2022.01.10

あとから怒りがわいてくる!そんなときに役立つ心のトレーニング方法 その3 【記憶をポジティブに上書きする】

その3 記憶をポジティブに上書きする

📒実際とは異なる「虚偽記憶」に気をつけて

 

 ◆虚偽記憶=自分の思い込みで記憶をつくりあげてしまうこと

 

 人間の記憶は、じつはあてにならないものです。実際には起こっていない出来事でも、ときに非常に強い確信をもって記憶を塗り替えてしまうことがあります。これを「 虚偽記憶 」といいます。とても怖いことですが 、怒りなどの強い感情がある場合、虚偽記憶を抱くこともあります 。

 たとえば、「あのとき、あの人に、あんなことを言われた 」と思い出して怒り が込み上げているとき、実際には言われていないことまで 「 こんなことも言われた! 」と思い込んだり 、自分で勝手に悪い方向に記憶を上書きしてしまったりするのです 。相手への嫌悪感が募っている分だけ、過大解釈や被害者意識を持って思い返している場合がありますので、注意しましょう。

ネガティブな記憶にポジティブな上書きをしてみましょう

 虚偽記憶の場合、起こった出来事にネガティブな思い込みの解釈を上乗せしてしまうわけですが、もし本当に記憶の上書き保存ができるなら、逆もできるということ。せっかくなら、ポジティブな解釈を上乗せしてみましょう。

 

【例】

ネガティブな解釈

「あんな言い方しなくても……もう少し他人の気持ちを考えてほしい!」

ポジティブな解釈

「よくよく考えて思い返してみると、相手にそこまで悪意はなかったかもしれない」

「自分の思い込みも入っていたのかもしれない」

「そもそもここまで怒りを覚えるほどのことではなかったかもしれない」

 

◆新しい見方で記憶を上書きしてみましょう。記憶は本当にあてにならないもの。「そんな曖昧な記憶で根に持つなんて、無意味だな」と気づけたら、怒りを手放しやすくなるはずです。

あとから怒りがわいてくる人のための処方箋
戸田 久実 著(プロフィールは下記参照)
「あの場では笑ってすませたけど、今になってだんだん腹が立ってきた」
そんな、思い出し笑にならぬ“思い出し怒り”に心を煩わされた経験のある人は多いのではないでしょうか。「次に会ったときにわざわざあらためて相手に抗議するのもおとなげない気がするし、そもそも自分が根に持ちすぎなんじゃないだろうか…」などと、思い出し怒りはなかなか気持ちの持って行き場がなく、頭の中でぐるぐると考えてしまう分、長期間にわたって引きずりがちなもの。
そんなやっかいなあとからわく怒りの感情をうまくコントロールし、心をスーッと楽にするための具体的な方法を1冊にまとめて紹介します。
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戸田久実(トダクミ)
アドット・コミュニケーション株式会社代表取締役。
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会理事。
立教大学卒業後、大手企業勤務を経て研修講師に。銀行・生保・製薬・通信・総合商社などの大手民間企業や官公庁で「伝わるコミュニケーション」をテーマに研修や講演を実施。対象は新入社員から管理職、役員まで幅広い。
研修講師歴29年。「アンガーマネジメント」や「アサーティブコミュニケーション」「アドラー心理学」をベースとした「言葉がけ」に特化するコミュニケーション指導に定評があり、これまでのべ指導数は22万人に及ぶ。
主な著書に『アンガーマネジメント』『怒りの扱い方大全』(以上 日本経済新聞出版)『アンガーマネジメント 怒らない伝え方』(かんき出版)『働く女の品格』(毎日新聞出版)など多数。
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