記参照)
細胞の世界はおもしろい!!赤血球から精子・卵子、話題のiPS細胞まで。私たちのカラダをつくる37兆個を超える細胞の世界を、かわいいキャラクターとマンガで世界一わかりやすく紹介します。
○約1メートルの長さにもなる細胞「ニューロン」
○酸素を運び血液の赤色のもとになる「赤血球」
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鈴川茂

代々木ゼミナール生物講師。TVアニメ「はたらく細胞」の細胞博士「YouTubeにて、「細菌」に関する動画を好評配信中!)」。北里大学理学部生物学科科卒業。大学在学中は「古細菌」の研究に専念。現在は、東大や京大などの難関大から共通テスト(センター試験)まで幅広い入試研究をしながら、「生物学のおもしろさを多くの人に知ってもらいたい!」という思いで、全国で講義活動を行っている。”生物学に興味をもってくれる人が増えれば世の中はもっと良くなる”と信じて、今日も教壇に立っている。(書籍刊行時)

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りゃんよ
イラストレーター。広告まんが。ライブグラフィックレコーダー。京都造形芸術大学講師。 (書籍刊行時)
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