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2020.10.15
【古語クイズ!】

Q「謎だらけの彼氏の行動をあきらめた。」
約1000年前にさかのぼって訳すとどんな意味?

岡本梨奈

古文・漢文講師。
リクルート運営「スタディサプリ」古文・漢文担当。大阪府立千里高校→大阪教育大学・教養学科芸術音楽コースピアノ科卒。新卒で予備校講師となり、映像授業も担当。

 現在、私たちが日常的に使っている言葉の中には、奈良時代や平安時代から用いられている言葉がたくさんあります。

 今も昔も共通して使える単語が多い一方、その単語が意外な意味を併せもつのも、古文単語の興味深いところ。

 

 そこで、いまからざっと約1000年前にタイムスリップ! 次の言葉の意味を当ててみてください。

Q 「謎だらけの彼氏の行動をあきらめた。

 

【選択肢】

①落胆した。

②明らかにした。

③断念した。

【言葉のイメージ】

 「あきらむ」は、漢字で書くと「明らむ」。「あきらむ」+「て」=「あきらめて」となりますが、「諦めて」ではなく、「明らめて」=「明らかにして」の意。「あきらむ」は、物事が鮮明になり、キラーンと光るイメージなのです。

 

【解説】

 「あきらむ」の連用形「あきらめ」は、大学入試頻出単語のひとつです。これは、現代語の「諦める」に引っかけさせたいから。しかし、古語の「あきらむ」は、物事は事情を見極めて「明らかにする」という意で用います。ちょうど、物事が鮮明になり、目の前がパーッと明るくなり、キラーン!と光るイメージ。「諦める」「断念する」の意ではありません。

 意味を取り違えないコツは、「あきらむ」を漢字「明らむ」で覚えておくこと。これなら「明らかにする」という意味とダイレクトに結びつきますね。

 ちなみに、「断念する」の意の「あきらむ」が使われ出すのは、近世(江戸時代)以降です。もともと「明らかにする・見極める」の意で使用していましたが、「物事を論理的に考え、見極めた結果、自分には向いていないことが明らかになる」→「諦める」と転じたという説も。

 「あきらむ」には、「気持ちを晴らす」という意味もあります。「あきらむ」の漢字「明らむ」の「明」は、「明るい」の形容詞「あかし」の漢字「明かし」の「明」と同じです(形容詞「あかし」にも、「明らかである」の意があります)。「明らむ」は、「心を明るくする」ということでもあるのです。つまり、「気持ちを晴らす」ですね。

 

【イメージキャラ】

なんでも明らかにしたがる、あきらちゃん。物事を鮮明にして、目の前をキラーン!と明るくするのが特技。

行き詰まったときは、趣味のゲームで気持ちを晴らしている。

 

正解は…🎯

② 謎だらけの彼氏の行動を明らかにした

(断念して好き放題させているわけではなく、執念で何をしているのか解き明かしたという正反対の分脈です)

【次の意味は何でしょう?】

Q1「自分がやりたいことをあきらめ、それについてもっと調べる。」

 

【正解🎯】見極めて

 

📒解説 「自分がやりたいことを見極めて、それについてもっと調べる。」

※現代語の「諦める・断念する」の意で解釈してしまうと、「諦めたのに調べるの?」と意味不明な文脈に。古語の「あきらむ」は「明らむ」です。自分がやりたいことを見極めて、明らかにしようとしているのです。

 

 

Q2 「辛かったが、なんとか頑張って、自力であきらめ。」

 

【正解🎯】気持ちを晴らした

 

📒解説 現代語の感覚で解釈すると、「未練が残らないように、辛いけど自ら頑張って絶った」ととらえがち。しかし、古語だと、「辛い気持ちを明るくした」という意味です。

 いかがでしたか?約1000年の時を経て、同じ言葉でも意味がこれほど違うものもあれば、今も同じように使われているものもあります。楽しみながら覚えてみてくださいね。

※イラスト/上田惣子

※本記事は、下記出典を再編集したものです。(新星出版社/向山)

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古文・漢文講師。
リクルート運営「スタディサプリ」古文・漢文担当/『岡本梨奈の1冊読むだけで古文の読み方&解き方が面白いほど身につく本』『岡本梨奈の古文ポラリス1・2』(KADOKAWA)など。
大阪府立千里高校→大阪教育大学・教養学科芸術音楽コースピアノ科卒。新卒で予備校講師となり、映像授業も担当。
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