2020.09.10
妊娠したら知っておきたい!

【高齢出産の不安を解消】

 35歳を過ぎてはじめて出産することが高齢出産。リスクももちろんありますが、年齢を重ねたことによるメリットもあります。

高齢出産は増加している

 女性が社会に進出している現代では、35歳を過ぎての初産は決して少なくありません。仕事上の地位を確立してから出産したいとい考え、管理職世代になってから子どもを持つ人も増えています。

 不妊治療が進歩したことで妊娠できる可能性が広がったこと、医療技術の発達でトラブルがあってもすぐに対応できる態勢が整ったことなども初産年齢を上げる後押しをしています。

 35歳からは高齢出産の扱いになりますが、35歳を過ぎたからといって突然リスクが著しく上がるわけではありません。高齢出産は難産になったり、自然分娩ができないと思われがちですが、実際はママの体力や”カラダ年齢”によりけり。「高齢出産」とひとくくりにされますが、個人差があるのです。

 ある程度、年齢を重ねてからの妊娠・出産にはメリットもあります。妊娠・出産・育児にはハプニングや思いもよらないトラブルがつきもの。そんな生活でも今までの経験の分、冷静に対応でき、心に余裕を持って子育てに取り組めるかもしれません。また、経済的にも安定している傾向にあり、お金の面でも不安が少ないようです。

リスクがあることも心に留めておこう

 高齢出産でも何のトラブルもなく出産したママもたくさんいます。しかし、統計的に見れば35歳を目安に抱えるリスクが増えることは事実。年齢が上がるほど、肥満や高血圧などの生活習慣病を抱えて妊娠する人が増えており、妊娠中にトラブルが起きる確率が高くなっています。妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病になるリスクも高まるので、生活習慣には特に気を付けてください。また、子宮筋腫などの婦人科系のトラブルも起こりやすい年代です。決められた妊婦健診は必ず受け、体に違和感や不快感を感じたら受診して、トラブルを見逃さないようにしましょう。

 お産のときも、子宮口がかたくて開きにくかったり、会陰部の伸びが悪い場合もあります。そのため、お産がスムーズに進まないことも起こりがちです。

 リスクの大きさは個人差がありますが、できるだけリスクを減らす生活を心がけましょう。

高齢出産のメリットとリスク

◇リスク

●妊娠高血圧症候群になりやすい

統計的にも、高齢出産では確率が高まることがわかっています。医師の指導にきちんと従いましょう。

●難産になりやすい

加齢によって産道がかたくなることで難産になることもあります。ただし個人差も大きいものです。

●子宮筋腫の罹患率が増加

子宮筋腫になる人は年齢が上がるほど増えます。検査を受け、もし見つかった場合は早産にならないよう注意して過ごして。

 

◇メリット

●経済的な心配が少ない

経済的に安定している場合が多く、妊娠出産、育児の金銭面での心配が少ない傾向が。

●おおらかに構えていられる

年齢分、たくさんの経験をしているので、多少のことには動じず、おおらかにいられるでしょう。

●納得のいく出産になりやすい

経済的に余裕があり、周囲からの情報も含め多くの知識を蓄え、出産にも信念を持つ傾向が。最終的に納得のいく出産ができるようです。

自信を持ってお産に臨もう!

 高齢出産で気にする人が多いのが、赤ちゃんを調べる出産前検査。この検査は希望する妊婦さんにのみ行います。検査を受けるかどうかは、その内容やリスクについて医師からよく説明を聞いた上で、夫婦でしっかりと相談し、慎重に判断するようにしてください。

 そもそも命の価値や、出産の善し悪しは、他人と比較するものではありません。今の自分が、わが子とどう向き合うのか、出産とどう向き合うのかが重要です。マイナス面ばかりに目を向けず、自信と心の余裕を持って、妊娠生活やその後の育児生活を送りたいもの。赤ちゃんとの楽しい日々を想像し、前向きに出産を迎えてください。

高齢出産のリスクを減らすには

●体重のコントロール

年齢を重ねると肥満気味になる人も多いので、しっかり体重をコントロールしましょう。

●妊婦健診は必ず受ける

早期発見すれば治る病気もたくさんあります。忙しくても必ず受けるようにしてください。

●適度な運動

体に負担をかけない程度に運動をし、出産に向けて体力作りをしましょう。

●上手にストレス発散

ストレスをため込むことは、病気のもとです。趣味に没頭したり、じょうずにストレスを発散しましょう。

●心配しすぎない

とにかくこれが一番です。しっかり医師ともコミュニケーションを取り、できるだけ不安のない状態で出産に臨んでください。

 

 

※本記事は、下記出典をもとに一部加筆・再編集したものです。(新星出版社/向山)

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産科医、医学博士。日本医科大学卒業。米国ロマリンダ大学で周産期生物学、日本医科大学大学院で産婦人科学と免疫学を学び、2005年まで葛飾赤十字産院に勤務。産科部長として周産期医療に力を注ぐとともに、JICA(国際協力機構)母子保健専門家として、ベトナム、アルメニア、ニカラグア、パレスチナ、マダガスカル、カンボジアの母子医療にも関わる。現在は東峯婦人クリニック(東京都江東区)副院長。2006年、生から死までホリスティック(=全体的)に関わりたいと、主にグリーフケアの場として東峯ヒューマナイズドケアセンター・ラウンジクリニックを開設。より優しい「生まれる」「生きる」を目指し、国・地域・医療の枠を超えた”行動派産科医”として活動している。(書籍刊行時)

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