2020.09.17

パワハラ上司にならないために。
パワハラ危険度診断をやってみよう!

 「パワハラ」という言葉を耳にするようになって久しい今日。毎年のようにニュースとして大きく取り上げられる機会も増えており、最近では、会社の不祥事だけでなく、スポーツ界や教育界などでも事件が相次いでいます。
 2020年6月、企業に防止措置を義務づけるいわゆるパワハラ防止法が施行され、ハラスメントは無視できない身近な問題になってきています。

 厚生労働省発表の、平成30年度「個別労働紛争解決制度」に基づく「民事上の個別労働紛争」の相談件数を見ると、「いじめ・嫌がらせ」が全体の約1/4(25.6%)を占めていますから、いかにパワハラが社会問題になっているかがわかりますね。

 

 パワハラは、「パワハラをしよう」と思ってやってしまうものではなく、「以前は見過ごされていた」「このくらいならOKだろう」と、自覚なくハラスメントに発展してしまうものもあります。

 そこで、今回は『マンガまるわかり ハラスメント』より、パワハラ加害者にならないための、危険度判定リストをご紹介します。

パワハラ加害者危険度判定リスト

以下の①~⑩の10項目を読んで、自分に当てはまると思ったものをメモしていってください。

 

①部下の中に「無能だ」「気に入らない」「めざわりだ」と思う者がいる。

②部下は厳しく叱ったり、指導したほうが成長するし、本人のためになると思っている。

③部下によって態度を変えることがある。嫌いな部下を無視することがある。

④部下に対して思わず「バカ、アホ」「役立たず」「のろま」「辞めちまえ」などといったことがある。

⑤部下を人前で長時間にわたり、大声まじりで叱ったことがある。

⑥仕事のためなら連日連夜、残業させたり、たびたび休日出勤させても仕方ないと思っている。

⑦不満やストレスから、時折感情を抑えきれずに人やモノにあたることがある。

⑧自分のミスや過ちを素直に認めにくい。自分のミスを部下に責任転嫁したことがある。

⑨恋人や家族のことなど、部下のプライバシーに立ち入った話をすることが多い。

⑩部下に業務以外の私用を命じることがたびたびある。

「パワハラ体質」改善のススメ

 先ほどのリストの項目に当てはまる数が多いほど、あなたのパワハラ加害者になる危険度は高いといえます。

 ひとつでも当てはまった方は、その項目の改善法を確認して意識的にパワハラを防止しましょう!

①の項目(部下の中に「無能だ」「気に入らない」「めざわりだ」と思う者がいる)に当てはまった人

 

 部下を下に見る気持ちが強すぎないでしょうか?もっと部下の話に耳を傾け、積極的に意思疎通をはかりましょう。自分の評価だけで部下を決めつけないようにしましょう。

②の項目(部下は厳しく叱ったり、指導したほうが成長するし、本人のためになると思っている)に当てはまった人

 

 「自分も若い頃は、上の者から厳しく指導された」という経験から、部下の成長をうながすために叱咤激励の気持ちをもって、自分が壁となり、厳しい態度で部下にあたるという上司もいます。その考え方が間違っているとはいいませんが、昔といまとでは状況が違います。自分は愛情をもって接しているつもりでも、部下の側はそれをパワハラと受け取りかねません。また、部下によっては、厳しく接するとすぐにへこたれてしまう者もいれば、プレッシャーを与えられても発奮して乗り越えようとする者もいます。そうした部下の性格などをよく把握し、注意の与え方や指導の仕方を工夫することが求められます。

③の項目(部下によって態度を変えることがある。嫌いな部下を無視することがある)に当てはまった人

 

 上司が部下の好き嫌いをハッキリと態度に出す職場では、部下はつねに上司の顔色をうかがい、ビクビクしながら仕事をするようになります。上司のえり好みの激しさは、気に入らない部下へのパワハラ行為につながる、危険な「芽」といえます。

 もちろん、部下の性格ごとに指導の仕方を変えるのは、パワハラ行為につながりません。言動を変えるときの主体が「自分にある」のか、「部下にある」のかを考えて、部下の成長につながる言動にしましょう。

④の項目(部下に対して思わず「バカ、アホ」「役立たず」「のろま」「辞めちまえ」などといったことがある)に当てはまった人

 

 相手の人格を否定したり、尊厳を損なうような発言は、それが「思わず」「ポロリと」出たものでも許されません。部下にとって前向きな気持ちにならない発言はつつしむべきです。

⑤の項目(部下を人前で長時間にわたり、大声まじりで叱ったことがある)に当てはまった人

 

 こうした行為に及ぶのは、つい熱が入ってしまった場合のほか、厳しく接したほうが部下のためになるという考え方が根底にあることも多いようです。ただ、部下も千差万別です。誰に対してもそうしたやり方が通じるわけではありません。

 人前での長時間にわたる叱責、怒鳴り声とともに与えられる注意は、パワハラと受け取られても仕方ないかもしれません。

⑥の項目(仕事のためなら連日連夜、残業させたり、たびたび休日出勤させても仕方ないと思っている)に当てはまった人

 

 深夜や休日に、電話やメールで緊急性・重要性の低い内容をひんぱんに連絡するなども、パワハラのグレーゾーンにあたる行為と考えられるので注意が必要です。ただ、仕事をやり遂げるには残業や休日出勤が必要なケースも当然出てきます。それ自体が悪いというのではなく、例えば上司が「オレが残業するのだからオマエたちも残れ」と強要するのはいけません。

 また、オーバーワークが日常的になっている職場や、仕事の成果だけに目を向けている職場は、パワハラを発生させる温床になりがちです。

⑦の項目(不満やストレスから、時折感情を抑えきれずに人やモノにあたることがある)に当てはまった人

 

 何か気に入らないことがあると、すぐに感情をオモテに出してしまう人、短気で怒りっぽい性格の人、感情をセルフコントロールできない人は、パワハラ加害者になる可能性が高いと考えられます。

⑧の項目(自分のミスや過ちを素直に認めにくい。自分のミスを部下に責任転嫁したことがある)に当てはまった人

 

 日頃「自分は仕事ができる」とプライドが高い人に限って、いざミスをしたときにそれを素直に認めて反省しにくいものです。自分の過ちを部下に押しつけて「オマエが始末書を書いとけ」などというのは言語道断です。

⑨の項目(恋人や家族のことなど、部下のプライバシーに立ち入った話をすることが多い)に当てはまった人

 

 勝手にカバンや机を開けて中をのぞく、有休を申請した理由をいちいち問いただす、個人が信仰する宗教を聞き出し、職場に広めて、けなす──いずれも「個の侵害」を問われかねない行為です。いくらコミュニケーションが大切だといっても、必要以上に部下のプライバシーに立ち入ることは、上司に許される職務とはいえません。

 家族や恋人のことなど、プライベートを知ることは、よい人間関係につながる可能性があります。しかし、尋ねても答えにつまるような人に何度も繰り返し聞くことは、ハラスメントになりかねません。

⑩の項目(部下に業務以外の私用を命じることがたびたびある)に当てはまった人

 

 毎日のようにタバコや弁当を買いに行かせるとか、休みの日にたびたび自分の趣味に無理やりつきあわせるなど、本来の業務とは関係ないことでも、部下としては上司の言葉に「ノー」というのはためらわれるものです。仕事上の人間関係の優位性をプライベートに持ち込み、強要するのはいかがなものでしょうか。

「何ごとも、部下が上司の命令を聞くのは当たり前」というのは、ハラスメントにつながりかねない危険な考え方です。

 

 あなた自身の中にあるパワハラの「芽」に、気づくことができたでしょうか?その「芽」と向かい合うことができれば、パワハラ行為者になることを回避するのは、さほどむずかしいことではありません。あとは、上司であるあなたの、ちょっとした心がけ次第です。

 

※本記事は、下記出典をもとに一部加筆し、再編集したものです。(新星出版社/大森)

マンガまるわかり ハラスメント
野原蓉子監修(プロフィールは下記参照)
毎年のようにニュースとして大きく取り上げられる機会も増えている「ハラスメント問題」。最近では、会社の不祥事だけでなく、スポーツ界や教育界などでも事件が相次いでいます。
 2020年6月には、企業に防止措置を義務づけるいわゆるパワハラ防止法が施行され、ハラスメントは、無視できない身近な問題になってきています。
 ハラスメントは、誰もが加害者(行為者)となり、被害者となる可能性があります。そのため、新入社員も役職者も、すべてのビジネスパーソンが正しい知識を共有し、ハラスメントのない快適な職場づくりを実現するための努力が不可欠です。

 本書はハラスメント問題の入門書として、「何がハラスメントにあたるのか」、「自分が加害者(行為者)にならないためにはどうすべきか」、「イジメや嫌がらせを受けたらどうしたらいいか」、「ハラスメントゼロの職場にするため、会社が、社員が、何をするべきか」を、マンガとともに解説しています。
 たとえば、パワハラでは、暴力を振るう、罵倒するのような、わかりきったハラスメントだけでなく、微妙なラインの事柄にも触れています。
 同僚や部下の立場でもパワハラの加害者(行為者)になることもあり、そちらも詳しく解説しています。
 その他、セクハラ、マタハラ、ケアハラなど、さまざまなハラスメントの基本的な知識がひと通りわかります。
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野原蓉子(ノハラヨウコ)
㈱日本産業カウンセリングセンター 代表取締役理事長。
日本産業精神保健学会代議員。
臨床心理士。

埼玉大学教育学部卒業。教職を経て、1976年に日本産業カウンセリングセンターを設立。金融機関、メーカーなど数多くの企業で3万人以上の予防的カウンセリングを行ってきたほか、ハラスメントの相談を数多く受ける。労働省(現厚生労働省)セクシュアル・ハラスメント調査研究会委員の役職を歴任。官公庁、企業の外部相談窓口カウンセリング、講演・研修講師を続けている。『パワハラ・セクハラ・マタハラ相談はこうして話を聴くーーこじらせない!職場ハラスメントの対処法』『こうして解決する!職場のパワーハラスメントーー指導のつもりがなぜ?パワハラと言われるのか』(いずれも経団連出版)をはじめ、著書・論文多数。
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