アドット・コミュニケーション株式会社代表取締役。
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会理事。
立教大学卒業後、大手企業勤務を経て研修講師に。銀行・生保・製薬・通信・総合商社などの大手民間企業や官公庁で「伝わるコミュニケーション」をテーマに研修や講演を実施。対象は新入社員から管理職、役員まで幅広い。
研修講師歴29年。「アンガーマネジメント」や「アサーティブコミュニケーション」「アドラー心理学」をベースとした「言葉がけ」に特化するコミュニケーション指導に定評があり、これまでのべ指導数は22万人に及ぶ。
皆様こんにちは。日本アンガーマネジメント協会理事の戸田久実です。あなたは、「怒り」という感情についてどう考えますか?
怒りという感情は、私たちにとっ て自然な感情です。なくすことはできません。ただ、「喜怒哀楽 」の中でも、とくにエネルギーが強い感情であるために振り回されてしまうという人も多いのではないでしょ うか。長引くしつこい怒りについては、 とても悩ましく思ってしまいますよね。
「 あのとき、 なぜ怒っ ておかなかったのだろう」と長い間悶々とする。「 なぜあんなことをされたんだろう」と思い返しては腹が立つ。「 こんなにいつまでも怒っ ている私がおかしいのだろうか?」とたびたび自分を責める気持ちがわき起こっ てきてしんどい。
アンガーマネジメントやコミュニケーションをテーマに研修・講演に登壇すると、そんな悩みを相談されることが多くあります。
「 思い出し怒り」という言葉があります。過去に感じた怒りをふと思い出すと、ずいぶん前のことでも、まるでついさっきのことのように怒りが再燃して膨れ上がってしまう、というものです 。
この「 思い出し怒り」は、繰り返すたびに、とてもつらい気持ちになってしまいます 。そういったしつこい怒りに対してどう対処したらいいのでしょうか。
アンガーマネジメントとは 、「 怒ってはいけない」ということでも 、怒らない人になることを目指すということでもありません。アンガーマネジメントは 、怒りとうまくつきあうための心理トレーニングです。今回は、『あとから怒りがわいてくる人のための処方箋』から、イラッとした眼間の対処法だけではなく 、「 思い出し怒り」のようなしつこい怒りにはどう向きあえばいいのか、そのトレーニング法をお伝えします。しつこい怒りへの扱い方のヒントにしていただければ幸いです 。
📒怒りを感じたことを書き出して状況を客観的に見る
◆長年の怒りにケリをつけるための方法
ストレスログとは 、不毛な怒りに振り回されることなく、適切な行動を選択できるようにするための方法です 。世の中には自分の力ではどうにもならないことが数多くあります 。
それに対して「どうしてこうなるの? 」「どうにかならないの? 」と怒りを募らせてもどうにもなりません 。かえって自分の怒りが増幅し、ストレスがたまる結果となる場合も……。
アンガーマネジメントは 、怒りから解放される魔法のメソッドではありません。怒りと上手につきあうための心理トレーニングです 。不毛な怒りを引き起こさない 、怒りに振り回されないようになることが目的です 。
怒りを感じた際に記録する「 ストレスログ」で 、怒りを感じている状況を客観的に見る訓練をしていきましょう 。
では、実際に ストレスログを書いてみましょう。怒りを感じていることに対して 、頭の中で思い浮かべるだけではなく、紙に書き出すことで、より整理しやすくなります。
その怒りやストレスについて 、次の 2つに焦点を絞って考えてみます。
「自分がコントロールできることか、そうでないか 」
「自分の人生において重要なことか そうでないか」
この2つのポイントを軸に、4つのマスのいずれかに振り分けます。たとえ同じ出来事や悩みでも 、人によって価値観が異なるため 、振り分けるマスの場所も違うかもしれません。「 自分はどうだろう?」という視点で考えながら、整理してみましょう。
怒りに振り回されないようになるためには 、客観視する力や 、分析する力が必要です 。慣れてくると、怒りに対峙した瞬間にどう対処すればいいのかを5分くらいで整理できる人もいます 。
客観的に分析できるようになると 、「よく考えて行動することで未来は変えられる」とわかり 、自分が取り組む べき ことが明確になります 。「 私が何をしても 、これはコントロールできないものだ」と飲み込むことができれば 、過剰にイライラすることも減っていくはずです 。
とくに女性は自分の感情を大切にする傾向にあり、男性よりも感情の記憶量が多いといわれています 。そのため 、「なんか嫌」「なんかムカつく」というネガティブな感情に振り回されやすいのです 。こうなると 、どう行動すればいいのか 、適切な判断ができなくなってしまいがちです。
まずは「ストレスログ」を習慣化し、怒りへの対処の仕方を身につけていきましょう。怒りに対して適切な行動の選択ができるようになると、過剰なイライラや消化不良のモヤモヤとした感情にわずらわされることが減っていきますよ。
そんな、思い出し笑にならぬ“思い出し怒り”に心を煩わされた経験のある人は多いのではないでしょうか。「次に会ったときにわざわざあらためて相手に抗議するのもおとなげない気がするし、そもそも自分が根に持ちすぎなんじゃないだろうか…」などと、思い出し怒りはなかなか気持ちの持って行き場がなく、頭の中でぐるぐると考えてしまう分、長期間にわたって引きずりがちなもの。
そんなやっかいなあとからわく怒りの感情をうまくコントロールし、心をスーッと楽にするための具体的な方法を1冊にまとめて紹介します。
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会理事。
立教大学卒業後、大手企業勤務を経て研修講師に。銀行・生保・製薬・通信・総合商社などの大手民間企業や官公庁で「伝わるコミュニケーション」をテーマに研修や講演を実施。対象は新入社員から管理職、役員まで幅広い。
研修講師歴29年。「アンガーマネジメント」や「アサーティブコミュニケーション」「アドラー心理学」をベースとした「言葉がけ」に特化するコミュニケーション指導に定評があり、これまでのべ指導数は22万人に及ぶ。
主な著書に『アンガーマネジメント』『怒りの扱い方大全』(以上 日本経済新聞出版)『アンガーマネジメント 怒らない伝え方』(かんき出版)『働く女の品格』(毎日新聞出版)など多数。