2020.07.23
妊娠したら知っておきたい!

【出産時の呼吸法といきみ方】

  妊娠がわかってからの約10カ月間は、ママと赤ちゃんが一心同体になり、絆を深めていく大切な時間。同時に、おなかの中の赤ちゃんがどのように育っていくのか、ママの体はどのように変化するのか……、 人間の生命の神秘を感じる10カ月でもあります。

 

 それと同時にママの心と身体は大きく変化します。つわり、体型の変化、出産への不安……、はじめての出来事が重なり、ストレスを抱えている方も多いのではないでしょうか。今回は、出産時の呼吸法といきみ方について解説します。

 お産をうまく進めるためには、陣痛の最中の呼吸法やいきみが大切です。家で軽くシミュレーションをしておくと、本番でも実践しやすくなります。出産前に読んで、覚えておきましょう!

呼吸法で陣痛の痛みを逃そう

 呼吸法には、陣痛の痛みを和らげる効果があります。呼吸に意識を向けることで、痛みを感じにくくなるのです。それと同時に、赤ちゃんへ酸素をたっぷり送ってあげる役割も果たします。

 陣痛がまだそれほど強くないときは、深呼吸でOK。リラックスしてゆっくり深呼吸をしましょう。

 痛みが強くなってきたら、下に紹介している「ハッハッフー」を試してみて。上手にできなくても大丈夫、意識することが大切です。

 ただし、痛みがそれほどでもないときに、呼吸法をしていると、体力を余計に消耗してしまうことも。特に陣痛の合間は呼吸法をやめて、リラックスしましょう。

段階に合った呼吸で赤ちゃんをサポート

 呼吸法のもうひとつの役割は、出てこようとする赤ちゃんの動きをサポートすること。お産の前にイメージしながら練習しておくと、本番でも実践しやすくなるでしょう。実際に分娩台に乗ったら忘れてしまうかもしれませんが、産院のスタッフがそばについて呼吸をサポートしてくれるので、心配はいりません。

呼吸法のいろいろ

1.陣痛の痛み逃しに「ハッハッフー」

 痛みが強くなってきたときに。「ハッハッ」と2回息を吸い、「フー」とゆっくり吐きます。

 

2.いきみを逃すために「ヒッ、ヒッ、フー、ウン」

分娩台に移動する前にいきみたくなったときに。「ヒッヒッ」と2回息を吸い、「フー」と長く吐く最後に、「ウン」と軽く力を入れます。

 

3.赤ちゃんを押し出すいきみの呼吸

いきんで赤ちゃんを出すときに。2回深呼吸をしてから、深く息を吸い、ちょっと息を吐いて口を閉じ、そのまま膣のほうへ力を入れます。

 

4.赤ちゃんの頭が出たら「ハッハッハッ」

赤ちゃんの頭が出たときに。手を胸に当て、「ハッハッハッ」と速く短い呼吸を繰り返します。

 

子宮口が全開大までいきみはがまん

 いきみとは、陣痛の波に合わせて、赤ちゃんを押し出すように力を込めること。陣痛が強くなってくると、自然といきみたい気持ちが加わってきます。ですが、分娩台に移動して子宮口が全開大になるまで、いきむのはがまんです。

陣痛の波に合わせて効果的にいきむ

 分娩台に乗ったら、お産のクライマックス! がまんしてきた気持ちを発散すべく、陣痛がきたタイミングで思いきりいきみましょう。スタッフの合図に合わせて、まず大きく2回呼吸をします。3回目に息を吸ったところで、少し息を漏らしたら息を止め、「ウーン」とできるだけ長く、大きくいきみます。途中で苦しくなったら、すばやく息を深く吸って、またいきみを続けます。陣痛がおさまったら、大きく深呼吸をしてリラックスしてください。このサイクルを繰り返すうちに、コツがつかめてきます。

 そのうちに、赤ちゃんの頭が見えてきます(拝臨)。頭が出たままになって(発露)、いきむのをやめるように指示されたら、全身の力を抜きましょう。この段階では、陣痛に合わせて「ハッハッハッ」という短い呼吸をします。

 赤ちゃんを産み出す過程は、ママも苦しいですが、赤ちゃんも一番大変なとき。効果的にいきんで、赤ちゃんをできるだけ短時間で外の世界に出してあげましょう。

排臨と発露

 いきんだときに膣口から赤ちゃんの頭が見え、力をゆるめたときには隠れてしまう段階を「排臨」と呼びます。その後、頭が見えたままの状態になると「発露」。発露になったら、いきむのをやめて、浅く短い呼吸に切り替えます。

 

 

いきみ方のポイント

・目をしっかり開けて、あごを引きます。目線はおへそのほうをのぞき込むように。

・背中や腰は分娩台から浮かさないように、しっかりつけて。

・グリップは軽めに握って。力いっぱい握ると、力が分散してしまいます。

・足を置く台には、足の裏をぴったりとつけ、かかとに力をかけます。

・両足は大きく外側に開きます。

・カーブしている産道を思い浮かべて、その方向にいきみの力を集中させます。

※本記事は、下記出典をもとに一部加筆・再編集したものです。(新星出版社/向山)

※イラスト/©セキ・ウサコ

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産科医、医学博士。日本医科大学卒業。米国ロマリンダ大学で周産期生物学、日本医科大学大学院で産婦人科学と免疫学を学び、2005年まで葛飾赤十字産院に勤務。産科部長として周産期医療に力を注ぐとともに、JICA(国際協力機構)母子保健専門家として、ベトナム、アルメニア、ニカラグア、パレスチナ、マダガスカル、カンボジアの母子医療にも関わる。現在は東峯婦人クリニック(東京都江東区)副院長。2006年、生から死までホリスティック(=全体的)に関わりたいと、主にグリーフケアの場として東峯ヒューマナイズドケアセンター・ラウンジクリニックを開設。より優しい「生まれる」「生きる」を目指し、国・地域・医療の枠を超えた”行動派産科医”として活動している。(書籍刊行時)

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