健康を維持し、いつまでも若々しい体を手に入れるには、糖質についての正しい知識を持つことが大切です。そこで今回は『決定版 糖質オフの教科書』から、牧田善二先生が教える正しい糖質オフについて解説します。今回のテーマは「血糖値スパイク」。糖質を摂りすぎると起きる血糖値スパイクですが、どのようにして起きるのか、またその状態が続くとどうなるのかを解説します。
食事を摂ると血液にブドウ糖が放出されますが、血液中にブドウ糖がたくさん存在している( 高血糖状態)と 、ブドウ糖によって血管内部が傷つけられます。また、動脈硬化が進み高血圧にもなります 。血糖値を下げる働きのあるインスリンが分泌されるおかげでこうした害が抑えられているのですが、インスリンの量が減ったり分泌が遅れると血糖値は常に高いまま。この状態が「 糖尿病」です。
糖質が多い食べ物を摂りつづけているとブドウ糖の処理 のためにインスリンをたくさん分泌しなくてはいけません。ひっきりなしにインスリンを分泌しているとしだいに膵臓が疲れてインスリンが出せなくなってしまい、血糖値が上 がったままになるのです 。
糖尿病の前段階として注意しなくてはいけないのが「 血糖値スバイク 」です。血糖値スパイクとは、血糖値が急上昇し急降下することで 、次のような過程をたどります 。
食事で大量の糖質を摂取したあとに血糖値が急上昇。血糖値の急上昇にあわてた膵臓が血糖値を下げるために大量のインスリンを分泌し 、それによって今度は血糖値が急激に下がって低血糖状態に。これが血糖値スパイクです 。
血糖値はゆるやかに上がって下がるのが理想で 、健康な人が適度な量の糖質を摂取する分には 、血糖値が急激に上昇することはありません。
血糖値の変動では 、この「ゆるやか 」ということが重要です。血糖値が大きく乱高下すると血管が大きなダメージを受けてしまうからです。
血糖値スパイクをくり返すと血管が傷つけられます 。血管が健康でないと動脈硬化となり 、心筋梗塞や脳卒中につながることもあります。また 、血糖値を下げるインスリンが多い状態も体に悪影響を与えます 。アルツハイマーやがんのリスクを上げる可能性があるからです。血糖値は適正な範囲に収まっていることが大事なのです 。
空腹時の血糖値は99mg/dl以下が望ましいとされていますが、70よりも下がると要注意。「 低血糖 」ゾーンに入ってしまい 、さまざまな症状があらわれます。
血糖値が70mg/dlを切ると、眠気、頭痛、吐き気などのほか、「やる気が出ない」「イライラする」といった状態になります。さらに血糖値が下がって50mg/dlを下まわると、動悸、めまい、ふるえ、血圧の上昇、脈や呼吸が速くなるなど、体調に明らかな異変がみられます。
ついに30mg/dlを切ると、意識がもうろうとしたり、けいれんを起こしてしまうこともあります。
血糖値スパイクを何度もくり返していると、インスリンが適正に分泌されなくなり、過剰に分泌されたときには血糖値を必要以上に下げてしまうようになります。こうした状態を「反応性低血糖」といいます。動悸、息苦しさ、冷や汗のほか、不安や焦燥感、集中力の低下といった症状があらわれるのです。メンタル面の症状が強いと精神科や心療内科を受診し、うつ病や自律神経失調症と誤診されてしまうケースも見受けられます。
血糖値スパイクは 、食後1~2時間の血糖値を測定することで判定できます 。このときの血糖値が140mg/dl以上であれば、血糖値スパイクが起きていることになるのです 。
しかし 、一般家庭で食後の血糖値を測定するのは 、なかなか難しいことでしょう 。実は 、食後だけでなく日常の 、それこそ就寝中も含めた血糖値の変動を、数日に渡って細かく正確に測定する方法もあるのですが、ここでは簡単なチェックテストを紹介します。
最近は体重計の機能が向上し 、体重だけでなく体脂肪率や基礎代謝、体重やBMI、骨格筋率なども自宅で簡単に把握できるようになりました。
また、家庭用の血圧計を愛用している方も多いでしょう。健康にかかわる数値にはさまざまなものがありますが、最も重要なももののひとつが「血糖値」といえます。
血糖値が健康に大きくかかわる数値であっても 、健康と思っている方が 、そんなに頻繁に血糖値を測定することはありません 。血糖値を測定するのは 、せいぜい年に一回の健康診断くらいではないでしょうか 。
しかし 、健康診断は前日の夜から絶食した状態で受けるので 、そこでわかるのは「 空腹時 」の血糖値 。これでは食後に急激に血糖値が上下する「 血糖値スパイク 」に見舞われているかは判断できません 。次のチェックテストで 、血糖値スパイクが起きているか謂べてみましょう 。
次の質問に、いくつあてはまりますか?
□朝食を食べない。
□食事は10分以内で済ます(早食い)。
□炭水化物中心の食事。
□甘いものが好き。
□食事を抜くことがある。または食事時間が不規則。
□食後は体を動かすのがおっくう。
□食後2時間以内に、ぼんやりしたり、強い眠気を感じる。
□ダイエット→リバウンドの経験が2回以上ある。
□睡眠時間が6時間以内。
□寝ても疲れが取れない。
□運動の習慣がない。
😊2個以下…血糖値スパイクのリスクは、限りなく低いでしょう。糖質の摂りすぎに気をつければ十分です。
😞3~6個…血糖値スパイクを起こしていることがあるでしょう。糖質コントロールの正しい知識を身につけ、生活を改善させてください。
😲7個以上…頻繫に血糖値スパイクを起こしています。食事・運動習慣を含め、生活をガラリと変える覚悟が必要です。
診断結果はいかがでしたか? 次回は、「血糖値スパイクを起こさないための糖質の摂り方」を解説します。
出典 『決定版 糖質オフの教科書』
本記事は、上記出典を再編集したものです。(新星出版社/向山)
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