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2022.10.04

知っていますか? 成人の3人に1人が脂肪肝!
【ダイエットも健康も肝臓がすべて。 今すぐ始められる食事改善法とは?】

『ダイエットも健康も肝臓こそすべて』
著者…尾形哲先生

【プロフィール】
佐久市立国保浅間総合病院 外科部長(肝胆膵外科)。同院「スマート外来(脂肪肝専門外来)」担当医。医学博士。1995年 神戸大学医学部医学科卒業。2003年 医学部大学院博士課程終了。
パリ、ソウルの病院で多くの肝移植手術を経験したのち、2009年から日本赤十字社医療センター肝胆膵・移植外科で生体肝移植チーフを務める。
東京女子医科大学消化器病センター勤務を経て、2016年より長野県に移住。
日本外科学会専門医、日本消化器外科学会専門医・指導医、日本肝臓学会専門医。

 沈黙の臓器と言われる肝臓。日々どのような働きをしているか、知っていますか?

 24時間365日、休むことなく常時500種類以上の機能を同時に行う肝臓の中には2500億個の肝細胞があり、肝細胞内で働く酵素は2000種類以上もあります。全臓器中、最大の重量で、1000~1800gもあります。2番目に重い心臓が200~300gなので、かなりの差がありますね。

 肝臓は、消化管から入ってきた大量の異物から身を守る防波堤としての役割や、体内に入った有毒物質を無毒化するフィルターの役割、さらに、体内に入った栄養素を使える形に変換する役割を担っています。

 このように重要な役割をになっている肝臓ですが、じつは日本人成人の3人に1人が「脂肪肝」であるという事実、あなたはご存知でしょうか。

 

 脂肪肝患者の一部は、まったくお酒を飲まないにもかかわらず、脂肪肝炎から肝硬変、肝癌となることが知られており、近年、脂肪肝由来の肝硬変、肝癌でいのちを落とす方の数は増加の一途をたどっています。

自覚症状のほとんどない脂肪肝

 「脂肪肝」が進行しても、苦しい、痛いなどの自覚症状が現れることはほとんどありません。「脂肪肝」は、命に関わる疾患であるにもかかわらず、その治療の重要性に気づいておられる方は、医療関係者でさえいまだ少数といってよいでしょう。

 

 糖尿病、脳血管障害、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病のほとんどは、「肥満・脂肪肝」を起点としてドミノ倒しのように生じてきます。「肝臓から脂肪を落とす」ことができれば、肝機能の改善、肝炎、肝硬変の予防となるだけでなく、同時に糖尿病の指標であるヘモグロビンA1cのほか、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)、尿酸などの生活習慣病に関わる異常値も改善します。生活習慣病発病の上流にあたる「脂肪肝」を治すことによって、ドミノ倒しを食い止めることが可能となるのです。

 

 また、脂肪が落ちることで肝臓の働きが蘇ると、疲れやすさ、体のだるさなどの体調不良が、薄紙をはぐようになくなっていくことに気づくことでしょう。なぜなら、肝臓は、人体最大の代謝をつかさどる臓器だからです。

 では、どのようにすれば脂肪肝は改善されるのでしょうか? 私たちが開設した肥満・脂肪肝専門外来「スマート外来」では、次の7つの習慣を指導しています。脂肪肝は適切な食事により、わずか3か月で改善が可能です。ぜひ実践してみてください。

 

肝臓をいたわる7つの習慣
① 📝1日1回、体重を記録する

💡ポイントは「タスキの法則」

体重の記録は「短期間、数値化して、記録する」ことが重要です。この頭文字を並べて、「タスキ」の法則と名付けました。

 

タ…短期間で。

1年中モチベーションを保ち続けるより、3か月頑張ってその後体重を維持する方が達成しやすいです。

 

ス…数値化する。

計測し、数値化できる目標設定にしましょう。

 

キ…記録する。

体重を記録し、視覚化しましょう。変化を見える形にすることが大切です。

 

② 🍵飲み物は、水・お茶・ブラックコーヒーに

 肥満・脂肪肝を指摘された方は、飲み物を無糖のお茶(緑茶、紅茶、烏龍茶)、水(水道水、ミネラルウォーター、無糖炭酸水)、ブラックコーヒーにしてください。

 外来では、加糖飲料を毎日飲んでいる脂肪肝、脂肪肝炎の方が、飲むのを中止するだけで、1か月目から肝機能が改善しています。

③ 🍚ごはんを半分にする

 1日の糖質量を130g以内にして続けてみましょう。1食当たりの主食は、ごはんなら70g、食パンなら60g(6枚切り1枚)、ラーメンなら60g(生麺1/2玉)、オートミールなら50gが目安です。キッチンスケールで重さをはかってみることをおすすめします。自分が想像していた以上に、量が少ないことが実感できると思います。減量が成功し、脂肪肝が改善しても、精製糖質を1日130g以内にする習慣を継続すると、リバウンドなく生活習慣病予防になるでしょう。

④ 🥕野菜を2倍にする

 1日の食事で食べる野菜を1皿70gと換算し、1日5~6皿食べるのが目標です。

⑤ 🐟大豆・魚・鶏を優先的にとる。

 肝臓をいたわる食事のためには、タンパク質と野菜(食物繊維)を優先的に食べる習慣をつけることが重要です。外来では、1食少なくとも20gのタンパク質をとり、40gを超えないようにすることを指導しています。

 動物性タンパク質は、①魚、②鶏、③牛・豚の順でとることをおすすめします。

⑥ 🍩超加工食品を減らす

 アメリカ糖尿病学会によりますと、超加工食品とは、「糖分や塩分、脂肪を多く含む加工済みの食品。硬化油、添加糖、香味料、乳化剤、保存料など添加物を加え、工業的な過程を経て作られる、常温で保存できたり日持ちをよくしてある食品」のこと。

 

 具体的には、スナック菓子、菓子パン、カップ麺、ハンバーガー、ケーキ・クッキー、ドーナツ、アイスクリーム、ミートボール・チキンナゲット、高カロリーの清涼飲料などです。

 

 脂肪肝を改善したい方、健康的にやせたい方は、ここに挙げた食品を、まず半分に減らしましょう。あまりに日常食になっているため、ゼロにするのは難しいかもしれません。脂肪肝や耐糖能の程度に応じて、できる限り減らすことをおすすめします。

⑦運動を1日10分以上行う

 脂肪肝を改善するには、どのような運動がよいのでしょうか? 外来では手軽に始めることができる2つの筋トレと2つの有酸素運動をおすすめしています。運動は、食事の前後30分以内に行うことをおすすめしています。

 

 「食事から得る以上のエネルギーを運動で消費しない限り、体脂肪を減らすことが難しい」ことを示す研究データが報告されています。減量のためには、まず食事量を減らすことが優先です。

詳しくは『肝臓こそすべて』で!

「7つの習慣」には、特別な食材や高価なサプリメントは必要ありません。スーパーマーケットで買える食材や日常生活で使うものがあれば、今すぐにはじめることができます。安心して取り組んでみてください。

 

「スマート外来」では、患者さまの約8割の方が1か月で2㎏減量し、3か月継続して6㎏の減量に成功しています。この「スマート外来」のノウハウは、著書『肝臓こそすべて』に詳しく載っていますので、ぜひよく読んで実践していただきたいと思います。

出典 『ダイエットも健康も 肝臓こそすべて』

 

本記事は、上記出典を再編集したものです。(新星出版社/向山)

アイキャッチ画像 Shuttertock

 

ダイエットも健康も肝臓こそすべて
尾形 哲 著(プロフィールは下記参照)
脂肪肝は、お酒をたくさん飲む人の病気だと思っていませんか。

お酒を一滴も飲まなくても脂肪肝になってしまう人が増えており、現在、日本人成人の「3人に1人」が脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患〈NAFLD〉)であるといわれています。
脂肪肝を放置すると、脂肪肝炎から肝硬変、肝臓癌といった深刻な肝臓の病気になることもあります。また、糖尿病をはじめとした多くの生活習慣病は、肥満や脂肪肝を起点としてドミノ倒しのように生じてきます。
脂肪肝は「死」に直結する怖い病気なのです。

この脂肪肝を改善するにはどうしたらよいでしょう。
著者は、肝臓から脂肪を落とすには、「肝臓をいたわることが大切」だといいます。

本書で紹介する肥満、脂肪肝を改善するメソッドの極意はたった7つです。
病院に行かなくても、だれでも自宅で、今日から実践できる食べ方や運動の方法を「肝臓をいたわる7つの習慣」としてまとめました。
この「7つの習慣」には、著者が生体肝移植のドナー指導で培った脂肪肝改善法のノウハウと、佐久市立国保浅間総合病院の肥満・脂肪肝改善専門外来「スマート外来」で、著者が糖尿病専門医とともに食事や生活習慣を研究したエッセンスがすべてつまっています。

ダイエット、健康の要(かなめ)は肝臓です。
なぜ肝臓をいたわると健康になるのか。確実にやせることができるのか。
本書では、代謝や解毒、免疫という3つの重要な働きを解説し、「肝臓こそ健康の肝(きも)」である理由についても、深掘りして解説します。

「肥満・脂肪肝改善バイブル」の誕生です。
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尾形哲(オガタサトシ)
佐久市立国保浅間総合病院 外科部長(肝胆膵外科)。同院「スマート外来(脂肪肝専門外来)」担当医。医学博士。1995年 神戸大学医学部医学科卒業。
2003年 医学部大学院博士課程終了。
パリ、ソウルの病院で多くの肝移植手術を経験したのち、2009年から日本赤十字社医療センター肝胆膵・移植外科で生体肝移植チーフを務める。
東京女子医科大学消化器病センター勤務を経て、2016年より長野県に移住。
日本外科学会専門医、日本消化器外科学会専門医・指導医、日本肝臓学会専門医。
著書に『専門医が教える 肝臓から脂肪を落とす食事術』(KADOKAWA)がある。
Twitter:@ogatas0520
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