コンサルティングファーム勤務。専門領域における日本支社の実務責任者を務める。IT部門に対するコンサルティングを手がけ、ロジカルシンキング/図解作成/文章術/仕事術/ファシリテーション/コーチングにも造詣が深い。著書:『超·整理術』(三笠書房)、『図解作成の基本』(すばる舎)、『資料作成の基本j『フレームワーク使いこなしブック」(日本能率協会マネジメントセンター)、「外資系コンサルのビジネス文書作成術』(東洋経済新報社)、『外資系コンサルの仕事を片づける技術』(ダイヤモンド社)など多数。
仕事をするうえで、「効率」は欠かせません。どうやって取り組めば、より前向きに、効率よくこなしていくことができるのでしょうか? 今回は、そんなお悩みを解決する本、『はかどる人の整理思考』から、「心がラクになる整理思考Q&A」をいくつかご紹介します。あなたが当てはまるお悩みはどのくらいありますか?
そもそも「やる気」というものをあてにしてはいけません。行動した結果、次の作業に取り組みやすい心理的状況になるだけです。
したがって、やる気を出そうとするのではなく、まず仕事の中から取り組みやすいタスクを切り出して手を動かす、という方法が有効です。私は情報を見える化する作業が好きなので、まずはそこから取り組むようにしています。
好きなタスクや得意なタスクから手につけるようにすると気分が乗ってきますし、「仕事が進んだ」という実感も得られます。
そうやって1つずつタスクを片付けていけば、仕事をやりきることができるでしょう。
そもそもやる気が出ないのは、仕事に対してワクワクしない、ポジティブな感情が持てないという状態だから。
「タスクを4つ片付けたらコーヒー休憩をする」といった、自分にとってのご褒美を用意したり、苦手なタスクと得意なタスクをセットにしたりするなど、仕事に対して前向きな気持ちになれるような工夫をしてみることも大事です。
この悩みを解決する一番の近道は、自分と同僚を比べないことです。しかし、それが難しいから多くの人が「あの人はできているのに自分は…」「自分はどうして他の人より仕事ができないんだ」と悩んでいるのだと思います。
どうしても自分と誰かを比べてしまう人には、「1つでも、自分のほうが得意なことや、自分だけがやっていることを見つける」という方法がおすすめです。すべてのスキルにおいて相手が自分を上回っていることは、どんなに優秀な人でもそう多くはありません。
そして、優れたライバルよりも得意なことは、“自分の強み”として機能するでしょう。他者と自分を比較することで、得られるメリットもあるのです。
消極的な方法ではありますが、自分よりもひどい失敗事例を探して、「ここまで自分は大きな失敗をしていない。まだ捨てたものはないぞ」と自己肯定感を持つのも一手です。
そして、少しでも気持ちを前向きに持てたら、スキルアップを目指したり、できる仕事の幅を広げようとしたりと、自信につながるアクションを起こしてみてください。
仕事中についネットサーフィンをしてしまったり、関係ないことを考えてボーっとしてしまったり……。集中力が続かなくて悩んでいる人は多いようです。
何か1つのことに集中できる時間は個人差があり、また取り組む対象によっても異なります。たとえば、好きなゲームには何時間でも集中できるという人でも、仕事や勉強に同じくらい集中できるケースは稀です。
つまり、集中力というものは、モチベーションによって大きく左右されるもの。高いモチベーションを持てないことに、何時間も取り組むのはあまり効率的ではありません。
苦手な作業や興味が持てないタスクに取り組む際には、自分がそれらの作業にどのくらいの時間なら集中できるか把握することから始めましょう。
「30分くらいなら集中できる」とわかったなら、タスクを30分単位に分割し、間に休憩や別の作業をはさみながら進めていく方法がおすすめです。
苦手な作業に丸1日取り組むとなると、気が進みません。しかし、1日1~2時間ずつを繰り返して1週間で終わらせる、という計画なら「とりあえず1時間、頑張ってみよう」と思えるはずです。
先輩や上司からのアドバイスを素直に受け止められないのは、「自分自身に対する否定」と捉えてしまうため。
ネガティブな内容でも、「人格否定」ではなく、「失敗という結果に対する評価」と捉えて、感情と切り離した状態で受け止めるようにしましょう。そのうえで、次に同じ失敗をしないための方法を知ることができた、と考えればアドバイスをポジティブに受け止められるはずです。
それでも嫌な気持ちになる場合は、一歩引いて相手の発言を受け止めるように意識します。ちょっと極端ですが、相手のことを“じゃがいも”だと思って、「じゃがいもがしゃべっているなぁ」くらいに俯瞰した視点からアドバイスを受け取ってみると、感情を波立たせずに済むはずです。
また、落ち込んでしまうのは仕方ないという前提で、下がった自己肯定感を上げる手段を用意するという考え方も。毎日100円ずつでもお金を貯めておいて、怒られたらその貯金を使って自分へのご褒美を買う、など。そうすれば、「お金がたまってきたから、そろそろ怒られてもいいかも」と、気がラクになります。
相手からのフィードバックが怖くなるのは、ネガティブなプレッシャーを受けるのではないかと心配になるからです。特に、自分の仕事に自信が持てない人ほど、相手の発言を自分に対してのマイナス評価として捉えてしまいがちです。
しかし、フィードバックは人格攻撃ではなく、自分が伝えた情報に対するコメントにすぎません。自分の行動を肯定的に捉えて、相手とのコミュニケーションも正当なものであると考えるようにしましょう。
また、「このくらいのことで相手の時間を奪ってしまって申し訳ない」「つまらない質問だと思われそう」など、フィードバックをもらうこと自体に負い目を感じているケースも。
しかし、フィードバックをもらう回数や相手が適切であれば、負い目を感じる必要はありません。どうしても不安な場合は、相談したい内容を事前にテキスト化して、なるべくスムーズに事を進められるように準備しておきましょう。
優秀な先輩や上司のことは、つい高い存在として捉えがちですが、過剰に恐れたり、自分を卑下したりする必要はありません。
仕事をする上で「効率」はとても大事なことです。“はかどる人”になるために必要なのはズバリ整理する力。『はかどる人の整理思考』で紹介する整理の方法は、シンプルな4つの方法。これを頭に入れれば、いちいち悩まず、仕事をうまく進められるようになりますよ。具体的な方法を読んで、ぜひ実践してみてくださいね。
出典『“はかどる人”の整理思考』
イラスト ミヤザキコウヘイ
本記事は、上記出典を再編集したものです。(新星出版社/向山)
写真画像 Shutterstock
仕事がスッキリ片づく4つのルール
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