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2023.06.08

仕事が遅く、要領が悪いのはなぜ? 
テキパキこなす人が実践している、誰にでもできるテクニック

 「日々のタスクに追われ、いつも頭の中がごちゃごちゃ…」

 「一生懸命やっているのに、仕事が全然終わらない!」

 「指示通りに進めたのに、ダメ出しされる」

 こんな悩みを抱えている人は多いのではないでしょうか。

 仕事をテキパキとこなす人とそうでない人との違いは、頭の良し悪しではなく、あるテクニックの差にあります。そのテクニックとはなにか?

 長年コンサルティング業に携わり、『超・整理術』(三笠書房)『“はかどる”人の整理思考』(新星出版社)などを刊行する著者、吉澤準特さんが解説します。

なぜあの人は仕事ができて、私はできないのか?

 「あの人はどうして仕事をテキパキこなせるんだろう」

 社会人になって最初の数年、そんな思いを抱えていました。コンサルタントという仕事は、日々多くの作業に取り組まなければいけません。しかし、並行作業が増えすぎて、やらなければいけないことを見落としてしまったり、手戻りで締め切りに間に合わなくなったりと、自分の仕事のできなさに悩んでいました。

 

 一方で、私以上に作業を抱えている先輩社員は、どんどん発生する新しい作業をテキパキとスムーズに処理しています。最初は「私とは地頭が違って才能があるんだろうな」と思い込んでいたのですが、同じチームで仕事をしているうちに、あることに気づいたのです。

 

 それは「整理する力」の違いです。先輩社員を含め、テキパキと物事に取り組んでいる人たちは、あるテクニックを実践していました。これは属人的なものではなく、やり方さえ知っていれば誰でもできる再現性のあるものです。

 

 そのテクニックのなかでまず紹介したいのが、“整理思考”の方程式。これを身につければ、タスクや問題を整理しないまま抱え込み、思考がまとまらないから仕事がうまくいかない……そんな悪循環から脱して、誰でも“デキる人”になれるのです。

タスクやスケジュールがスッキリ片付く、整理思考の方程式とは?

 例えば、総務部のYさんのもとには、さまざまな依頼や問い合わせが集まります。

 

 Yさんのような仕事はコミュニケーションをとる相手の数が多いため、それに応じてタスクが積み重なっていき、「何から手をつけていいかわからない」状態に陥ります。

 

 そのため仕事が捗りません。その原因は関係者とのコミュニケーションから発生するさまざまなタスクを、ボリュームの大小を区別せずに同列に考えてしまっているためです

 

 特に多くの社員と関わる総務部や人事部、プロジェクトをいくつも掛け持ちしている企画部などで発生しがちな問題です。

 

 このように仕事があふれて、どうすればいいのかわからない場合に有効なのが、「GTD(Getting Things Done」と呼ばれるタスクやプロジェクトを整理して管理するメソッドです。これは、抱えている仕事を優先順位の高い順に6つのリストに分類するというもの。次の3つのステップに沿って行います。

【STEP1】やるべきことをすべて書き出す

 頭の中でごちゃごちゃになっているタスクを、まず箇条書きにして、見える化します。

【STEP2】書き出した項目を整理する

 見える化したタスクは、①発生日、②タスク名、③概要、④期日、を書き出して整理します。

【STEP3】整理したタスクを6項目に分類する

 図1の項目に当てはまるかをチェックし、タスクを6つに分類します。

[図1]上から順番に「条件に当てはまるか?」を確認していき、タスクを分類する

 では、総務部のYさんを例にタスクを整理してみましょう。

 

 最初に、今抱えているすべてのタスクをメモなどに書き出すところから始めます。頭の中がごちゃごちゃしたまま仕事に取りかからないことが、整理思考の基本です。

 

 そして図2のようにタスクを整理し、「すぐやるリスト」と「お願いリスト」のタスクを片付けてしまいましょう。

 

 次に「プロジェクトリスト」に分類した、複数のタスクで構成されていて手間のかかる仕事を、1つずつのタスクレベルに分割・整理していきます。

[図2]YさんのタスクをGTDで分類。自然と優先順位づけができ、やるべきことが明確になった

 このように、タスクの親子関係をきちんと把握して、プロジェクトレベルのタスクも分解・整理できるようになれば、「何から手をつけていいかわからない」状況を解決できます。

タスク管理のポイントは、「優先順位の見える化」

 GTDのルールによるタスク分類に慣れてきたら、新しく発生したタスクがどのリストに当てはまるのか、瞬時に判断できるようになるでしょう。そして、わざわざ管理のための時間を設けなくても、タスクをキープできるようになれば理想的です。

 

 常に自分の抱えているタスクを整理・把握しておけば、「無理な仕事を引き受けてしまう」「急な仕事が入ったときにあわててしまう」といったお悩みの解決にも役立ちます。

 

 タスク管理のコツとしておすすめなのが、「すぐやるリスト」は赤、「お願いリスト」は黄色といったように、優先順位を視覚化するために色を使うこと。そして、PCのデスクトップなど、常に視界に入る場所にタスクリストを表示しておきます。

 

 すると、いつまでに何をやらないといけないのか、重要なタスクを忘れていないか、といったことを自然と意識できるように。また、今やっている仕事にどれくらい時間をかけてもいいのか、判断するためのヒントとしても役立つでしょう。

優先順位の視覚化には、色を使うことが効果的

 一方で注意したいのが、すべてのタスクを見える化しようとしないこと。すべてをまんべんなく見える化しようとするあまり、タスクの整理・管理自体に疲れて、途中で挫折してしまう人は少なくありません。

 

 きれいに整理することにこだわりすぎて、タスクに取り組む時間が減ってしまっては本末転倒です。タスクの見える化は「手段」にすぎず、タスクを取り組みやすくすることが「目的」。手段が目的にならないように注意しましょう。

出典 『“はかどる人”の整理思考』

 

本記事は、上記出典を再編集したものです。

アイキャッチ・イメージ画像 Shutterstock

"はかどる人"の整理思考
仕事がスッキリ片づく4つのルール
吉澤準特 著
「タスクに追われ、いつも頭の中がごちゃごちゃ…」
「一生懸命やっているのに、仕事が全然終わらない!」
「指示通りに進めたのに、ダメ出しされる」

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吉澤準特(ヨシザワジュントク)
コンサルティングファーム勤務。専門領域における日本支社の実務責任者を務める。IT部門に対するコンサルティングを手がけ、ロジカルシンキング/図解作成/文章術/仕事術/ファシリテーション/コーチングにも造詣が深い。著書:『超・整理術』(三笠書房)、『図解作成の基本』(すばる舎)、『資料作成の基本』『フレームワーク使いこなしブック』(日本能率協会マネジメントセンター)、『外資系コンサルのビジネス文書作成術』(東洋経済新報社)、『外資系コンサルの仕事を片づける技術』(ダイヤモンド社)など多数。
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