
普段の生活でなにか物を買う時に必ず払っている税金。私たちのくらしを維持するために必要な税金は、どんなものにどの位かかっているのかご存じですか? 生活や収入、財産に大きく関わる税金。払わなければならないのは当然ですが、何も知らないと損をしてしまうことがあるかもしれません。正しい「税金」の知識を身に着ければ節税だってできてしまうんです。
今回は『図解わかる税金2020-2021年版』より、「パートタイマ―はいくらまで稼ぐのが得? 扶養内で働くという選択とコツ」について解説します。
少しでも家計の足しにしようと働くパートタイマーによる所得についても、金額の多寡によっては所得税が課税されることとなり、かえって家計を圧迫することもあるかもしれません。では、パートタイマーによる所得はいくらがいいのでしょう。
夫が正社員、妻がパート収入を得る場合、パート収入があるときの税金の問題点は二つあります。一つは、妻のパート収入がいくらまでならば、妻自身に所得税がかからないかということ。もう一つは、妻のパート収入がいくらまでならば夫の控除対象配偶者になれるかということです。
妻のパートタイマーによる所得は、一般のサラリーマンの給料と同じように給与所得になります。給与所得の金額は、給与収入から給与所得控除額を差し引いて計算し、給与所得控除額は、最低55万円(令和元〈2019〉年までは65万円)です。
つまり、パート収入が103万円の場合には、給与所得の金額は48万円(令和元〈2019〉年までは38万円)となります。
ところで、所得のある人には48万円(令和元〈2019〉年までは38万円)の基礎控除があります。したがって、パート収入が103万円以下であれば、その妻には所得税はかからないことになります。
Q. 配偶者のアルバイトの収入が80万円あり、配偶者控除の対象としていました。ところが、本年は生命保険金の満期金による一時所得が70万円(特別控除)ありますが、配偶者控除の対象となりますか?
A. この場合、配偶者の所得が、控除対象配偶者の所得限度額以下であれば、配偶者控除の適用が受けられます。配偶者控除の対象とされる控除対象配偶者とは、合計所得金額が48万円以下の人をいいます。そこで、合計所得金額が48万円以下であるかどうか計算しますと、
①給与所得の金額=収入金額(80万円)-給与所得控除額(55万円)=25万円
②一時所得の金額=70万円-特別控除額50万円=20万円
③合計所得金額=給与所得に係る部分(25万円)+一時所得に係る部分(20万円×1/2)=35万円
となり、配偶者控除の適用を受けられることになります。
① 年間103万円以下⇒妻自身に所得税がかからない + 夫が配偶者控除を受けられる
② 妻の所得の合計が48万(給与所得控除額55万円を含む。年収では103万円)を超える場合⇒夫の配偶者控除が適用されなくなる。
② ・妻の所得の合計が48万(給与所得控除額55万円を含む。年収では103万円)以下の場合⇒夫の配偶者控除が適用される。
(※配偶者控除の額は平成30年より、夫(納税者本人)の所得区分により異なる)
※ 配偶者控除の場合、配偶者の合計所得金額が48万円(給与所得控除額55万円を含む年収では103万円)を1円でも超えてしまうと、いきなり控除額が0円になってしまいます。これを改めて、配偶者の収入増に合わせて徐々に控除額が減るように、配偶者特別控除制度が設けられました。配偶者特別控除は、配偶者控除が適用されなくなる103万円を超える収入の配偶者について、約201万円以下の収入まで段階的に所得から控除されます。
〇適用の条件
・納税者の配偶者で生計を一にする人。
・配偶者の年間合計所得金額(年収より給与所得控除額55万円を引いた金額)が48万円超133万円以下、給与収入では103万円超約201万円以下である人)
・青色事業専従者、事業専従者でない人
・納税者本人の年間の合計所得金額が1,000万円以下であること(年収より給与所得控除を引いた金額だが、その額は年収の多寡により変動)
控除額は、合計所得金額により変わってきます。
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出典:『図解わかる 税金 2020-2021年版』
この記事の内容は、原則として令和2(2020)年4月1日現在の法律に準拠し、作成されたものです。
※写真/shutterstock
※本記事は、下記出典を再編集したものです。(新星出版社/室谷)

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具体的には、相続時精算制度を利用するポイントや一般の贈与税と相続時精算課税の選択するポイントをモデルケースで解説。また、高額な医療費を支払ったときに税金が戻ってくるケースや株を売って損をしたときに税金が安くなるケースなど知って得する情報を豊富にを紹介。